2023年12月22日

節季候(せっきぞろ)


節季候の来れば風雅も師走哉(芭蕉)、

の、

節季候(せっきぞろ)、

は、

せきざうらふ、
せきぞろ、

ともいい、

節季(せっき)にて候、

の意(デジタル大辞泉)で、

歳末(普通は十二月下旬)、笠に歯朶を挿し顔を赤い布で覆った異装で家々を回り、数人で歌い踊って米銭を受ける物乞い、

とある(松尾芭蕉(雲英末雄・佐藤勝明訳註)『芭蕉全句集』)。「厄払」は、

大晦日や節分の夜、厄難を祓う詞を唱えて豆と銭を受ける物乞い、

である(仝上)。

節季候(せっきぞろ).jpg

(節季候(せっきぞろ)デジタル大辞泉より)

いわゆる、

門付け芸人、

で、12月の初めから27、8日ごろまで、

羊歯(しだ)の葉を挿した笠をかぶり、赤い布で顔をおおって目だけを出し、割り竹をたたきながら二、三人で組になって町家にはいり、

ああ節季候節季候、めでたいめでたい、

と唱えて囃(はや)して歩き、米銭をもらってまわったもの(日本国語大辞典)で、割竹で胸をたたいたので、

胸叩、

とも呼ばれたhttps://kigosai.sub.jp/001/archives/17531。のちには、

紙の頭巾(ずきん)に宝尽しの紙前垂れをし、四つ竹、小太鼓、拍子木などを鳴らし、女の三味線に合わせてにぎやかに囃して、

せきぞろ ほうほう 毎年毎年旦那のお庭へ飛び込めはねこめ、

などと唱えて歩いた(世界大百科事典)。

節季候(職人尽).jpg

(節季候(職人尽絵詞) 日本大百科全書より)

ばかりでなく太鼓もたたいてやってきた、

という。元禄(げんろく)時代(1688~1704)から盛んに行われた、一種の、

物乞(ご)い、

で、

凶作の時代に多く出た、

とあるhttps://kigosai.sub.jp/001/archives/17531。以前は三都にあったが、江戸時代末期には江戸の街だけとなった(日本大百科全書)という。折口信夫は、

山人、

が、

笠をつけみの(蓑)をまとい、山苞(やまづと)として削掛け(けずりかけ)などの棒や杖を所持して、宮廷の祭りには呪詞(いわいごと)を述べに来た、

とし、のちには村々を訪れて祝福を与えていく、

節季候(せきぞろ)などの遊芸、門付人ともなっていく、

としている(世界大百科事典)。

節季、

は、

日葡辞書(1603~04)に、

セッキ。トシノスエ、

とあり、

年の暮れ、

の意である。

節季候(学研全訳古語辞典).jpg

(節季候 学研古語辞典より)

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posted by Toshi at 05:12| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする