2024年04月11日

伏櫪


功成惠養随所致(功成って惠養、致る所に随い)
瓢瓢遠自流沙至(瓢瓢として遠く流沙より至る)
雄姿未受伏櫪恩(雄姿 未だ受けず伏櫪(ふくれき)の恩)
猛氣猶思戦場利(猛氣 猶思う戦場の利)(杜甫・高都御驄馬行)

の、

伏櫪、

の、

櫪、

は、

馬の飼料を入れるおけ。馬がかいばおけに首をつっこんで食べること。馬がうまやで養われることをいう、

とあり(前野直彬注解『唐詩選』)、魏の曹操の、

老驥は櫪に伏するも、志は千里に在り(歩出夏門行)、

にもとづく(仝上)とある。

曹操.jpg


伏櫪、

は、

老驥伏櫪(ろうきふくれき)、

と使われ、

老驥、伏櫪するも、志千里に在り、
烈士、暮年(ぼねん)、壮心(そうしん)已(や)まず(歩出夏門行)、

と、曹操「碣石篇」にあるのによる。

老驥、

は、

老いた駿馬、

の意、

櫪、

はくぬぎの木、

で、転じて、

根太、

の意で、

床下の横木に使うことから馬屋のこと、

とあり(四字熟語辞典)、つまり、

馬小屋で、かいば桶で養われる、

即ち、

老いて養われる、

の意になる(仝上)。で、

老いた駿(しゅん)馬(め)は馬小屋にくすぶっていても、千里を行く志があり、勇士は晩年になっても勇ましい心がなくならない)、

と詠(うた)う(四字熟語辞典)。

櫪馬、

は、

櫪馬非不、所苦常縶維(白居易)、

と、

厩に繋がれている馬、

となる(字源)。

曹操、

は、字は、

孟徳(もうとく)、

後漢末期の軍人・政治家・詩人、

で、魏の創始者、廟号は、

太祖、

諡号は、

武皇帝

であるhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9B%B9%E6%93%8D)

ただ、

伏櫪、

には、別に、漢書・李尋傳に、

不伏櫪不可以趨通、

とあり、その注に、

伏櫪、謂伏槽歷而秣之、

とある。「歷」は「櫪」に通ず(字源)とあり、

伏歷、

は、

伏櫪、

と同義となる(仝上)。

「櫪」.gif


「櫪」(漢音レキ、呉音リャク)は、

会意兼形声。「木+音符歷(レキ 並べる)」

とある(漢字源)。

参考文献;
簡野道明『字源』(角川書店)
前野直彬注解『唐詩選』(岩波文庫)

ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95

posted by Toshi at 03:54| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする