2022年12月12日

来国光


漸(ようよ)うに押し寛げ、相伝の来国光を以つて払い切りにぞしたりける(曽呂利物語)、

にある、

来国光、

は、

鎌倉末期の名工来国光が作った刀、

とある(高田衛編・校注『江戸怪談集』)。

「来国光(らいくにみつ)」は、

鎌倉末期の刀工、

で、

来国俊の子。鎌倉末期を飾る来派の名工で、その作になる現存の太刀、短刀は多い、

とある(精選版日本国語大辞典)。「来派(らいは)」は、

日本刀の刀工の流派の一つ、

で、

大和伝、
山城伝、
備前伝、
相州伝、
美濃伝、

という

日本刀の五大刀工流派、

である、

五箇伝、

のうち、

山城伝、

に属する。鎌倉時代中期から南北朝時代にかけて山城国(京都府)で活動した。主な刀工に、

国行、
国俊(二字国俊)、
来国俊、
来国光、
来国次、

らがいるhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%A5%E6%B4%BEとある。五箇伝は、

令制国の大和国・山城国・備前国・相模国・美濃国、

を発祥とし、これらを系統づけたのは、代々足利将軍家に使えた研師で、豊臣秀吉以後は刀の鑑定も務めた、

本阿弥家、

で、最終的に、

本阿弥光遜がまとめ上げた(仝上)とある。現在、確認できる五箇伝の刀工数は、

備前4005、美濃1269、大和1025、山城847、相州438、

という(仝上)。これ以外の小さな流派は、

脇物、

といったらしい。

来国光 (2).jpg

(来国光(九州国立博物館) https://collection.kyuhaku.jp/gallery/8252.htmlより)

「来派」の作風の特徴は、

総じて身幅広く、反り高く、中切先が猪首となった姿のものが多い。反りは、刃長の中程に反りの中心がある鳥居反り(輪反り、京反り)となるものが典型的、

とあり(仝上)、地鉄は、

小板目肌良く詰み、細かな地沸が一面につく。沸映りが見られる、

のが特色で、

来肌、

と称して、

鍛えの弱い肌が片面、もしくは両面の一部に現れる、

ことが多いとされ、鑑定上の見所とされている。「刃文」は、

直刃(すぐは)、あるいは直刃に小乱や小丁子を交える、

のを基本とする(仝上)らしい。なお、「小乱れ」は、

不規則な乱れ、

「小丁子」は、

丁子、

で、

「丁子」という植物の実を連ねた形や、これを模様化した丁子文に似ている刃文、

とあるhttps://www.touken-world.jp/difficult-word/komidarekogunomekochojinohagamajiri/

「来国光」の作品には、相州伝の影響を受けたと思われる、乱れ刃や沸(にえ)の働きの強いものも見られる、

とあるhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%A5%E6%B4%BE。「沸(にえ)」は、

刃文を構成する鋼の粒子が肉眼で1粒1粒見分けられる程度に荒いもの、

をいい、

1粒1粒見分けられず、ぼうっと霞んだように見えるものを、

匂(におい)、

と称する。沸も匂も冶金学上は同じ組織である。沸と同様のものが地の部分に見えるものを地沸と称する(仝上)。

「来国光」は、通説では、

来国俊」(らいくにとし)の嫡男、

と伝わっているhttps://www.touken-world.jp/sword-artisan-directory/rai-kunimitsu/。ただ、

来国俊の次男や弟、孫とする説、
来国行(らいくにゆき)、もしくは来国秀(らいくにひで)の子とする説、
来国友(らいくにとも)の弟子であるとする説、

等々、異説も多い(仝上)、

謎の多い刀工、

らしい。

刀工は通常、自分の得意な作風を前面に押し出して作刀しますが、初代 来国光には、そのような傾向は見られません。これが窺えるのは、例えば刀身の身幅(みはば)。太刀、及び短刀において、身幅の広い作例と狭い作例の両方があります。刃文も同様で、「直刃」(すぐは)もあれば、「乱刃/乱れ刃」(みだれば)も見られる、

し、

乱刃/乱れ刃は、「小乱」(こみだれ)と「大乱」(おおみだれ)、それぞれを基調とした作例、

もあり、作風は、

大部分の姿が豪壮な物で、焼刃の働きも多くなっており、迫力、

があるhttps://www.touken-world.jp/search/6266/が、

多種多様な作風を得意としていた、

ようであるhttps://www.touken-world.jp/sword-artisan-directory/rai-kunimitsu/

なお、「かたな」http://ppnetwork.seesaa.net/article/450320366.html?1549439317、「太刀」http://ppnetwork.seesaa.net/article/464272047.htmlについては触れた。

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

posted by Toshi at 04:28| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする