「開く」「愛」「聞く」について~対話への途についてⅠ


自分を開くについては,

http://blogs.dion.ne.jp/ppnet/archives/11031543.html

また,「恋」「愛」「好」との関係については,

http://blogs.dion.ne.jp/ppnet/archives/11041914.html

で触れたし,自己開示については,

http://blogs.dion.ne.jp/ppnet/archives/2012-1222.html

で触れた。自分を開くについての個人的体験についても,

http://blogs.dion.ne.jp/ppnet/archives/2012-1226.html

で触れたが,別の視点から,もう一度「開く」について考えてみたい。つまりこうだ,開く以上,そのことで,人と深くつながりたい,そのことを少し深めてみたい。そして,その究極,人との対話をどうしていくのかに話をつなげていければ一応成功。

こんな文章を書きとったメモがあった。出典もあるが,記憶にあまりない。

他の人間そのものに自己を向け,自己の中に世界を受け取る。わたしの存在によって受け入れられ,全実存の圧縮の中に,わたしと向かい合って生きる存在の他者性のみが,わたしに永遠の輝きをもたらすのである。存在のすべてをあげて,相互に語り合い,<なんじはそれなり>というときのみ,彼らの間に現存の住み家が存在するのである。(ブーバー『対話』)

これから,

一人の人をほんとうに愛するとは,すべての人を愛することであり,世界を愛し,生命を愛することである。誰かに「あなたを愛している」と言うことができるなら,「あなたを通して,すべての人を,世界を,私自信を愛している」と言えるはずだ。(フロム『愛するということ』)

が,ちょうと裏返しのように対になっている。「そこにいるあなた」を,他にかけがえのないものとして意識することを通して,そのひとのいる世界を受け取る。それは,裏返せば,その人を愛することを通して,その人がここにいること,あるいはその人がこうして,いま,ここにいる世界をまるごと受け入れることに通じる。その人とともにその人のいる世界を受け入れることだ。

もちろん,これは「愛」について言っている。しかし「愛する」もの同士の関係は,実は相互に相手をどう受け入れるか,という関係性の典型的なあり方を示しているが,特殊な関係ではないような気がする。

アダム・カヘンはこう言っている。

私たちは,すべてのステークホルダーの人間性と自分自身の人間性に目を向け,耳を傾け,心を開き,受け入れない限り,人間の複雑な問題に対する創造的な解決策を生み出すことはできません。創造性を発揮するには,私たちの自己のすべてを必要とします。私たちの思考,感情,人格,経歴,欲望,そして魂を必要とするのです。固定された事実や考えを理性的に聞くのでは十分ではありません。相手が自分の可能性や彼らの置かれている状況の中に存在する可能性に気づくことを促すような聴き方をする必要があります。この種の聴き方は相手の横で感情を共有する,いわゆる「同情」ではありません。彼らの内側から分かち合う「共感」なのです。このような聴き方は,既存の異なる考えに目を向けることを可能にするだけでなく,新しい考えを生み出すことを可能にしてくれます。

そしてこのとき,聴き方について,オットー・シャーマーの4つの聴き方を紹介している。

①ダウンローディング(Downloading) これは,『U理論』で紹介されていたものだが,自分のストーリーの中から聞いているというもので,いつもの自分の言い方,聴き方から離れないやり方である。自分の言っていることや聞いていることが単なるストーリーでしかないことに気づいていず,他人のストーリーには耳を貸さない。自分のストーリーを支持するストーリーだけを聞き取る。

②ディベーティング(debating)  討論という聴き方。このとき,討論会や法廷の審判のように,外側から互いの話や考えを聞いている。

ダウンローディングやディベーティングをしているときは,既存の考えや現実を提示し,再生しているだけで,何も新しいものを生まない,と,アダム・カヘンはいっている。

③リフレクティング・ダイアローグ(reflective dialogue)  内省的な対話。自分自身の声を内省的に聴き,他の人の話を共感的に聴く。主観的に「内側から」聴く。

④ジェネレーティブ・ダイアローグ(generative dialogue) 自分や他人の話を内側から聴くばかりではなく,「システム全体」から聴く。

③④が,世界の紛争当事者との間で,どんな対話をしたのかは,著書を見てもらうことにして,コーチングとの類比を感じました。当然聴くというテーマなのだから,当たり前といえば当たり前だが。

コーアクティブ・コーチングでは,傾聴を3レベルに分けている。

レベル1 内的傾聴 意識の矛先は自分自身。つまり自分の内側の声。自分の考えや意見,判断,感情,身体感覚に意識が向く状態で,クライアントにふさわしい傾聴レベルとする。

レベル2 集中的傾聴 コーチの意識は,レーザー光線のように,クライアントに向いており,すべての注意がクライアントに注がれている。恋人同士の関係性をアナロジーとして使っている。

レベル3 一つのことに焦点を当てるのではなく,自分の周りのあらゆるものごとに意識の焦点を向ける。

つまり,傾聴のレベルでは,少なくとも,自分が「開かれ」ており,「愛」の関係に近く,自分だけではなく,相手および相手の世界に対しても開かれていなくてはならない。

では,それがどう対話につながるかは,次回に。


参考文献;

マルティン・ブーバー『我と汝・対話』(岩波文庫)
アダム・カヘン『手ごわい問題は対話で解決する』(ヒューマンバリュー)
エーリッヒ・フロム『愛するということ』(紀伊國屋書店)

今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm



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この記事へのコメント

  • プラダ バッグ

    匿名なのに、私には誰だか分かる・・・(^_^;)ありがとう。。。
    2013年07月23日 02:21
  • フェラガモ

    はじめまして。突然のコメント。失礼しました。
    2013年07月23日 02:21
  • レイバン メガネ

    今日は~^^またブログ覗かせていただきました。よろしくお願いします。
    2013年07月23日 02:22
  • レイバン メガネ

    匿名なのに、私には誰だか分かる・・・(^_^;)ありがとう。。。
    2013年07月25日 09:14
  • フェラガモ バッグ

    こんにちは、またブログ覗かせていただきました。また、遊びに来ま~す。よろしくお願いします
    2013年07月25日 09:14
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