むろのき
鞆の浦を過ぐる日に作歌、
と、詞書(和歌や俳句の前書きで、万葉集のように、漢文で書かれた場合、題詞(だいし)という)にある三首、
我妹子(わぎもこ)が見し鞆の浦のむろの木は常世(とこよ)にあれど見し人ぞなき(大伴旅人)
鞆の浦の磯のむろの木見むごとに相見し妹は忘らえめやも(仝上)
磯の上に根延(ねば)ふむろの木見し人をいづらと問はば語り告げむか(仝上)
の、
鞆の…
生きるとは 位置を見つけることだ あるいは 位置を踏み出すことだ そして 位置をつくりだすことだ
位置は一生分だ 長い呻吟の果てに たどりついた位置だ その位置を さらにずらすことは 生涯を賭すことだ それでもなおその賭けに 釣り合う 未来はあるか