2023年08月20日
佉羅陀山(からだせん)
我が身は罪業重くして、終(つい)には泥犂(奈利 ないり)へ入りなんず、入りぬべし、佉羅陀山(からだせん)なる地蔵こそ、毎日の暁(あかかつき)に、必ず来りて訪(と)ふたまへ(梁塵秘抄)、
の、
佉羅陀山(からだせん)、
は、
Kharādiya、
の訳語で、
佉羅多山、
とも当て、
きゃらだせん、
とも訓ます(精選版日本国語大辞典・デジタル大辞泉)、
七金山、
の一つ。須彌山に近い山で、地蔵菩薩の住む所といわれる(仝上)。
七金山(しちこんせん・しちこんぜん)、
は、須彌山(しゅみせん)を中心として、そのまわりをめぐっているといわれる、
七つの黄金でできた山、
を言い、
持双(じそう)山・持軸(じじく)山・檐木(えんぼく)山・善見(ぜんけん)山・馬耳(ばじ)山・象耳山(ぞうじ)・尼民達羅山(にみんだつら)、
を指す(仝上・https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A0%88%E5%BC%A5%E5%B1%B1)。別に、
持双山・持軸山・檐木山・善見山・馬耳山・障礙山・持地山(精選版日本国語大辞典)、
持双山・持軸山・檐木山・善見山・馬耳山・象鼻山・持辺山(デジタル大辞泉・広辞苑)、
ともあるのは、音訳のためかと思われる。
各山の間は、
淡水の香水海、
によって隔てられている(仝上)という。「須弥山」、「鐵圍山」で触れたように、須彌山(しゅみせん)を中心とし、鉄囲山(てっちせん)を外囲とし、の間にある、
持双山・持軸山・檐木山・善見山・馬耳山・象耳山・尼民達羅山、
の、
七金山を数えて、
九山、
とし、九山の間にそれぞれ大海があり、海は
七海が内海、
で、八功徳水をたたえ、
第八海が外海、
で、
鹵水(ろすい)海、
これらを、
九山八海(くせんはっかい)、
という(仝上)。この中の四方、東には、
半月形の毘提訶洲(びだいかしゅう、勝身洲)、
南に、
三角形の贍部洲(南洲あるいは閻浮提)、
西に、
満月形の牛貨洲(ごけしゅう)、
北に、
方座形の倶盧洲(くるしゅう)、
の四大陸が浮かび、南に位置する贍部洲(せんぶしゅう)は我々が住んでいる世界とされる(仝上)。
「三千世界」、「須弥山」、「鐵圍山」については触れた。
参考文献;
大槻文彦『大言海』(冨山房)
ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95