2024年02月02日

まさご


かくこのたびあつめえらばれて、山したみづのたえず、はまのまさごのかずおほくつもりぬれば(古今集・仮名序)、

の、

はまのまさご、

は、

きわめて数の多い喩え、

として使い、

万葉集では、

相模道(さがむぢ)の余綾(よろぎ)の浜の真砂(まなご)なす子らは愛(かな)しく思はるるかも(万葉集)、

と、

浜のまなご、

といった(高田祐彦訳注『新版古今和歌集』)。

紫の名高の浦の愛子地(まなごつち)袖のみ触れて寝ずかなりなむ(万葉集)、

と、

真砂地(まなごつち)、

というと、

真砂のある土地、砂地、

をいう(精選版日本国語大辞典)。

まさご、

は、

わたつうみの浜の真砂(まさご)君がちとせのあ(有)り數にせむ(古今和歌集)、

と、

真砂、
真沙、

と当て(広辞苑・大言海)、

細かな砂、

の意で、

まさごじ(真砂路)、

というと、

唐崎やかすかに見ゆるまさご路にまがふ色なき一もとの松(風雅和歌集)、

と、ずっと続いている白い海岸線を、路に見立て、

真砂の中の路、
真砂を敷きつめた道、

の意で使い(岩波古語辞典)、

真砂地(まさごじ)、

というと、

うつ浪のたかしの浜の砂地においける松のねこそあだなれ(藤原家隆)、

と、

砂浜、
砂地、

とも使う(精選版日本国語大辞典)。

まさご、

は、

まなご、
いさご、
真砂子、

ともいう(広辞苑)が、萬葉集で使われた、

まなご、

は、中古以降衰退し、

まさご、

と交替したかと思われ、「古今集‐仮名序」以来、「まさご」が圧倒的に多数例を占めるようになった(精選版日本国語大辞典)とある。

まなご、

は、

織沙、
織砂、
真砂、
細砂、
砂、

と当て(大言海・岩波古語辞典)、やはり、

細かい砂、

の意で、

眞砂子(ますなご)の略かと云ふ、眞は、細かきを云ふ、

とある(仝上)。和名類聚抄(平安中期)に、

織砂、萬奈古、

とある。

まさご、

は、

真砂、

と当て、

眞沙子(まいさご)、又は、眞沙子(ますなご)の約、マは発語(大言海・名語記)、
マイサゴの約(岩波古語辞典)、

とあり、

いさご、
まいさご、
ますなご、
まなご、
すなご、

ともいう(大言海・日本語源大辞典)とある。もとを、

まいさご、
ますなご、

とすると、

いさご、

すなご、

は、同義で、和名類聚抄(平安中期)に、

砂、須奈古、

字鏡(平安後期頃)に、

磣、墋、石微細而、隨風飛也、伊佐古、又須奈古、

とある。

すなご、

は、

沙之子(スノコ)の転、スは取り扱う時発する語、ナは粉のナの義、ゴは物の意、俗に、沙と、砂と混用す、

とある(大言海)が、

すな、

と同義なので、

すな+指小辞こ(子・小)、

が考えられるが(「指小辞」は、主に名詞や形容詞につき、感情的に「小さい」「少し」といった意味を表す接辞)、

す(砂・州)+な(「の」の意)+指小辞「こ」、

の可能性もある(日本語源大辞典)としている。ただ、

すな(砂・沙)、

自体が、

小の義(日本釈名)、
ス(州)にナル(生)の義(和訓栞)、
ス(州)にナガルル義(和句解)、
スノコ(砂子)の略。スは流水が落ち着いて沈殿した小石の儀から砂の義に転じたもの。ナは語尾(国語の語根とその分類=大島正健)、

等々、

子、
や、
小、

の意を含んでいるので、重複する気がする。

スナゴ、

は、平安時代末ごろまで、

スナコ、

とある(岩波古語辞典)のでなお、

コ(子・古)、

がダブル気がしてならない。

ま(眞)、

は、

片(カタ)の対、

で、

名詞・動詞・形容詞について、揃っている、完全である、本物である、すぐれているなどの意を表す、

とあり(岩波古語辞典)、この場合、

純粋である、

といった意味になりそうである。

「砂」 漢字.gif


「砂」(漢音サ、呉音シャ)は、「沙」と同義で、

会意兼形声。「石+音符沙(小さいの略体)」、

とある(漢字源)。ただ、

形声。「石」+音符「少 /*SAJ/」。「沙」の偏を入れ替えた異体字https://ja.wiktionary.org/wiki/%E7%A0%82
形声。石と、音符沙(サ)(少は省略形)とから成る。もと、沙の俗字(角川新字源)、

と、形声文字とするものと、

会意文字です(石+少)。「崖の下に落ちている石」の象形と「小さな点」の象形から小さく砕けた石粒、すなわち、「すな」を意味する「砂」という漢字が成り立ちました、

https://okjiten.jp/kanji961.html、会意文字とするものとに分かれる。

参考文献;
大槻文彦『大言海』(冨山房)
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
前田富祺編『日本語源大辞典』(小学館)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

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posted by Toshi at 05:02| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする