2024年02月16日

草枕


あさなけに見べき君としたのまねば思ひたちぬる草枕なり(古今和歌集)、

の、

草枕、

は、

くさのまくら(大辞林)、

つまり、

旅に、草を枕とすること(大言海)、

の意で、

草を結んで枕として野宿すること、

とある(広辞苑・岩波古語辞典)、

古へ、旅路の宿りに、、仮庵を作るを、草結ぶと云ひ、茅草などを束ねて枕としたり、

ということ(大言海)のようである。

笹枕(ささまくら)、
旅寝、
旅枕、
旅の仮寝、

ともいい、これが転じて、

草枕もみぢむしろに替へたらば心をくだくものならましや(後撰和歌集)、

と、

旅先でのわびしい宿泊や仮の宿、

を暗示したり、

さもこそは都のほかに宿りせめうたて露けき草まくらかな(後拾遺和歌集)、

と、

わびしい旅寝、

朝なけに見べき君とし頼まねば思ひ立ちぬるくさまくらなり(古今和歌集)、

と、

わびしい旅、

と、

旅寝、

あるいは、

旅、

の意で使われる(精選版日本国語大辞典)。この意の、

草枕、

が、転じて、

「たび(旅)」「むすぶ(結ぶ)」「ゆふ(結ふ)」「かり(仮)」「つゆ(露)」「たご(多胡)」、

等々にかかる、

枕詞、

として使わる(広辞苑)、たとえば、

久佐麻久良(クサマクラ)旅行く君を幸(さき)くあれと斎瓮(いはひへ)据ゑつ我が床の辺に(万葉集)、
家にあれば笥(ケ)に盛る飯を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る(仝上)、

と、

道の辺の草を枕にして寝る意で

旅、

にかかり、

草まくらこの旅寝にぞ思ひ知る月より外の友無かりけり(金葉和歌集)、

と、

「枕」の語に、寝るということとのつながりを感ずるところ、

からか、

旅寝、

にかかり、

草枕このたび経つる年月の憂きはかへりて嬉しからなん(後撰和歌集)、

と、


「旅(たび)」と同音の「たび(度)」または、それを含む連語、

にかかり、

草枕夕風寒くなりにけり衣うつなる宿や借らまし(新古今和歌集)、

と、

草の枕を「結ふ」意で、「結ふ」と同音の「ゆふ(夕)」を含む連語や地名「ゆふ山」、

等々にかかる(精選版日本国語大辞典)。

「草」.gif

(「草」 https://kakijun.jp/page/0965200.htmlより)

「草」(ソウ)の字は、「」で触れたが、

形声。「艸+音符早」。原義は、くぬぎ、またははんのきの実であるが、のち、原義は別の字であらわし、草の字を古くから艸の字に当てて代用する、

とある(漢字源・角川新字源)。別に、

形声。「艸」+音符「早」。「くさ」(cǎo)を意味する字は本来「艸」であり、「草」は「どんぐり」(zào)を意味したが、のちに「草」が「くさ」を意味するようになり、「どんぐり」の意味には「皁」(「皂」)を用いるようになった、

ともhttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E8%8D%89

形声文字です(艸+早)。「並び生えた草」の象形(「くさ」の意味)と「太陽の象形と人の頭の象形」(人の頭上に太陽があがりはじめる朝の意味から、「早い」の意味だが、ここでは、「艸(そう)」に通じ、「くさ」の意味)から、「くさ」を意味する「草」という漢字が成り立ちました、

ともあるhttps://okjiten.jp/kanji67.html

「艸」.gif


「艸」 中国最古の字書『説文解字』.png

(「艸」 中国最古の字書『説文解字』(後漢・許慎)・漢 https://ja.wiktionary.org/wiki/%E8%89%B8より)

「艸」(ソウ)は、

くさの並んで生え出るさまを表した字、「艹(くさかんむり)」の原形、

とありhttps://www.kanjipedia.jp/kanji/0004210000/

象形。草が並んで生えている形、

または、

「屮」(草の芽の出る様を象る)を並べた会意文字、

とあるhttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E8%89%B8

「枕」.gif


「枕」(慣用チン、漢音・呉音シン)は、「南枕」で触れたように、

会意兼形声。冘(イン・ユウ)は、人の肩や首を重荷でおさえて、下に押し下げるさま。古い字は、牛を川の中に沈めるさま。枕はそれを音符とし、木を加えた字で、頭でおしさげる木製のまくら、

とある(漢字源)。音符冘(イム)→(シム)と音変化したらしい(角川新字源)。別に、

会意形声。「木」+音符「冘」。「冘」は、H字形のもので押しつけ「沈」めることを意味。頭で押しつける木製のまくらを意味したものhttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E6%9E%95

会意兼形声文字です(木+冘)。「大地を覆う木」の象形と「人がまくらに頭を沈める」象形から、「(木製の)まくら」を意味する「枕」という漢字が成り立ちましたhttps://okjiten.jp/kanji2133.html

等々の解釈もある。共通するのは、「木製のまくら」とである。

参考文献;
大槻文彦『大言海』(冨山房)
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

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草枕


あさなけに見べき君としたのまねば思ひたちぬる草枕なり(古今和歌集)、

の、

草枕、

は、

くさのまくら(大辞林)、

つまり、

旅に、草を枕とすること(大言海)、

の意で、

草を結んで枕として野宿すること、

とある(広辞苑・岩波古語辞典)、

古へ、旅路の宿りに、、仮庵を作るを、草結ぶと云ひ、茅草などを束ねて枕としたり、

ということ(大言海)のようである。

笹枕(ささまくら)、
旅寝、
旅枕、
旅の仮寝、

ともいい、これが転じて、

草枕もみぢむしろに替へたらば心をくだくものならましや(後撰和歌集)、

と、

旅先でのわびしい宿泊や仮の宿、

を暗示したり、

さもこそは都のほかに宿りせめうたて露けき草まくらかな(後拾遺和歌集)、

と、

わびしい旅寝、

朝なけに見べき君とし頼まねば思ひ立ちぬるくさまくらなり(古今和歌集)、

と、

わびしい旅、

と、

旅寝、

あるいは、

旅、

の意で使われる(精選版日本国語大辞典)。この意の、

草枕、

が、転じて、

「たび(旅)」「むすぶ(結ぶ)」「ゆふ(結ふ)」「かり(仮)」「つゆ(露)」「たご(多胡)」、

等々にかかる、

枕詞、

として使わる(広辞苑)、たとえば、

久佐麻久良(クサマクラ)旅行く君を幸(さき)くあれと斎瓮(いはひへ)据ゑつ我が床の辺に(万葉集)、
家にあれば笥(ケ)に盛る飯を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る(仝上)、

と、

道の辺の草を枕にして寝る意で

旅、

にかかり、

草まくらこの旅寝にぞ思ひ知る月より外の友無かりけり(金葉和歌集)、

と、

「枕」の語に、寝るということとのつながりを感ずるところ、

からか、

旅寝、

にかかり、

草枕このたび経つる年月の憂きはかへりて嬉しからなん(後撰和歌集)、

と、


「旅(たび)」と同音の「たび(度)」または、それを含む連語、

にかかり、

草枕夕風寒くなりにけり衣うつなる宿や借らまし(新古今和歌集)、

と、

草の枕を「結ふ」意で、「結ふ」と同音の「ゆふ(夕)」を含む連語や地名「ゆふ山」、

等々にかかる(精選版日本国語大辞典)。

「草」.gif

(「草」 https://kakijun.jp/page/0965200.htmlより)

「草」(ソウ)の字は、「」で触れたが、

形声。「艸+音符早」。原義は、くぬぎ、またははんのきの実であるが、のち、原義は別の字であらわし、草の字を古くから艸の字に当てて代用する、

とある(漢字源・角川新字源)。別に、

形声。「艸」+音符「早」。「くさ」(cǎo)を意味する字は本来「艸」であり、「草」は「どんぐり」(zào)を意味したが、のちに「草」が「くさ」を意味するようになり、「どんぐり」の意味には「皁」(「皂」)を用いるようになった、

ともhttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E8%8D%89

形声文字です(艸+早)。「並び生えた草」の象形(「くさ」の意味)と「太陽の象形と人の頭の象形」(人の頭上に太陽があがりはじめる朝の意味から、「早い」の意味だが、ここでは、「艸(そう)」に通じ、「くさ」の意味)から、「くさ」を意味する「草」という漢字が成り立ちました、

ともあるhttps://okjiten.jp/kanji67.html

「艸」.gif


「艸」 中国最古の字書『説文解字』.png

(「艸」 中国最古の字書『説文解字』(後漢・許慎)・漢 https://ja.wiktionary.org/wiki/%E8%89%B8より)

「艸」(ソウ)は、

くさの並んで生え出るさまを表した字、「艹(くさかんむり)」の原形、

とありhttps://www.kanjipedia.jp/kanji/0004210000/

象形。草が並んで生えている形、

または、

「屮」(草の芽の出る様を象る)を並べた会意文字、

とあるhttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E8%89%B8

「枕」.gif


「枕」(慣用チン、漢音・呉音シン)は、「南枕」で触れたように、

会意兼形声。冘(イン・ユウ)は、人の肩や首を重荷でおさえて、下に押し下げるさま。古い字は、牛を川の中に沈めるさま。枕はそれを音符とし、木を加えた字で、頭でおしさげる木製のまくら、

とある(漢字源)。音符冘(イム)→(シム)と音変化したらしい(角川新字源)。別に、

会意形声。「木」+音符「冘」。「冘」は、H字形のもので押しつけ「沈」めることを意味。頭で押しつける木製のまくらを意味したものhttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E6%9E%95

会意兼形声文字です(木+冘)。「大地を覆う木」の象形と「人がまくらに頭を沈める」象形から、「(木製の)まくら」を意味する「枕」という漢字が成り立ちましたhttps://okjiten.jp/kanji2133.html

等々の解釈もある。共通するのは、「木製のまくら」とである。

参考文献;
大槻文彦『大言海』(冨山房)
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
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草枕


あさなけに見べき君としたのまねば思ひたちぬる草枕なり(古今和歌集)、

の、

草枕、

は、

くさのまくら(大辞林)、

つまり、

旅に、草を枕とすること(大言海)、

の意で、

草を結んで枕として野宿すること、

とある(広辞苑・岩波古語辞典)、

古へ、旅路の宿りに、、仮庵を作るを、草結ぶと云ひ、茅草などを束ねて枕としたり、

ということ(大言海)のようである。

笹枕(ささまくら)、
旅寝、
旅枕、
旅の仮寝、

ともいい、これが転じて、

草枕もみぢむしろに替へたらば心をくだくものならましや(後撰和歌集)、

と、

旅先でのわびしい宿泊や仮の宿、

を暗示したり、

さもこそは都のほかに宿りせめうたて露けき草まくらかな(後拾遺和歌集)、

と、

わびしい旅寝、

朝なけに見べき君とし頼まねば思ひ立ちぬるくさまくらなり(古今和歌集)、

と、

わびしい旅、

と、

旅寝、

あるいは、

旅、

の意で使われる(精選版日本国語大辞典)。この意の、

草枕、

が、転じて、

「たび(旅)」「むすぶ(結ぶ)」「ゆふ(結ふ)」「かり(仮)」「つゆ(露)」「たご(多胡)」、

等々にかかる、

枕詞、

として使わる(広辞苑)、たとえば、

久佐麻久良(クサマクラ)旅行く君を幸(さき)くあれと斎瓮(いはひへ)据ゑつ我が床の辺に(万葉集)、
家にあれば笥(ケ)に盛る飯を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る(仝上)、

と、

道の辺の草を枕にして寝る意で

旅、

にかかり、

草まくらこの旅寝にぞ思ひ知る月より外の友無かりけり(金葉和歌集)、

と、

「枕」の語に、寝るということとのつながりを感ずるところ、

からか、

旅寝、

にかかり、

草枕このたび経つる年月の憂きはかへりて嬉しからなん(後撰和歌集)、

と、


「旅(たび)」と同音の「たび(度)」または、それを含む連語、

にかかり、

草枕夕風寒くなりにけり衣うつなる宿や借らまし(新古今和歌集)、

と、

草の枕を「結ふ」意で、「結ふ」と同音の「ゆふ(夕)」を含む連語や地名「ゆふ山」、

等々にかかる(精選版日本国語大辞典)。

「草」.gif

(「草」 https://kakijun.jp/page/0965200.htmlより)

「草」(ソウ)の字は、「」で触れたが、

形声。「艸+音符早」。原義は、くぬぎ、またははんのきの実であるが、のち、原義は別の字であらわし、草の字を古くから艸の字に当てて代用する、

とある(漢字源・角川新字源)。別に、

形声。「艸」+音符「早」。「くさ」(cǎo)を意味する字は本来「艸」であり、「草」は「どんぐり」(zào)を意味したが、のちに「草」が「くさ」を意味するようになり、「どんぐり」の意味には「皁」(「皂」)を用いるようになった、

ともhttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E8%8D%89

形声文字です(艸+早)。「並び生えた草」の象形(「くさ」の意味)と「太陽の象形と人の頭の象形」(人の頭上に太陽があがりはじめる朝の意味から、「早い」の意味だが、ここでは、「艸(そう)」に通じ、「くさ」の意味)から、「くさ」を意味する「草」という漢字が成り立ちました、

ともあるhttps://okjiten.jp/kanji67.html

「艸」.gif


「艸」 中国最古の字書『説文解字』.png

(「艸」 中国最古の字書『説文解字』(後漢・許慎)・漢 https://ja.wiktionary.org/wiki/%E8%89%B8より)

「艸」(ソウ)は、

くさの並んで生え出るさまを表した字、「艹(くさかんむり)」の原形、

とありhttps://www.kanjipedia.jp/kanji/0004210000/

象形。草が並んで生えている形、

または、

「屮」(草の芽の出る様を象る)を並べた会意文字、

とあるhttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E8%89%B8

「枕」.gif


「枕」(慣用チン、漢音・呉音シン)は、「南枕」で触れたように、

会意兼形声。冘(イン・ユウ)は、人の肩や首を重荷でおさえて、下に押し下げるさま。古い字は、牛を川の中に沈めるさま。枕はそれを音符とし、木を加えた字で、頭でおしさげる木製のまくら、

とある(漢字源)。音符冘(イム)→(シム)と音変化したらしい(角川新字源)。別に、

会意形声。「木」+音符「冘」。「冘」は、H字形のもので押しつけ「沈」めることを意味。頭で押しつける木製のまくらを意味したものhttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E6%9E%95

会意兼形声文字です(木+冘)。「大地を覆う木」の象形と「人がまくらに頭を沈める」象形から、「(木製の)まくら」を意味する「枕」という漢字が成り立ちましたhttps://okjiten.jp/kanji2133.html

等々の解釈もある。共通するのは、「木製のまくら」とである。

参考文献;
大槻文彦『大言海』(冨山房)
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
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草枕


あさなけに見べき君としたのまねば思ひたちぬる草枕なり(古今和歌集)、

の、

草枕、

は、

くさのまくら(大辞林)、

つまり、

旅に、草を枕とすること(大言海)、

の意で、

草を結んで枕として野宿すること、

とある(広辞苑・岩波古語辞典)、

古へ、旅路の宿りに、、仮庵を作るを、草結ぶと云ひ、茅草などを束ねて枕としたり、

ということ(大言海)のようである。

笹枕(ささまくら)、
旅寝、
旅枕、
旅の仮寝、

ともいい、これが転じて、

草枕もみぢむしろに替へたらば心をくだくものならましや(後撰和歌集)、

と、

旅先でのわびしい宿泊や仮の宿、

を暗示したり、

さもこそは都のほかに宿りせめうたて露けき草まくらかな(後拾遺和歌集)、

と、

わびしい旅寝、

朝なけに見べき君とし頼まねば思ひ立ちぬるくさまくらなり(古今和歌集)、

と、

わびしい旅、

と、

旅寝、

あるいは、

旅、

の意で使われる(精選版日本国語大辞典)。この意の、

草枕、

が、転じて、

「たび(旅)」「むすぶ(結ぶ)」「ゆふ(結ふ)」「かり(仮)」「つゆ(露)」「たご(多胡)」、

等々にかかる、

枕詞、

として使わる(広辞苑)、たとえば、

久佐麻久良(クサマクラ)旅行く君を幸(さき)くあれと斎瓮(いはひへ)据ゑつ我が床の辺に(万葉集)、
家にあれば笥(ケ)に盛る飯を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る(仝上)、

と、

道の辺の草を枕にして寝る意で

旅、

にかかり、

草まくらこの旅寝にぞ思ひ知る月より外の友無かりけり(金葉和歌集)、

と、

「枕」の語に、寝るということとのつながりを感ずるところ、

からか、

旅寝、

にかかり、

草枕このたび経つる年月の憂きはかへりて嬉しからなん(後撰和歌集)、

と、


「旅(たび)」と同音の「たび(度)」または、それを含む連語、

にかかり、

草枕夕風寒くなりにけり衣うつなる宿や借らまし(新古今和歌集)、

と、

草の枕を「結ふ」意で、「結ふ」と同音の「ゆふ(夕)」を含む連語や地名「ゆふ山」、

等々にかかる(精選版日本国語大辞典)。

「草」.gif

(「草」 https://kakijun.jp/page/0965200.htmlより)

「草」(ソウ)の字は、「」で触れたが、

形声。「艸+音符早」。原義は、くぬぎ、またははんのきの実であるが、のち、原義は別の字であらわし、草の字を古くから艸の字に当てて代用する、

とある(漢字源・角川新字源)。別に、

形声。「艸」+音符「早」。「くさ」(cǎo)を意味する字は本来「艸」であり、「草」は「どんぐり」(zào)を意味したが、のちに「草」が「くさ」を意味するようになり、「どんぐり」の意味には「皁」(「皂」)を用いるようになった、

ともhttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E8%8D%89

形声文字です(艸+早)。「並び生えた草」の象形(「くさ」の意味)と「太陽の象形と人の頭の象形」(人の頭上に太陽があがりはじめる朝の意味から、「早い」の意味だが、ここでは、「艸(そう)」に通じ、「くさ」の意味)から、「くさ」を意味する「草」という漢字が成り立ちました、

ともあるhttps://okjiten.jp/kanji67.html

「艸」.gif


「艸」 中国最古の字書『説文解字』.png

(「艸」 中国最古の字書『説文解字』(後漢・許慎)・漢 https://ja.wiktionary.org/wiki/%E8%89%B8より)

「艸」(ソウ)は、

くさの並んで生え出るさまを表した字、「艹(くさかんむり)」の原形、

とありhttps://www.kanjipedia.jp/kanji/0004210000/

象形。草が並んで生えている形、

または、

「屮」(草の芽の出る様を象る)を並べた会意文字、

とあるhttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E8%89%B8

「枕」.gif


「枕」(慣用チン、漢音・呉音シン)は、「南枕」で触れたように、

会意兼形声。冘(イン・ユウ)は、人の肩や首を重荷でおさえて、下に押し下げるさま。古い字は、牛を川の中に沈めるさま。枕はそれを音符とし、木を加えた字で、頭でおしさげる木製のまくら、

とある(漢字源)。音符冘(イム)→(シム)と音変化したらしい(角川新字源)。別に、

会意形声。「木」+音符「冘」。「冘」は、H字形のもので押しつけ「沈」めることを意味。頭で押しつける木製のまくらを意味したものhttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E6%9E%95

会意兼形声文字です(木+冘)。「大地を覆う木」の象形と「人がまくらに頭を沈める」象形から、「(木製の)まくら」を意味する「枕」という漢字が成り立ちましたhttps://okjiten.jp/kanji2133.html

等々の解釈もある。共通するのは、「木製のまくら」とである。

参考文献;
大槻文彦『大言海』(冨山房)
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
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あさなけに見べき君としたのまねば思ひたちぬる草枕なり(古今和歌集)、

の、

草枕、

は、

くさのまくら(大辞林)、

つまり、

旅に、草を枕とすること(大言海)、

の意で、

草を結んで枕として野宿すること、

とある(広辞苑・岩波古語辞典)、

古へ、旅路の宿りに、、仮庵を作るを、草結ぶと云ひ、茅草などを束ねて枕としたり、

ということ(大言海)のようである。

笹枕(ささまくら)、
旅寝、
旅枕、
旅の仮寝、

ともいい、これが転じて、

草枕もみぢむしろに替へたらば心をくだくものならましや(後撰和歌集)、

と、

旅先でのわびしい宿泊や仮の宿、

を暗示したり、

さもこそは都のほかに宿りせめうたて露けき草まくらかな(後拾遺和歌集)、

と、

わびしい旅寝、

朝なけに見べき君とし頼まねば思ひ立ちぬるくさまくらなり(古今和歌集)、

と、

わびしい旅、

と、

旅寝、

あるいは、

旅、

の意で使われる(精選版日本国語大辞典)。この意の、

草枕、

が、転じて、

「たび(旅)」「むすぶ(結ぶ)」「ゆふ(結ふ)」「かり(仮)」「つゆ(露)」「たご(多胡)」、

等々にかかる、

枕詞、

として使わる(広辞苑)、たとえば、

久佐麻久良(クサマクラ)旅行く君を幸(さき)くあれと斎瓮(いはひへ)据ゑつ我が床の辺に(万葉集)、
家にあれば笥(ケ)に盛る飯を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る(仝上)、

と、

道の辺の草を枕にして寝る意で

旅、

にかかり、

草まくらこの旅寝にぞ思ひ知る月より外の友無かりけり(金葉和歌集)、

と、

「枕」の語に、寝るということとのつながりを感ずるところ、

からか、

旅寝、

にかかり、

草枕このたび経つる年月の憂きはかへりて嬉しからなん(後撰和歌集)、

と、


「旅(たび)」と同音の「たび(度)」または、それを含む連語、

にかかり、

草枕夕風寒くなりにけり衣うつなる宿や借らまし(新古今和歌集)、

と、

草の枕を「結ふ」意で、「結ふ」と同音の「ゆふ(夕)」を含む連語や地名「ゆふ山」、

等々にかかる(精選版日本国語大辞典)。

「草」.gif

(「草」 https://kakijun.jp/page/0965200.htmlより)

「草」(ソウ)の字は、「」で触れたが、

形声。「艸+音符早」。原義は、くぬぎ、またははんのきの実であるが、のち、原義は別の字であらわし、草の字を古くから艸の字に当てて代用する、

とある(漢字源・角川新字源)。別に、

形声。「艸」+音符「早」。「くさ」(cǎo)を意味する字は本来「艸」であり、「草」は「どんぐり」(zào)を意味したが、のちに「草」が「くさ」を意味するようになり、「どんぐり」の意味には「皁」(「皂」)を用いるようになった、

ともhttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E8%8D%89

形声文字です(艸+早)。「並び生えた草」の象形(「くさ」の意味)と「太陽の象形と人の頭の象形」(人の頭上に太陽があがりはじめる朝の意味から、「早い」の意味だが、ここでは、「艸(そう)」に通じ、「くさ」の意味)から、「くさ」を意味する「草」という漢字が成り立ちました、

ともあるhttps://okjiten.jp/kanji67.html

「艸」.gif


「艸」 中国最古の字書『説文解字』.png

(「艸」 中国最古の字書『説文解字』(後漢・許慎)・漢 https://ja.wiktionary.org/wiki/%E8%89%B8より)

「艸」(ソウ)は、

くさの並んで生え出るさまを表した字、「艹(くさかんむり)」の原形、

とありhttps://www.kanjipedia.jp/kanji/0004210000/

象形。草が並んで生えている形、

または、

「屮」(草の芽の出る様を象る)を並べた会意文字、

とあるhttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E8%89%B8

「枕」.gif


「枕」(慣用チン、漢音・呉音シン)は、「南枕」で触れたように、

会意兼形声。冘(イン・ユウ)は、人の肩や首を重荷でおさえて、下に押し下げるさま。古い字は、牛を川の中に沈めるさま。枕はそれを音符とし、木を加えた字で、頭でおしさげる木製のまくら、

とある(漢字源)。音符冘(イム)→(シム)と音変化したらしい(角川新字源)。別に、

会意形声。「木」+音符「冘」。「冘」は、H字形のもので押しつけ「沈」めることを意味。頭で押しつける木製のまくらを意味したものhttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E6%9E%95

会意兼形声文字です(木+冘)。「大地を覆う木」の象形と「人がまくらに頭を沈める」象形から、「(木製の)まくら」を意味する「枕」という漢字が成り立ちましたhttps://okjiten.jp/kanji2133.html

等々の解釈もある。共通するのは、「木製のまくら」とである。

参考文献;
大槻文彦『大言海』(冨山房)
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

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夕暮れの籬(まがき)は山と見えななむ夜は越えじと宿りとるべく(古今和歌集)、

の、

ななむ、

は、

完了の助動詞「ぬ」の未然形「な」とあつらえのぞむ意の助詞「なむ」、

籬(まがき)、

は、

柴などで編んだ粗末な垣根、

とある(高田祐彦訳注『新版古今和歌集』)。和名類聚抄(平安中期)に、

籬、末加岐、一云、末世、以柴作之

字鏡(平安後期頃)には、

稱、曼世、

とあり、

籬、

は、

ませ、

とも訓ませ、

ませがき(籬垣・閒狭垣)、

ともいい(広辞苑・大言海)、

竹・柴などを粗く編んでつくった垣、

で(仝上)、

ませごし(籬越・馬柵越)、

という言葉があり、

籬垣(ませがき)を越えて、品物を授受したりなどすること、

あるいは、

馬柵(ませ)を越えて物事をすること、

という意味のように、

低く目のあらい垣、

のようである(仝上)。

籬(まがき)、

は、近世になって、

柵、

とも当て、

名におふ嶋原や、籬(マガキ)のかいまみに首尾をたどらぬはなし(仮名草子・都風俗鑑)、

と、

新吉原のの入口の土間と張見世(みせ)の間を仕切る格子戸、またはその張見世、

の意で使われるに至る(岩波古語辞典・精選版日本国語大辞典)。

まがき(籬)の由来は、

閒垣の義、閒閒を隔つる意(大言海)、
間垣の義(名語記・言元梯・名言通・和訓栞・本朝辞源=宇田甘冥)、
マヘガキ(前垣)の略か(万葉代匠記・日本釈名・北辺随筆・和訓栞)、
メカキ(目垣)の略(名語記・日本語原学=林甕臣)、
馬垣の義(箋注和名抄)、

ませ(籬)の由来は、

「間塞」または「馬塞」の意という(広辞苑)、
マ(間)セ(塞)の意(岩波古語辞典)、
「間狭ませ」の意か(デジタル大辞泉)、
閒狭の義と云ふ、或は云ふ馬塞の義(大言海)、
馬塞の義(万葉考・言元梯・日本語源=賀茂百樹)
ムマサエまたムマサケ(馬礙)の反(名語記)、

とある。どれかとする決め手はない。

間、

ともとれるし、それが、

狭い、

とも、
塞ぐ、

ともとれるが、共通する、

馬塞、

にちょっと惹かれるが。

ちなみに、垣の種類について、籬の他に、

我が背子に恋ひすべながり安之可伎能(アシカキノ)ほかに歎(なげ)かふ我(あれ)しかなしも(万葉集)、

の、

葦垣(あしがき)は葦で編んだ垣、

しばつち、あみたれじとみ、めぐりはひがき、ながや一つ、さぶらひ(宇津保物語)、

の、

檜垣(ひがき)はヒノキの薄板を網代(あじろ)のように編んだものを木製の枠に張ったもの、

所どころの立蔀 (たてじとみ) 、すいがきなどやうのもの、乱りがはし(枕草子)、

の、

透垣(すいがき)は割竹を縦に編むように木製の枠に張ったもの、

行くへも遠き山陰の、ししがきの道の険 (さが) しきに(謡曲・紅葉狩)、

の、

鹿垣(ししがき)は枝つきの木を人字形に組んだ柴垣、

大君の 御子の志婆加岐(シバカキ) 八節結(やふじま)り 結(しま)り廻(もとほ)し 截(き)れむ志婆加岐(シバカキ) 焼けむ志婆加岐(シバカキ)(古事記)、

の、

柴垣(しばがき、古くは「しばかき」)は柴木を編んで作った垣根、

門柱に椿井民部(つはゐみんぶ)と筆太に張札して、菱垣(ヒシカキ)のかりなる風情(浮世草子・武道伝来記)、

の、

菱垣(ひしがき)は割り竹をひしがたに組んで結った垣、

下手に建仁寺垣・竹の素戸(歌舞伎・お染久松色読販)、

の、

建仁寺垣(けんにんじがき)は、京都の建仁寺で初めて用いたという形式で、四つ割り竹を皮を外にして平たく並べ、竹の押縁(おしぶち)を横にとりつけ縄で結んだ垣、

等々がある(世界大百科事典・広辞苑・精選版日本国語大辞典)。

「籬」.gif


「籬」(リ)は、

会意兼形声。「竹+音符離(リ 別々のものをくっつける)」、

とある。

参考文献;
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
大槻文彦『大言海』(冨山房)
前田富祺編『日本語源大辞典』(小学館)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
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ラベル:籬(まがき)
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草枕


あさなけに見べき君としたのまねば思ひたちぬる草枕なり(古今和歌集)、

の、

草枕、

は、

くさのまくら(大辞林)、

つまり、

旅に、草を枕とすること(大言海)、

の意で、

草を結んで枕として野宿すること、

とある(広辞苑・岩波古語辞典)、

古へ、旅路の宿りに、、仮庵を作るを、草結ぶと云ひ、茅草などを束ねて枕としたり、

ということ(大言海)のようである。

笹枕(ささまくら)、
旅寝、
旅枕、
旅の仮寝、

ともいい、これが転じて、

草枕もみぢむしろに替へたらば心をくだくものならましや(後撰和歌集)、

と、

旅先でのわびしい宿泊や仮の宿、

を暗示したり、

さもこそは都のほかに宿りせめうたて露けき草まくらかな(後拾遺和歌集)、

と、

わびしい旅寝、

朝なけに見べき君とし頼まねば思ひ立ちぬるくさまくらなり(古今和歌集)、

と、

わびしい旅、

と、

旅寝、

あるいは、

旅、

の意で使われる(精選版日本国語大辞典)。この意の、

草枕、

が、転じて、

「たび(旅)」「むすぶ(結ぶ)」「ゆふ(結ふ)」「かり(仮)」「つゆ(露)」「たご(多胡)」、

等々にかかる、

枕詞、

として使わる(広辞苑)、たとえば、

久佐麻久良(クサマクラ)旅行く君を幸(さき)くあれと斎瓮(いはひへ)据ゑつ我が床の辺に(万葉集)、
家にあれば笥(ケ)に盛る飯を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る(仝上)、

と、

道の辺の草を枕にして寝る意で

旅、

にかかり、

草まくらこの旅寝にぞ思ひ知る月より外の友無かりけり(金葉和歌集)、

と、

「枕」の語に、寝るということとのつながりを感ずるところ、

からか、

旅寝、

にかかり、

草枕このたび経つる年月の憂きはかへりて嬉しからなん(後撰和歌集)、

と、


「旅(たび)」と同音の「たび(度)」または、それを含む連語、

にかかり、

草枕夕風寒くなりにけり衣うつなる宿や借らまし(新古今和歌集)、

と、

草の枕を「結ふ」意で、「結ふ」と同音の「ゆふ(夕)」を含む連語や地名「ゆふ山」、

等々にかかる(精選版日本国語大辞典)。

「草」.gif

(「草」 https://kakijun.jp/page/0965200.htmlより)

「草」(ソウ)の字は、「」で触れたが、

形声。「艸+音符早」。原義は、くぬぎ、またははんのきの実であるが、のち、原義は別の字であらわし、草の字を古くから艸の字に当てて代用する、

とある(漢字源・角川新字源)。別に、

形声。「艸」+音符「早」。「くさ」(cǎo)を意味する字は本来「艸」であり、「草」は「どんぐり」(zào)を意味したが、のちに「草」が「くさ」を意味するようになり、「どんぐり」の意味には「皁」(「皂」)を用いるようになった、

ともhttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E8%8D%89

形声文字です(艸+早)。「並び生えた草」の象形(「くさ」の意味)と「太陽の象形と人の頭の象形」(人の頭上に太陽があがりはじめる朝の意味から、「早い」の意味だが、ここでは、「艸(そう)」に通じ、「くさ」の意味)から、「くさ」を意味する「草」という漢字が成り立ちました、

ともあるhttps://okjiten.jp/kanji67.html

「艸」.gif



「艸」 中国最古の字書『説文解字』.png

(「艸」 中国最古の字書『説文解字』(後漢・許慎)・漢 https://ja.wiktionary.org/wiki/%E8%89%B8より)

「艸」(ソウ)は、

くさの並んで生え出るさまを表した字、「艹(くさかんむり)」の原形、

とありhttps://www.kanjipedia.jp/kanji/0004210000/

象形。草が並んで生えている形、

または、

「屮」(草の芽の出る様を象る)を並べた会意文字、

とあるhttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E8%89%B8

「枕」.gif


「枕」(慣用チン、漢音・呉音シン)は、「南枕」で触れたように、

会意兼形声。冘(イン・ユウ)は、人の肩や首を重荷でおさえて、下に押し下げるさま。古い字は、牛を川の中に沈めるさま。枕はそれを音符とし、木を加えた字で、頭でおしさげる木製のまくら、

とある(漢字源)。音符冘(イム)→(シム)と音変化したらしい(角川新字源)。別に、

会意形声。「木」+音符「冘」。「冘」は、H字形のもので押しつけ「沈」めることを意味。頭で押しつける木製のまくらを意味したものhttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E6%9E%95

会意兼形声文字です(木+冘)。「大地を覆う木」の象形と「人がまくらに頭を沈める」象形から、「(木製の)まくら」を意味する「枕」という漢字が成り立ちましたhttps://okjiten.jp/kanji2133.html

等々の解釈もある。共通するのは、「木製のまくら」とである。

参考文献;
大槻文彦『大言海』(冨山房)
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

ラベル:草枕
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草枕


あさなけに見べき君としたのまねば思ひたちぬる草枕なり(古今和歌集)、

の、

草枕、

は、

くさのまくら(大辞林)、

つまり、

旅に、草を枕とすること(大言海)、

の意で、

草を結んで枕として野宿すること、

とある(広辞苑・岩波古語辞典)、

古へ、旅路の宿りに、、仮庵を作るを、草結ぶと云ひ、茅草などを束ねて枕としたり、

ということ(大言海)のようである。

笹枕(ささまくら)、
旅寝、
旅枕、
旅の仮寝、

ともいい、これが転じて、

草枕もみぢむしろに替へたらば心をくだくものならましや(後撰和歌集)、

と、

旅先でのわびしい宿泊や仮の宿、

を暗示したり、

さもこそは都のほかに宿りせめうたて露けき草まくらかな(後拾遺和歌集)、

と、

わびしい旅寝、

朝なけに見べき君とし頼まねば思ひ立ちぬるくさまくらなり(古今和歌集)、

と、

わびしい旅、

と、

旅寝、

あるいは、

旅、

の意で使われる(精選版日本国語大辞典)。この意の、

草枕、

が、転じて、

「たび(旅)」「むすぶ(結ぶ)」「ゆふ(結ふ)」「かり(仮)」「つゆ(露)」「たご(多胡)」、

等々にかかる、

枕詞、

として使わる(広辞苑)、たとえば、

久佐麻久良(クサマクラ)旅行く君を幸(さき)くあれと斎瓮(いはひへ)据ゑつ我が床の辺に(万葉集)、
家にあれば笥(ケ)に盛る飯を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る(仝上)、

と、

道の辺の草を枕にして寝る意で

旅、

にかかり、

草まくらこの旅寝にぞ思ひ知る月より外の友無かりけり(金葉和歌集)、

と、

「枕」の語に、寝るということとのつながりを感ずるところ、

からか、

旅寝、

にかかり、

草枕このたび経つる年月の憂きはかへりて嬉しからなん(後撰和歌集)、

と、


「旅(たび)」と同音の「たび(度)」または、それを含む連語、

にかかり、

草枕夕風寒くなりにけり衣うつなる宿や借らまし(新古今和歌集)、

と、

草の枕を「結ふ」意で、「結ふ」と同音の「ゆふ(夕)」を含む連語や地名「ゆふ山」、

等々にかかる(精選版日本国語大辞典)。

「草」.gif

(「草」 https://kakijun.jp/page/0965200.htmlより)

「草」(ソウ)の字は、「」で触れたが、

形声。「艸+音符早」。原義は、くぬぎ、またははんのきの実であるが、のち、原義は別の字であらわし、草の字を古くから艸の字に当てて代用する、

とある(漢字源・角川新字源)。別に、

形声。「艸」+音符「早」。「くさ」(cǎo)を意味する字は本来「艸」であり、「草」は「どんぐり」(zào)を意味したが、のちに「草」が「くさ」を意味するようになり、「どんぐり」の意味には「皁」(「皂」)を用いるようになった、

ともhttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E8%8D%89

形声文字です(艸+早)。「並び生えた草」の象形(「くさ」の意味)と「太陽の象形と人の頭の象形」(人の頭上に太陽があがりはじめる朝の意味から、「早い」の意味だが、ここでは、「艸(そう)」に通じ、「くさ」の意味)から、「くさ」を意味する「草」という漢字が成り立ちました、

ともあるhttps://okjiten.jp/kanji67.html

「艸」.gif



「艸」 中国最古の字書『説文解字』.png

(「艸」 中国最古の字書『説文解字』(後漢・許慎)・漢 https://ja.wiktionary.org/wiki/%E8%89%B8より)

「艸」(ソウ)は、

くさの並んで生え出るさまを表した字、「艹(くさかんむり)」の原形、

とありhttps://www.kanjipedia.jp/kanji/0004210000/

象形。草が並んで生えている形、

または、

「屮」(草の芽の出る様を象る)を並べた会意文字、

とあるhttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E8%89%B8

「枕」.gif


「枕」(慣用チン、漢音・呉音シン)は、「南枕」で触れたように、

会意兼形声。冘(イン・ユウ)は、人の肩や首を重荷でおさえて、下に押し下げるさま。古い字は、牛を川の中に沈めるさま。枕はそれを音符とし、木を加えた字で、頭でおしさげる木製のまくら、

とある(漢字源)。音符冘(イム)→(シム)と音変化したらしい(角川新字源)。別に、

会意形声。「木」+音符「冘」。「冘」は、H字形のもので押しつけ「沈」めることを意味。頭で押しつける木製のまくらを意味したものhttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E6%9E%95

会意兼形声文字です(木+冘)。「大地を覆う木」の象形と「人がまくらに頭を沈める」象形から、「(木製の)まくら」を意味する「枕」という漢字が成り立ちましたhttps://okjiten.jp/kanji2133.html

等々の解釈もある。共通するのは、「木製のまくら」とである。

参考文献;
大槻文彦『大言海』(冨山房)
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

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草枕


あさなけに見べき君としたのまねば思ひたちぬる草枕なり(古今和歌集)、

の、

草枕、

は、

くさのまくら(大辞林)、

つまり、

旅に、草を枕とすること(大言海)、

の意で、

草を結んで枕として野宿すること、

とある(広辞苑・岩波古語辞典)、

古へ、旅路の宿りに、、仮庵を作るを、草結ぶと云ひ、茅草などを束ねて枕としたり、

ということ(大言海)のようである。

笹枕(ささまくら)、
旅寝、
旅枕、
旅の仮寝、

ともいい、これが転じて、

草枕もみぢむしろに替へたらば心をくだくものならましや(後撰和歌集)、

と、

旅先でのわびしい宿泊や仮の宿、

を暗示したり、

さもこそは都のほかに宿りせめうたて露けき草まくらかな(後拾遺和歌集)、

と、

わびしい旅寝、

朝なけに見べき君とし頼まねば思ひ立ちぬるくさまくらなり(古今和歌集)、

と、

わびしい旅、

と、

旅寝、

あるいは、

旅、

の意で使われる(精選版日本国語大辞典)。この意の、

草枕、

が、転じて、

「たび(旅)」「むすぶ(結ぶ)」「ゆふ(結ふ)」「かり(仮)」「つゆ(露)」「たご(多胡)」、

等々にかかる、

枕詞、

として使わる(広辞苑)、たとえば、

久佐麻久良(クサマクラ)旅行く君を幸(さき)くあれと斎瓮(いはひへ)据ゑつ我が床の辺に(万葉集)、
家にあれば笥(ケ)に盛る飯を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る(仝上)、

