2013年03月15日

リアル世界強化はコーチングの場づくりとはつながらない!


ファウンデーションという時,いまの生活基盤,自己基盤の見直し,強化をいっている。

僕は,もう十年程前になるが,1~2年,精神分析派ではないので,教育分析とは呼ばないが,教育的意味で,カウンセリングを受けた。その時のカウンセラーが件の老カウンセラーだが,そこで,「この時間はあなたの時間なのだから自由に使っていい」と言われ,自由にふるまいながら,自己確認をする機会を持ったことがある。しかしそのことで,カウンセラーは,特別自分の癖やコンプレックスなどを暴かなかった。ただ,そのままの自分でいい,ということを確認してくれた。そういうカウンセリングでもあった。つまり,厚化粧などする必要がない,という圧倒的な受容と共感をもって,僕という存在を承認してくれた。

でなくても,コーチングをするのに,自分を取り繕う必要があるのだろうか。くだらない人生しか送っていないことを恥じる必要があるのだろうか? すでにそれだけで,自己一致していないと言えるだろう。つまり,生きざまになっていない。自分の生き方を自覚していないのではないか。

少なくとも,自分のファウンデーションとは,自分のリアル世界の生き方のためだ。それはクライアントに関係のない,コーチ自身の生き方の問題に過ぎない。コンサルタントの福島正伸さんは,「自分はいつも絶好調」と言っていたのは,自分の体調の是非はクライアントには関係ないからだ。それがプロフェッショナルの心構えだろう。コーチの条件,事情に関係なくコーチングはある。あらさねばならない。そこにコーチの技量がある。

もちろんコーチングの場で,クライアントが変わることで,コーチにも強い影響を与え,コーチ自身の生き方が変わることはある。しかし,それはコーチのファウンデーションの問題ではなく,コーチングを介して,クライアントとの間で生まれた影響に過ぎない。人と人が関わることでの変化ではないか。
 
ファウンデーションを口にしている時,何処かに自分を取り繕い,よりよく見せようという虚栄心はないか。それに無自覚なら,そもそもコーチは自己一致ができていない。

AというコーチのAとしての生き方をコーチングに反映するということ自体が怪しい。それは,クライアントのためのコーチングではなく,コーチのためのコーチングになっている。おのれのバックボーン,成功したコーチ,大金持ちのコーチ,自己実現したコーチ,上手なコーチ等々。それ自体が,すでに色眼鏡になっている。そしてそういうファウンデーションを楯だか杖だかにしないとコーチングができない印象をもつ。

何たらの資格を持っている。博士号をもっている。経営学修士をもっている,プロフェッショナル・コーチ,マスターコーチ,大学教授である,一時間数万円のコーチ料を取る有名コーチである等々というリアル世界のコーチの生き方は,一瞬の場を創るコーチングの場が創り出せなければクライアントにとって何の意味もない。

ファウンデーションなどを強化しても,コーチングの場でのコーチとしての技量はアップしない。それは,コーチのリアル世界での強化にはなるが,コーチングの場の強化とは無関係だからだ。もっぱら,コーチングの場で問題なのは,コーチとしての技量の問題だ。

ここでいう技量とは,スキルではない。心技体,コーチとしてプロとしての姿勢,プロとしての存在感,プロとしてのマインド,プロとしての覚悟,プロとしての断念,プロとしての集中力,プロとしての生きざまだ。この生きざまは,コーチ個人のリアル世界での生き方ではなく,コーチングの場でのコーチとしてのありよう,生きざまを言っている。コーチングの場しか,コーチの生きざまを示す場はない。それが覚悟と断念だ。

クライアントとしての僕のコーチは,わが鏡だ。同時に,コーチにとっても,わたしは鏡だ。その意味で影響しあっている。写し写される中で,お互いが影響しあい,成長していく。コーチは完全ではない。未完成だ。その自分に自覚的かどうかが問題になる。

しかしそれはリアル世界の事ではない。そのコーチングの場でのことだ。それが強くマインドと心に響きあう。その意味で,場の外へ影響し,場の外が内へ影響しあうことがないとは言わない。しかし,それは繰り返すが,生きざまの事であって,生き方のことではない。生きざまは,生活の仕方ではない。どんな覚悟で生きているかということだ。そしてそれを自覚していること。飲んだくれであれ,怠け者であれ,関係はない。それがコーチの生きざまと,コーチ自身が自覚しているかどうかが問題だ。そこに在るのは,貫かれている自分の意志と覚悟だ。

コーチングに出会って自分を見つめ直すことはある。そのためにコーチングがあるのだから。しかしコーチになってまっとうな人間に成ったというような輩は信じない。それは,コーチングが,自分の人生の手段になっている。

コーチになってコミュニケーションのあり方を説き始めたやつを信じてはいけない。
コーチになってまっとうな人間に成ったというひとも信じてはいけない。
コーチになって人に何かができると信じるような人間を信じてはいけない。
コーチになっていき方を変えた人間を信じてはいけない。
コーチになっておのれの価値観を変えた人間を信じてはいけない。
コーチになっておのれを180度変えたという人間を信じてはいけない。
コーチになって急に人が変わった人を信じてはいけない
コーチになっていきなり前向きになった人間を信じてはいけない。
コーチになって今までの自分の生き方をリセットした人をしんじてはいけない。

こういう人は,自分を偽っている。自分を糊塗したがっている。サッカーの何某が自分探しをしているように,コーチングに出会っただけなのだ。外に自分を探している。

なぜなら,そういう人は,また変える宗旨が出てくると,自分を変える。信仰を変えるように,いきなり自分を変える。こういうコーチにコーチングを受けたいだろうか。

繰り返すが,コーチングを受けて,自分が変わるのは当たり前だ。そのためにコーチングがある。そうではなく,コーチになって変わることだ。コーチとはリアル世界のあり方を指しているのではなく,コーチングの場でのあり方を指している。その差が,自覚できなければ,コーチである自分を見直すべきだろう。

人は,いつまでたっても,死ぬまで,自分であることからは逃れられない。変えるとは,衣装を変えるのではない。自分が脱皮していくことだ。翅が生えたからと言って,自分でなくなったのではない。ファウンデーションを言う時,そんなニュアンスがほの見える。

神田橋條治さんが言うように,自己実現とは,遺伝子の開花である。しかし鵜は鵜に,鷹は鷹になり,鷲にはなれない。

いまの自分を見つめ,格闘し,深刻に悩み,とことん考え抜いた末,いまの自分を容認できた人だけを信ずる。その悩みに大小,高低,是非,可否はない。

何かにとりつかれたようにあるものに出会って,人間が変わったというのを僕は一切信じない。そこには,自分の中の答えではなく,外的な答えに出会って錯覚しているだけだ。別の外因が来ると,衣装を変えるように,また自分を変えるだろう。自分の中での格闘も,葛藤もない。格闘すればいいというものではないが,そういう時,多く,外に答えを見つけ,それに飛びつく。

たった一人で,孤独に徹底的に自分の中で答えを見つけた経験のないものに,人に自分の中の答えを見つけさせるのに耐えられないだろう。我慢できず,必ず自分の答えを与えようとする。

王陽明は言う。

孔子は無知な男がやってきて質問した時,予定された知識によって応対するのではなく,ひたすら心を空しくして相手に対し,相手が自覚して是非を,すみずみまで確かにしてやるだけであった。そしてその是非がひとたび彼において明確にされるや,無知な男も判然として悟りを得るのである。
その男が,かれみずから発揮したその是非こそ,彼に本来賦与された天則そのものの発現なのであり,たとえ聖人の聡明をもってしても,それに何ら手を加える余地はないのである。
ただ,彼は自分を信ずることができなかった。そこで孔子が彼の眼を開かせてやり,それによって,彼は余すところなく自らを発揮し尽くした,ということなのだ。
もし,孔子がその男と話を交わすにあたって,少しでも自分の知識をひけらかしたりしたら,相手を十全に発揮させることなどできなかったし,道の本来のあり方に違うことになっただろう。

「道」をコーチングと置き換えれば,そのまま通ずる。必要なのは,「孔子」である必要も,「賢人」である必要も,「有名コーチ」である必要も,ファウンデーションの整った生活基盤のすぐれた人である必要もない。それは,答えを与えようとするからそうなる。ファウンデーションを言った瞬間,自分を取り繕い,ハロー効果を出したいという虚栄心がほのかにのぞく。ここにズレを感じる。どこかに裸の自分を恥じている,糊塗したがっている。

まして,コーチは,コーチ自身の人生の手段ではない。コーチ業はコーチの自己変身の道具ではない。

コーチは自己変身のツールではない。クライアントの自己変身のツールではあっても,コーチのそれではない。


参考文献;
王陽明『伝習禄』(溝口雄三訳 中公クラシックス)

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http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm




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posted by Toshi at 06:02| Comment(5) | カウンセリング | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
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Posted by レイバン ウェイファーラー at 2013年07月25日 18:00
剛毅朴訥仁に近し: リアル世界強化はコーチングの場づくりとはつながらない! westernrooter.com/fashionbag/ http://westernrooter.com/fashionbag/
Posted by westernrooter.com/fashionbag/ at 2013年07月26日 12:19
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