脳は何でも知っている~相手の可能性を信ずるとはどういうことか


ミルトン・エリクソンは,若い頃の自分の体験で,迷い馬に出会ったとき,ただその馬に跨って,馬の行きたいところにしたがい,馬の歩くにまかせ,やがて,飼い主の牧場にたどりつき,戻ってきた馬に飼い主が驚いた,という逸話を,無意識を信ずるという例として,紹介していた。
最近の脳研究では,人が自分の意思する意図を意識の上るのが,実際に運動が生ずる150ミリ秒前,さらにそれよりも400ミリ秒も前に,脳の運動神経系の活動電位が変化している,という。つまり,手を伸ばして,コップを取ろうと意思する150ミリ秒前に,無意識は動いており,それより400ミリ秒も前に,脳は動かそうという活動開始している,というわけだ。
脳が損傷し,意識的な笑い顔が作れなくなっても,脳は自然に笑い顔つくれる,ともいう。よく,脳は,自分が知っている以上のことを知っている,というが,脳という自分のリソースのもつ奥深さから考えると,人が意識している部分はほんの一部で,その一部でおのれ全体左右しようとするのではなく,無意識というより,おのれの脳の志向を確かめて動いてみる方が先かもしれない。
その意味で,自分のリソースというのは,自分で意識的に探索しようとするよりは,無意識の志向をどう引き出すか,という視点で考えた方がいい。精神科医の神田橋條治は,精神療法の目指すのは,その人の遺伝子を開花させることであり,それがその人の自己実現だ,という趣旨のことを書いていたが,それはこの文脈で考えると,よくわかる。
それは,必ずしも,本人が意識している「なりたい自分」,口に出している「ありたい自分」ではないかもしれない。それ探し出すために,対話療法をするともいえる。コーチングもまたその一翼を担っているとすれば,本人の語る言葉ではなく,その人のリソースの語りだすもの,とりあえずは言葉にならない感情,思いを導きださなくてはならないのかもしれない。「クライアントの可能性を信ずる」というのは,単にその人の伸び白を信ずることではない。まだ本人も知らないリソースの可能性現前化させること,それこそが遺伝子開花させることでなくてはならない。結構奥深く,重い。(敬称略)

今日のアイデアは,
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm


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この記事へのコメント

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    2013年12月11日 14:56