と、

道の辺の草を枕にして寝る意で

旅、

にかかり、

草まくらこの旅寝にぞ思ひ知る月より外の友無かりけり(金葉和歌集)、

と、

「枕」の語に、寝るということとのつながりを感ずるところ、

からか、

旅寝、

にかかり、

草枕このたび経つる年月の憂きはかへりて嬉しからなん(後撰和歌集)、

と、


「旅(たび)」と同音の「たび(度)」または、それを含む連語、

にかかり、

草枕夕風寒くなりにけり衣うつなる宿や借らまし(新古今和歌集)、

と、

草の枕を「結ふ」意で、「結ふ」と同音の「ゆふ(夕)」を含む連語や地名「ゆふ山」、

等々にかかる(精選版日本国語大辞典)。

「草」.gif

(「草」 https://kakijun.jp/page/0965200.htmlより)

「草」(ソウ)の字は、「」で触れたが、

形声。「艸+音符早」。原義は、くぬぎ、またははんのきの実であるが、のち、原義は別の字であらわし、草の字を古くから艸の字に当てて代用する、

とある(漢字源・角川新字源)。別に、

形声。「艸」+音符「早」。「くさ」(cǎo)を意味する字は本来「艸」であり、「草」は「どんぐり」(zào)を意味したが、のちに「草」が「くさ」を意味するようになり、「どんぐり」の意味には「皁」(「皂」)を用いるようになった、

ともhttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E8%8D%89

形声文字です(艸+早)。「並び生えた草」の象形(「くさ」の意味)と「太陽の象形と人の頭の象形」(人の頭上に太陽があがりはじめる朝の意味から、「早い」の意味だが、ここでは、「艸(そう)」に通じ、「くさ」の意味)から、「くさ」を意味する「草」という漢字が成り立ちました、

ともあるhttps://okjiten.jp/kanji67.html

「艸」.gif



「艸」 中国最古の字書『説文解字』.png

(「艸」 中国最古の字書『説文解字』(後漢・許慎)・漢 https://ja.wiktionary.org/wiki/%E8%89%B8より)

「艸」(ソウ)は、

くさの並んで生え出るさまを表した字、「艹(くさかんむり)」の原形、

とありhttps://www.kanjipedia.jp/kanji/0004210000/

象形。草が並んで生えている形、

または、

「屮」(草の芽の出る様を象る)を並べた会意文字、

とあるhttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E8%89%B8

「枕」.gif


「枕」(慣用チン、漢音・呉音シン)は、「南枕」で触れたように、

会意兼形声。冘(イン・ユウ)は、人の肩や首を重荷でおさえて、下に押し下げるさま。古い字は、牛を川の中に沈めるさま。枕はそれを音符とし、木を加えた字で、頭でおしさげる木製のまくら、

とある(漢字源)。音符冘(イム)→(シム)と音変化したらしい(角川新字源)。別に、

会意形声。「木」+音符「冘」。「冘」は、H字形のもので押しつけ「沈」めることを意味。頭で押しつける木製のまくらを意味したものhttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E6%9E%95

会意兼形声文字です(木+冘)。「大地を覆う木」の象形と「人がまくらに頭を沈める」象形から、「(木製の)まくら」を意味する「枕」という漢字が成り立ちましたhttps://okjiten.jp/kanji2133.html

等々の解釈もある。共通するのは、「木製のまくら」とである。

参考文献;
大槻文彦『大言海』(冨山房)
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
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ラベル:草枕
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草枕


あさなけに見べき君としたのまねば思ひたちぬる草枕なり(古今和歌集)、

の、

草枕、

は、

くさのまくら(大辞林)、

つまり、

旅に、草を枕とすること(大言海)、

の意で、

草を結んで枕として野宿すること、

とある(広辞苑・岩波古語辞典)、

古へ、旅路の宿りに、、仮庵を作るを、草結ぶと云ひ、茅草などを束ねて枕としたり、

ということ(大言海)のようである。

笹枕(ささまくら)、
旅寝、
旅枕、
旅の仮寝、

ともいい、これが転じて、

草枕もみぢむしろに替へたらば心をくだくものならましや(後撰和歌集)、

と、

旅先でのわびしい宿泊や仮の宿、

を暗示したり、

さもこそは都のほかに宿りせめうたて露けき草まくらかな(後拾遺和歌集)、

と、

わびしい旅寝、

朝なけに見べき君とし頼まねば思ひ立ちぬるくさまくらなり(古今和歌集)、

と、

わびしい旅、

と、

旅寝、

あるいは、

旅、

の意で使われる(精選版日本国語大辞典)。この意の、

草枕、

が、転じて、

「たび(旅)」「むすぶ(結ぶ)」「ゆふ(結ふ)」「かり(仮)」「つゆ(露)」「たご(多胡)」、

等々にかかる、

枕詞、

として使わる(広辞苑)、たとえば、

久佐麻久良(クサマクラ)旅行く君を幸(さき)くあれと斎瓮(いはひへ)据ゑつ我が床の辺に(万葉集)、
家にあれば笥(ケ)に盛る飯を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る(仝上)、

と、

道の辺の草を枕にして寝る意で

旅、

にかかり、

草まくらこの旅寝にぞ思ひ知る月より外の友無かりけり(金葉和歌集)、

と、

「枕」の語に、寝るということとのつながりを感ずるところ、

からか、

旅寝、

にかかり、

草枕このたび経つる年月の憂きはかへりて嬉しからなん(後撰和歌集)、

と、


「旅(たび)」と同音の「たび(度)」または、それを含む連語、

にかかり、

草枕夕風寒くなりにけり衣うつなる宿や借らまし(新古今和歌集)、

と、

草の枕を「結ふ」意で、「結ふ」と同音の「ゆふ(夕)」を含む連語や地名「ゆふ山」、

等々にかかる(精選版日本国語大辞典)。

「草」.gif

(「草」 https://kakijun.jp/page/0965200.htmlより)

「草」(ソウ)の字は、「」で触れたが、

形声。「艸+音符早」。原義は、くぬぎ、またははんのきの実であるが、のち、原義は別の字であらわし、草の字を古くから艸の字に当てて代用する、

とある(漢字源・角川新字源)。別に、

形声。「艸」+音符「早」。「くさ」(cǎo)を意味する字は本来「艸」であり、「草」は「どんぐり」(zào)を意味したが、のちに「草」が「くさ」を意味するようになり、「どんぐり」の意味には「皁」(「皂」)を用いるようになった、

ともhttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E8%8D%89

形声文字です(艸+早)。「並び生えた草」の象形(「くさ」の意味)と「太陽の象形と人の頭の象形」(人の頭上に太陽があがりはじめる朝の意味から、「早い」の意味だが、ここでは、「艸(そう)」に通じ、「くさ」の意味)から、「くさ」を意味する「草」という漢字が成り立ちました、

