2024年05月12日
みがくる
川の瀬になびく玉藻のみがくれて人に知られぬ恋もするかな(古今和歌集)、
の、
みがくる、
は、
水隠る、
で、万葉集では、
青山の岩垣沼の水隠りに恋ひやわたらむ逢ふよしをなみ、
の、
水隠り、
は、
みずこもり、
と訓み、古今集時代には、
みがくる、
と訓んだか (高田祐彦訳注『新版古今和歌集』)、とある。
みがくる、
は、
見隠る、
と当てると、
このむねとの者の行かん方を見んと思ひて、尻にさしさがりて、みがくれみがくれ行くに(古今著聞集)
と、
見えたり隠れたりする、
意となり、
雪ふれば青葉の山もみかくれて常磐の名をや今朝はおるらん(散木奇歌集)、
と、
物陰に身がかくれる、
物の陰にかくれて身が見えなくなる、
意となる。
水隠(みがく)る、
は、
みがくれのほどといふともあやめぐさなほ下刈らん思ひあふやと(蜻蛉日記)
と、
水中に隠れること、
水の中に入って姿が見えなくなること、
の意である(精選版日本国語大辞典・デジタル大辞泉・大言海)。
「水」(スイ)は、「曲水の宴」で触れたように、
象形。水の流れの姿を描いたもの、
である(漢字源)。
参考文献;
高田祐彦訳注『新版古今和歌集』(角川ソフィア文庫Kindle版)
大槻文彦『大言海』(冨山房)
ホームページ;http://ppnetwork.c.ooco.jp/index.htm
コトバの辞典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/kotoba.htm#%E7%9B%AE%E6%AC%A1
スキル事典;http://ppnetwork.c.ooco.jp/skill.htm#%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%AB%E4%BA%8B%E5%85%B8
書評;http://ppnetwork.c.ooco.jp/critic3.htm#%E6%9B%B8%E8%A9%95