詩化注釈
大岡信『百人一首』を読む。
本書は、ただ「百人一首」を注釈したのではなく、
「私は、この本でささやかな試みをしてみた。すなわち、通常の注釈書では「通釈」とよばれている部分に、行分けの形にした一種の現代詩訳を置いた」
ということを試みている(はじめに)。それを、
現代詩訳、
あるいは、
百人一首の和歌を「楽譜」とした、現代語 による「演奏」
と…
生きるとは 位置を見つけることだ あるいは 位置を踏み出すことだ そして 位置をつくりだすことだ
位置は一生分だ 長い呻吟の果てに たどりついた位置だ その位置を さらにずらすことは 生涯を賭すことだ それでもなおその賭けに 釣り合う 未来はあるか