帷子雪

霰まじる帷子雪はこもんかな(芭蕉)、 の、 帷子雪(かたびらゆき)、 は、 薄くふりつもった雪、 をいう(広辞苑)が、一説に、 一片が薄くて大きな雪、 にもいう(大辞林・デジタル大辞泉)。 (極々霰(ごくごくあられ) https://www.kimononobi.co.jp/SHOP/1200017.htmlより) こもん、 は、 …

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節季候(せっきぞろ)

節季候の来れば風雅も師走哉(芭蕉)、 の、 節季候(せっきぞろ)、 は、 せきざうらふ、 せきぞろ、 ともいい、 節季(せっき)にて候、 の意(デジタル大辞泉)で、 歳末(普通は十二月下旬)、笠に歯朶を挿し顔を赤い布で覆った異装で家々を回り、数人で歌い踊って米銭を受ける物乞い、 とある(松尾芭蕉(雲英末雄・佐藤勝明訳註)『芭蕉全句集』)…

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五器一具

此こゝろ推せよ花に五器一具(芭蕉) の、 五器一具、 は、 一組の御器で、修行僧が携行する蓋の付いた椀、 であり(松尾芭蕉(雲英末雄・佐藤勝明訳註)『芭蕉全句集』)、 支考が奥羽行脚をするに際して、風雅の旅の心得を示した餞別吟、 とあり、 「花」は風雅の象徴、 で、支考の、 酒さへ呑ば馬鹿尽し候(五月七日付去来宛書簡)、 とい…

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した面(おもて)

月やその鉢木(はちのき)の日のした面(おもて)(芭蕉)、 の、 した面(おもて)、 は、 シテが面を付けず素顔で演じること、 をいう、 直面(ひたおもて)、 の訛言とされる(松尾芭蕉(雲英末雄・佐藤勝明訳註)『芭蕉全句集』)とある。 ひたおもて、 は、 ひためん、 の意である。 (小面 https://www.noh…

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布袋

物ほしや袋のうちの月と花(芭蕉)、 の、 袋、 は、 布袋の袋、 を指し、画賛句のようで、 布袋様の袋には月や花もあるはずで、何やら物ほしい気持ちになる、 と、注釈がある(松尾芭蕉(雲英末雄・佐藤勝明訳註)『芭蕉全句集』)。 (布袋(葛飾北斎) https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B8%83%E8%A2%8B…

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からくれない

ちはやぶる神代もきかず竜田川から紅に水くくるとは(業平)、 の、 から紅、 は、 唐紅、 韓紅、 と当て、 朝鮮半島から渡来した紅の色、 と注記がある(高田祐彦訳注『新版古今和歌集』)。 (唐紅 https://biz.trans-suite.jp/89280より) (紅葉 https://biz.trans-suite.jp/…

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まだし

五月来ば鳴きもふりなむほととぎすまだしきほどの声を聞かばや(古今和歌集)、 の、 まだしきほど、 は、 ほととぎすが本格的に鳴き始めないうちのまだ幼い声、 と注記がある(高田祐彦訳注『新版古今和歌集』)。 まだし、 は、 未だし、 と当て、 まだその期に達しない、 意から、転じて、 なからまではあそばしたなるを末なんまだ…

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つゆけし

一人寝る床は草葉にあらねども秋来る宵はつゆけかりけり(古今和歌集)、 の、 つゆけし、 は、 露に濡れることから転じて多く涙に濡れることをいう、 と注記がある(高田祐彦訳注『新版古今和歌集』)。 つゆけし、 は、 露けし、 と当て、 けし、 は、 のどけし、 さやけし、 あきらけし、 等々と、 体言などに…

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やつる

君しのぶ草にやつるるふるさとはまつ虫の音ぞかなしかりける(古今和歌集)、 の、 やつる、 は、 俏る、 窶る、 等々と当てる(学研全訳古語辞典)が、 忍草がはびこり荒れ果てた様子に、詠み手の女のやつれた様子を重ねる、 と注記(高田祐彦訳注『新版古今和歌集』)があり、ここでは、 やつるは、 荒れて、依然と変わってしまう、 という意で…

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なへに

ひぐらしの鳴きつるなへに日は暮れぬと思ふは山の陰にぞありける(古今和歌集)、 の、 なへに、 は、 …するとともに、 …するにつれて、 の意で、歌は、 ひぐらしが鳴いたとともに、その名のとおり日が暮れたと思ったら、山の陰なのだった、 という意になる(高田祐彦訳注『新版古今和歌集』)。奥義抄(1135‐44頃)に、 なへ、からになと云ふ心也、 …

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わぶ

秋の夜は露こそことに寒からし草むらごとに虫のわぶれば(古今和歌集)、 の、 わぶ、 は、 虫がつらそうに鳴いている、 と注釈される(高田祐彦訳注『新版古今和歌集』)。 侘ぶ、 と当て、 うらわぶ(心佗)の略、 とあり(大言海)、「わぶ」に当てる字について、 四種に書すが、義自ら異なり、その別を辨へむ、 として、 詫は、『…

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