2023年12月12日

後の月


木曾(きそ)の瘦(や)せもまだなほらぬにのちのつき(芭蕉)、

の、

のち(後)の月、

は、

よめはつらき茄子(なすび)かるゝや豆名月(芭蕉)、

と、

豆名月、

ともいう。

陰暦九月十三日の月、

をいい、

栗名月
月の名残、

ともいい、

八月十五日とこの日と二度の月見をするのがよいとされる、

日本独自の風習で、

芋に代えて栗や枝豆を供る。この夜の月は和歌でも好まれ(松尾芭蕉(雲英末雄・佐藤勝明訳註)『芭蕉全句集』)、

秋の月ちぢに心をくだききてこよひひと夜にたえずもある哉(千載和歌集)、

などと詠われている。

月ごとにあふ夜なれども世を経つゝ今宵にまさる影なかりけり(紀貫之)

と、

旧暦8月15日の、

中秋の名月(十五夜の月)、

を眺める風習は、

中秋三五夜、
名月在前軒(白居易)、

と、

中国から伝わったものだが、

十三夜の月を愛でる風習、

は日本で生まれたものであるhttps://www.sendai-astro.jp/observation/blog/2023/10/20231027.html。延喜十九年(919年)に寛平法皇が、

月見の宴、

を開き、十三夜の月を称賛したことが由来のひとつとされている(仝上)とある。

中秋の名月、

が、里芋を供えることから、

芋名月、

と呼ばれるに対し、

後の月、

では、(この頃に収穫される)、

栗や枝豆、

を供えることから、、

栗名月、
豆名月、

とも呼ばれる(仝上)が、他に、

名残の月、
二夜(ふたよ)の月、
後の今宵、
後の名月、
女名月(おんなめいげつ)、
姥月(うばづき)、

等々さまざまに呼ばれるhttps://kigosai.sub.jp/001/archives/2539

後の月、

は、

満月に二日早い月を見るという、

少し欠けたところをこそ賞するという日本独特の美意識、

とともに、実際的には、

早い時間に昇る月を賞する、

という理由があるhttps://note.com/whitecuctus/n/n0c2faf4acb23としている。

後(のち)の月.png


参考文献;
簡野道明『字源』(角川書店)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

posted by Toshi at 04:54| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする