2023年07月30日
綾羅(りょうら)
唐(もろこし)唐(たう)なる唐(とう)の竹、佳(よ)し節(ふし)二(ふた)節切(ふしき)りこめて、萬(よろず)の綾羅(れうら)に巻きこめて、一宮にぞ奉る(梁塵秘抄)。
の、
綾羅、
は、
あやぎぬとうすぎぬ、
で、転じて、
美しい衣服、
の意ともなる(精選版日本国語大辞典)。
羅綾、
ともいう。
綾羅、
は、
童僕餘梁肉、婢妾蹈綾羅(張華)、
と、漢語で、
河北則羅綾紬紗鳳翮葦席(玉海)、
と、
羅綾、
も同じ、
皆得服綾錦羅綺紈素金銀飾鏤之物(魏史・夏侯尚傳)、
と、
羅綺、
も、
うすぎぬとあやぎぬ、
の意である(字源)。「綺」も、「綾」と同じく、
あやぎぬ、
の意である。で、
綾羅、
は、
薄い綾ぎぬ、
の意になる(字通)。
「綾」(漢音呉音リョウ、唐音リン)は、「綾藺笠(あやゐがさ)」で触れたように、
会意兼形声。夌(リョウ)は「陸(山地)の略体+夂(人間の足)」の会意文字で、足に筋肉の筋をたてて、力んで山を登ること。筋目を閉てる意を含む。綾はそれを音符とし、糸を加えた字で、筋目の立った織り方をした絹、
とある(漢字源)。別に、
形声文字です(糸+夌)。「より糸」の象形と「片足を上げた人の象形と下向きの足の象形」(「高い地を越える」の意味だが、ここでは、「凌(りょう)」に通じ(同じ読みを持つ「凌」と同じ意味を持つようになって)、「盛り上がった氷」の意味)から、織物に盛り上がった「氷のような模様が織り込まれた物(あや)」を意味する「綾」という漢字が成り立ちました、
ともある(https://okjiten.jp/kanji1125.html)。
「羅」(ラ)は、
会意文字。「网(あみ)+維(ひも、つなぐ)」
とある(漢字源)。あみを張りめぐらす意を表である(角川新字源)。別に、
形声。「糸」+音符「䍜 /*RAJ/」。「あみ」を意味する漢語{羅 /*raaj/}を表す字。もと「网」が{羅}を表す字であったが、「隹」を加えて「䍜」となり、さらに「糸」を加えて「羅」となった、
とも(https://ja.wiktionary.org/wiki/%E7%BE%85)、
会意文字です(罒(网)+維)。「網」の象形と「より糸の象形と尾の短いずんぐりした小鳥と木の棒を手にした象形(のちに省略)」(「鳥をつなぐ」、「一定の道筋につなぎ止める」の意味)から、「鳥を捕える網」を意味する「羅」という漢字が成り立ちました、
ともある(https://okjiten.jp/kanji2007.html)。
参考文献;
簡野道明『字源』(角川書店)
ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95