2022年12月08日

唐臼


いつも内なる唐臼(からうす)の上に、俵もの、石など多く置き、二十人ばかりしては、動かしがたく拵へて(曽呂利物語)、
いつもの如く、唐臼を踏み鳴らす(仝上)、

とある、

唐臼、

は、

足で踏んで杵(きね)を上下させる仕掛けの石臼、

とある(高田衛編・校注『江戸怪談集』)。

天照るや日の異(け)に干(ほ)しさひづるや唐臼(からうす)に搗き庭に立つ手臼(てうす)に搗きおしてるや(万葉集)、

とあるように、

臼を地に埋め、横木にのせた杵(きね)の一端をふみ、放すと他の端が落ちて臼の中の穀類などを搗く装置、

である(広辞苑)。「唐臼」は、また、

碓、

とも当てる(広辞苑)。

唐臼・碓.jpg

(「唐臼 広辞苑より)


唐臼による作業.jpg

(唐臼による作業 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%94%90%E8%87%BCより)

臼は地面に固定し、杵をシーソーのような機構の一方につけ、足で片側を踏んで放せば、杵が落下して臼の中の穀物を搗く。米や麦、豆など穀物の脱穀に使用した、

のでhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%94%90%E8%87%BC

踏み臼、
ぢからうす、略して、ぢから、
踏碓、

ともいう(大言海)。和名類聚抄(平安中期)に、

碓、踏舂具也、加良宇須、

とある。その由来は、

柄臼(からうす)の義、柄(え)に機発(しかけ)あり(大言海)、
柄があるところから、カラウス(柄臼)の義(古事記伝・言元梯・日本古語大辞典=松岡静雄)、
三韓から伝わったところから、カラウス(韓臼)の意(東雅)、
カラは外国伝来の意(岩波古語辞典)、
足で踏んで軽く舂くところから、カルウス(軽臼)の転(雅言考)、
カラはカラサヲ、カラクリ等のカラで、仕掛けの意(箋注和名抄)、

等々諸説あるが、はっきりしない。

柄臼(からうす)の義、柄(え)に機発(しかけ)あり(大言海)、

が個人的にはすっきりするのだが。

ややこしいのは、「唐臼」は、

からうす、

に、

殻臼、

とも当て、「からうす」のほか、

とううす、

とも訓ませ、

籾殻を磨る臼の義、

でも使い、

すりうすの古名、

とあり、

土臼、
するす、
すりす、

ともいう、

籾(もみ)をすって皮を取り除くのに用いる臼、

のこともいう(大辞泉)。

上下二個の円筒形からなり、二個の臼はそれぞれ竹や木を縁にし、塩を入れた土でうずめ固め、すりあう面には樫(かし)の歯を植えつけ、上の臼に籾を送り込む穴をあける。中央に軸があり、下の臼は動かないが上の臼には取手があり、籾を送って回すと、籾殻が取り除かれて出てくる。穀粉・ひき茶など製粉に使用するものもある、

とある(精選版日本国語大辞典)。字鏡(平安後期頃)には、

磑、宇須、

和名類聚抄(平安中期)には、

磨礱、須利宇須、

とある。

磨臼.bmp

(「磨臼」 精選版日本国語大辞典より)

また、「唐臼」は、

添水(そうず)、

といい、

竹筒に水を引き入れ、たまる水の重みで反転した竹筒が石などに当たって快い音を立てるようにした装置、

をもいう(広辞苑)。庭園などに設けるが、

田畑を荒らす鳥獣を追うために、水力を利用して音を発する仕掛け

で、

ししおどし、

だが、

添水唐臼(そうずからうす)、

といって唐臼をつく装置のものもある(広辞苑)とある。「そうず」は、

一説に、ソホヅ(案山子)の転。また、「僧都」からとも、

とある(仝上)。

唐臼 [からうす].jpg

(川の水流を利用して餅つきの杵のように原土を粉砕していく http://www.tougeizanmai.com/tabitetyou/007/05karausu.htmより)


「臼」 漢字.gif

(「臼」 https://kakijun.jp/page/usu200.htmlより)


「臼」 説文解字・漢.png

(「臼」 説文解字・漢 https://ja.wiktionary.org/wiki/%E8%87%BCより)

「臼」(漢音キュウ、呉音グ)は、

象形。∪型にえぐってくぼませたさまを描いたもの。臼は、意符(意義符 漢字の構成要素のうち、主として意義を表す部分。「坂」の「」や「泣」の「氵」等々)に用いられた時は舂(ショウ つく)・陷の右側(穴にはまる)・插(ソウ=挿 穴に差し込む)など、穴やうすをあらわす、

とある(漢字源)。別に、

象形文字です。「地面または、木・石をうがって造る、うす」の象形から、「うす」を意味する「臼」という漢字が成り立ちました、

ともある(角川新字源・https://okjiten.jp/kanji2088.html)。

参考文献;
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
大槻文彦『大言海』(冨山房)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

posted by Toshi at 04:50| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする