2024年03月24日
杪冬
杪冬正三五(杪冬、正に三五)、
日月遥相望(日月(日月)、遥かに相望む)(崔曙・早発交崖山還太室作)、
の、
杪冬(びょうとう)、
の、
杪は末、冬の末とは、陰暦十二月のこと、
とある(前野直彬注解『唐詩選』)。
「杪」(漢音ビョウ、呉音ミョウ)は、
会意文字。「木+少」で、細い、幽かな等々の意を含む、
とあり(漢字源)、
枝の先、
つまり、
こずえ、
の意や、それをメタファに、
年や季節の末、
の意で、
歳之杪、
で、
歳の杪、
と使う。で、
杪冬、
は、
冬の終わり、晩冬、
の意で、
陰暦12月の異称、
でもある(デジタル大辞泉)。
だから、夏の終わりは、
晩夏、
ともいうが、
杪夏(びょうか)、
で、
秋の終わり、
は、
晩秋、
ともいうが、
杪秋(びょうしゅう)、
といい、
杪商(びょうしょう)、
ともいい、
陰暦9月の異称、
であり、春の終りは、
晩春、
季春、
暮春、
ともいうが、
杪春(びょうしゅん)、
といい、
陰暦の三月、
を指し、年の終わりは、
交霜雪於杪歳、晦風雨於将晨(晉書・桓彝傳)、
と、
歳杪、
歳暮、
歳尾、
ともいうが、
杪歳(びょうさい)、
という(仝上・精選版日本国語大辞典)。なお、「春」、「夏」、「秋」、「冬」、については触れた。
「冬」(トウ)の字は、「冬」で触れたように、
象形。もと、食物をぶらさげて貯蔵したさまを描いたもの。のち、冫印(氷)を加えて氷結する季節の意を加えた。物を収蔵する時節のこと。音トウは、蓄えるの語尾がのびたもの、
とあり(漢字源)、別に、
会意文字です(日+夂)。「太陽」の象形と「糸の最後の結び目」の象形から、1年の月日の終わりの季節、「ふゆ」を意味する「冬」という漢字が成り立ちました、
とも(https://okjiten.jp/kanji93.html)あるが、
元は上部(𠂂>夂)のみ。後に、氷を意味する「冫」を加え、寒い季節であることを強調。「ふゆ」を意味する漢語{冬 /*tuung/}を表す、
とあり(https://ja.wiktionary.org/wiki/%E5%86%AC)、「𠂂」の字源は不明。上のような説があるが定説は無い(仝上)とする。
参考文献;
簡野道明『字源』(角川書店)
藤堂明保他編『漢字源』(学習研究社)
前野直彬注解『唐詩選』(岩波文庫)
ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95