しきたへ

わが恋を人知るらめやしきたへの枕のみこそ知らば知るらめ(古今和歌集)、 しきたへの枕の下に海はあれど人をみるめはおひずぞありける(古今和歌集)、 の、 しきたへの、 は、 枕、床、袖などににかかる枕詞、 とある(高田祐彦訳注『新版古今和歌集』)。 しきたえ、 は、 敷栲、 敷妙、 と当て、 共寝するために敷く栲(たへ)、 …

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下紐

思ふとも恋ふともあはむものなれやゆふ手もたゆくとくる下紐(古今和歌集)、 の、 とくる下紐、 は、 下紐が解けるのは、思いを寄せる相手と逢える前兆と信じられていた、 とある(高田祐彦訳注『新版古今和歌集』)。 下紐(したひも)、 は、 装束の下、肌着の上に結ぶ帯、したおび、 とあり(精選版日本国語大辞典)、 下裳(したも)などのひも…

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ゆたのたゆたに

いでわれを人なとがめそ大舟のゆたのたゆたにもの思ふころぞ(新古今和歌集)、 の、 ゆたのたゆたに、 は、 あが心ゆたにたゆたに浮き蓴(ぬなは)辺(へ)にも沖にも寄りかつましじ(万葉集)、 の、 「ゆたにたゆたに」の転、 とある(高田祐彦訳注『新版古今和歌集』)。なお、 蓴(ぬなは)、 は、 スイレン科の水生の多年草の蓴菜(じゅんさい…

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幕府

月卿臨幕府(月卿(げっけい)は幕府に臨み) 星使出詞曹(星使(せいし)は詞曹(しそう)より出でたり)(高適・送柴司戸充劉卿判官之嶺外) の、 幕府、 は、 節度使(劉卿)は本来武官であるが、駐屯する地方の行政権をも委譲されており、その執務する役所を幕府という、 とある(前野直彬注解『唐詩選』)。 月卿、 は、 朝廷にいる公卿、 を指し、…

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うけ

伊勢の海に釣りする海人(あま)のうけなれや心一つを定めかねつる(古今和歌集)、 の、 うけ、 は、 釣りをするときの浮子、 とある(高田祐彦訳注『新版古今和歌集』)。 うけ、 は、 食、 と当てると、 保食神、此云宇気母知能加微(うけもちの神)(日本書紀)、 と、 食物、 の意(岩波古語辞典)、 筌、 …

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獨夫(どくふ)

舊俗疲庸主(舊俗 庸主に疲れ) 群雄問獨夫(群雄 獨夫に問う) 讖歸龍鳳質(讖(しん)は龍鳳の質に帰し) 威定虎狼都(威(い)は虎狼の都を定めたり)(杜甫・行次昭陵) の、 讖、 は、 予言、 龍鳳質、 の、 龍鳳、 は、 天子の象徴、 で、 天子になるべき素質、 の意で、 唐の太宗、 をさす(前野直彬…

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人日

今年人日空相憶(今年(こんねん)の人日 空しく相憶(おも)う) 明年人日知何處(明年(みょうねん)の人日 知んぬ何れの處ぞ)(高適・人日寄杜二拾遺) の、 人日(じんじつ)、 は、 陰暦の正月七日、 をいい、民間の風習で、 正月元日を鶏の日、 二日を狗(いぬ)の日、 三日を豚の日、 四日を羊の日、 五日を牛の日、 六日を馬の日、 七日を人の日…

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吹毛

烏孫腰間佩两刀(烏孫(うそん) 腰間に两刀を佩(お)ぶ) 刃可吹毛錦為帯(刃(やいば)は毛を吹く可く錦を帯と為す)(李頎・崔五丈図屏風各賦一物得烏孫佩刀) の、 吹毛、 は、 刃の上に毛をふきつけると、毛が二つに切れて落ちる、刃の鋭いことをいう。吹毛の剣という名の名刀もある、 と注記がある(前野直彬注解『唐詩選』)。 吹毛(すいもう)、 は、文字通…

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すがらに

恋ひ死ねとするわざならしむばたまの夜はすがらに夢に見えつつ(古今和歌集)、 の、 すがらに、 は、 ……の間ずっと、 の意とある(高田祐彦訳注『新版古今和歌集』)。 すがら、 は、 ぬばたまの夜は須我良(スガラ)にあからひく日も暮るるまで嘆けどもしるしを無み(万葉)、 と、 多く「に」を伴い、副詞的に用いる、 が(精選版日本国…

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ゆふつけどり

逢坂のゆふつけ鳥もわがごとく人や恋しき音(ね)のみなくらむ(古今和歌集)、 恋ひ恋ひてまれに今宵ぞあふ坂のゆふつけ鳥は鳴かずもあらなむ(仝上)、 たがみそぎゆふつけ鳥か唐衣たつたの山にをりはへて鳴く(仝上)、 の、 ゆふつけどり、 は、 諸説あるが、都の四方の関で祓いをするために用いられた、木綿をつけた鳥のことか、 とある(高田祐彦訳注『新版古今和歌集』)。…

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