ともあるhttps://okjiten.jp/kanji67.html

「艸」.gif



「艸」 中国最古の字書『説文解字』.png

(「艸」 中国最古の字書『説文解字』(後漢・許慎)・漢 https://ja.wiktionary.org/wiki/%E8%89%B8より)

「艸」(ソウ)は、

くさの並んで生え出るさまを表した字、「艹(くさかんむり)」の原形、

とありhttps://www.kanjipedia.jp/kanji/0004210000/

象形。草が並んで生えている形、

または、

「屮」(草の芽の出る様を象る)を並べた会意文字、

とあるhttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E8%89%B8

「枕」.gif


「枕」(慣用チン、漢音・呉音シン)は、「南枕」で触れたように、

会意兼形声。冘(イン・ユウ)は、人の肩や首を重荷でおさえて、下に押し下げるさま。古い字は、牛を川の中に沈めるさま。枕はそれを音符とし、木を加えた字で、頭でおしさげる木製のまくら、

とある(漢字源)。音符冘(イム)→(シム)と音変化したらしい(角川新字源)。別に、

会意形声。「木」+音符「冘」。「冘」は、H字形のもので押しつけ「沈」めることを意味。頭で押しつける木製のまくらを意味したものhttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E6%9E%95

会意兼形声文字です(木+冘)。「大地を覆う木」の象形と「人がまくらに頭を沈める」象形から、「(木製の)まくら」を意味する「枕」という漢字が成り立ちましたhttps://okjiten.jp/kanji2133.html

等々の解釈もある。共通するのは、「木製のまくら」とである。

参考文献;
大槻文彦『大言海』(冨山房)
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

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草枕


あさなけに見べき君としたのまねば思ひたちぬる草枕なり(古今和歌集)、

の、

草枕、

は、

くさのまくら(大辞林)、

つまり、

旅に、草を枕とすること(大言海)、

の意で、

草を結んで枕として野宿すること、

とある(広辞苑・岩波古語辞典)、

古へ、旅路の宿りに、、仮庵を作るを、草結ぶと云ひ、茅草などを束ねて枕としたり、

ということ(大言海)のようである。

笹枕(ささまくら)、
旅寝、
旅枕、
旅の仮寝、

ともいい、これが転じて、

草枕もみぢむしろに替へたらば心をくだくものならましや(後撰和歌集)、

と、

旅先でのわびしい宿泊や仮の宿、

を暗示したり、

さもこそは都のほかに宿りせめうたて露けき草まくらかな(後拾遺和歌集)、

と、

わびしい旅寝、

朝なけに見べき君とし頼まねば思ひ立ちぬるくさまくらなり(古今和歌集)、

と、

わびしい旅、

と、

旅寝、

あるいは、

旅、

の意で使われる(精選版日本国語大辞典)。この意の、

草枕、

が、転じて、

「たび(旅)」「むすぶ(結ぶ)」「ゆふ(結ふ)」「かり(仮)」「つゆ(露)」「たご(多胡)」、

等々にかかる、

枕詞、

として使わる(広辞苑)、たとえば、

久佐麻久良(クサマクラ)旅行く君を幸(さき)くあれと斎瓮(いはひへ)据ゑつ我が床の辺に(万葉集)、
家にあれば笥(ケ)に盛る飯を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る(仝上)、

と、

道の辺の草を枕にして寝る意で

旅、

にかかり、

草まくらこの旅寝にぞ思ひ知る月より外の友無かりけり(金葉和歌集)、

と、

「枕」の語に、寝るということとのつながりを感ずるところ、

からか、

旅寝、

にかかり、

草枕このたび経つる年月の憂きはかへりて嬉しからなん(後撰和歌集)、

と、


「旅(たび)」と同音の「たび(度)」または、それを含む連語、

にかかり、

草枕夕風寒くなりにけり衣うつなる宿や借らまし(新古今和歌集)、

と、

草の枕を「結ふ」意で、「結ふ」と同音の「ゆふ(夕)」を含む連語や地名「ゆふ山」、

等々にかかる(精選版日本国語大辞典)。

「草」.gif

(「草」 https://kakijun.jp/page/0965200.htmlより)

「草」(ソウ)の字は、「」で触れたが、

形声。「艸+音符早」。原義は、くぬぎ、またははんのきの実であるが、のち、原義は別の字であらわし、草の字を古くから艸の字に当てて代用する、

とある(漢字源・角川新字源)。別に、

形声。「艸」+音符「早」。「くさ」(cǎo)を意味する字は本来「艸」であり、「草」は「どんぐり」(zào)を意味したが、のちに「草」が「くさ」を意味するようになり、「どんぐり」の意味には「皁」(「皂」)を用いるようになった、

ともhttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E8%8D%89

形声文字です(艸+早)。「並び生えた草」の象形(「くさ」の意味)と「太陽の象形と人の頭の象形」(人の頭上に太陽があがりはじめる朝の意味から、「早い」の意味だが、ここでは、「艸(そう)」に通じ、「くさ」の意味)から、「くさ」を意味する「草」という漢字が成り立ちました、

ともあるhttps://okjiten.jp/kanji67.html

「艸」.gif



「艸」 中国最古の字書『説文解字』.png

(「艸」 中国最古の字書『説文解字』(後漢・許慎)・漢 https://ja.wiktionary.org/wiki/%E8%89%B8より)

「艸」(ソウ)は、

くさの並んで生え出るさまを表した字、「艹(くさかんむり)」の原形、

とありhttps://www.kanjipedia.jp/kanji/0004210000/

象形。草が並んで生えている形、

または、

「屮」(草の芽の出る様を象る)を並べた会意文字、

とあるhttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E8%89%B8

「枕」.gif


「枕」(慣用チン、漢音・呉音シン)は、「南枕」で触れたように、

会意兼形声。冘(イン・ユウ)は、人の肩や首を重荷でおさえて、下に押し下げるさま。古い字は、牛を川の中に沈めるさま。枕はそれを音符とし、木を加えた字で、頭でおしさげる木製のまくら、

とある(漢字源)。音符冘(イム)→(シム)と音変化したらしい(角川新字源)。別に、

会意形声。「木」+音符「冘」。「冘」は、H字形のもので押しつけ「沈」めることを意味。頭で押しつける木製のまくらを意味したものhttps://ja.wiktionary.org/wiki/%E6%9E%95

会意兼形声文字です(木+冘)。「大地を覆う木」の象形と「人がまくらに頭を沈める」象形から、「(木製の)まくら」を意味する「枕」という漢字が成り立ちましたhttps://okjiten.jp/kanji2133.html

等々の解釈もある。共通するのは、「木製のまくら」とである。

参考文献;
大槻文彦『大言海』(冨山房)
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

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