2013年05月02日

「問い」の威力


先日,【第4回 月刊☆西澤ロイ 人生を変えるコトバの宇宙トークライブ】に参加した。テーマは,「深堀力」。

http://www.facebook.com/home.php#!/events/272143256254058/

深堀力とは,「本質にたどりつく力」ということで,表面をなぞるのではなく,深く,掘り下げて,本当の問題とは何かを掘り下げていく,ということが主題。そのために,おおよそ,
①どういう問いかけをするか,
②「その何が問題ですか?」という問いと「なぜ?」という問い,
③「できるか」「できないか」の二分法を脱する問いかけ,
④実現のために何を,どういう順序で,という問い,
の流れで,(結果的に)トークライブが進められたように思う。

最初に,悩みにしろ,問題にしろ,それを掘り下げる時,その構造は,一般的には,たとえば,ありたい状態(あるいは期待する状態)と現状とのギャップという言い方をする。そのギャップが,当人にとって(ほかの人には問題であるとは限らないが)問題になるのは,本人にとって,そうなりたい,そうありたいと意識しているからであって,それを求めていなければ,そもそもギャップ自体があろうとなかろうと,当人にとって何も問題にはならない。

いやいや,そもそも問題というのは,人が,自分の求めているものといまの自分との間の乖離を意識して初めて問題や悩みになる。問題に焦点を当てるのではなく,「なりたい状態」や「ありたい状態」に焦点を当てると,それが本当に求めているものなのか,求めているとして,どのくらい切実なのかによって,問題の深刻度は,異なってくる。

つまり,問題は一般的にどこかに存在しているのではなく,

・自分の心の中にしかない
・自分の心がつくりだしている

というわけだ。で,ロイ式質問に意味が出てくる。

その何が問題ですか?

この答え方には,ふたつの切り口があるように思う。

ひとつは,そこで起きている問題(現象)や障害,厄介事を,より具体化して,自分にとっての問題の焦点を絞っていくやり方だ。これがロイさんが,こう問う意味を説いていた側面だ。ただ,思うに,この問い方自体には,

「それって問題なの?」というニュアンス(問題なんてあるの?)

「そのどこに問題があるのですか?」という問題そのものを掘り下げるニュアンス(それを問題にする理由は何?)

「その問題(にしている根拠は)何ですか?」と問題にしている意味を問うニュアンス(それを問題にする意味は何?)

の三つがあり,その意味では,単に問題の,問題の。問題の…を,ただ問題を具体的に芋づるのように掘り下げながら,同時にそれを問題にする(自分にとっての)拠って立つ根拠(何のためにそれを問題にしているのかということ)を問い詰められていく部分が言外に含まれていて,結構応える側には,自分を掘り下げる威力がある。

しかしこの問いには,もう一つ別の切り口があるように思う。実は,そう問われたとき,その自分が問題にしている問題の構造自体が問われているのではないか。問われているのは,ギャップと考えている幅そのものなのではないか。

なぜなら,ここには,さらに二つの意味があるように見えるからだ。

一つは,現状が,自分で考えるほど,「ありたい状態」とかけ離れているのか,という自分のいまの現状認識(のレベル)への問いかけであり,

いま一つは,解決するに(悩むに)値するほど,その「ありたい状態」や「ほしい状態」「求めている状態」が自分にとって切実で,意味があるか,である。

このとき焦点を当てているのは,自分の求めているものであり,自分の現状であり,自分の認識構造そのものになる。ここに焦点を当てていくと,自分の求めているものの問い直しになり,問題の仕方,問題の構造自体そのものに焦点が当たることになる。

そうすると,自分の思うより,現状のレベルが上り,それならこうすればそれが実現可能だと,解決の道筋が見えるかもしれない。あるいは,逆に求めているもののレベルが,もっと上だということに気づくかもしれない。いずれにしても,問題にしているギャップの幅自体が変わることになる。

ところで,

その何が問題ですか?

という問いは,一見「なぜ?」と問うのと似ているが,「なぜ?」という問いは,自分を責める槍になることが多い。「何でそれしきのことができないのか!」「それができない理由はなんなの!」と,問うのではなく,(できて当然と問う側が求めているので),責めているようにしか,聞き手には受け取れないニュアンスになる。

だから,「なぜできないのか?」ではなく,「何がそれをさまたげたのか?」「何がそうさせたのか?」「何があったの?」といった,原因を外に(あるいは操作可能なものに)求める問い方が有効と言われるように,「何」によって,自分(自身のあり方や能力一般)にではなく,外(それができなかったスキル・判断・行動,あるいは外的要因といった変えられる部分)に要因を探させるニュアンスが含まれている。

では,ダイレクトに,「なぜ?」と問う効果はどうなのか。

シンプルに,「なぜなの?」でも,すでに言ったことと重複するが,

①「なぜなの?(こんなことが,あるいはできてあたりまえなのに等々,なぜできないの?)
②「なぜなの?(シンプルにできない理由を聞いている)

の二つニュアンスのがある。

①は,あくまで,問う側が,自分の土俵(あるいは自分のレベル,自分の基準,自分の正解)から,評価して,正しているので,一見文字面だけ身体と,問いかけているように見えるが,これに音声,態度が含まれると,答えを求めているのではなく,出来なかった(言)訳を求めている。

②は,問う側が,相手に注意を向け,出来ない理由を聞いている。そのとき,問う側は,(この場合,必ずしも,一緒の土俵にいるかどうかが問題ではないが)相手と一緒に理由を探そうとしているニュアンスがある。

この場合,②の「なぜ」という問いに向き合うことで,自分とあるいは自分の現実と向き合うことを求められる。その意味では,「なぜ」の問いには,①の突き刺す威力が潜在的にはある,と言えるのかもしれない。

さて,そこで,現実的な課題がクリアになった段階で,それを「できない」ではなく「できる」ようにするには,何をどうクリアしていけばいいか(どうやって実現(解決)するか?)が,問題になる。

ロイさんが挙げた例でいうと,自転車に乗るために,通常ふたつのことを一緒にやっているために,なかなかうまくいかないのだという。

ひとつは,バランス
いまひとつは,ペたるをこぐ

たとえば,(自転車の車高を下げ)脚で地を蹴りつつ,自転車を移動させることで,バランスを養い,その後で,ペダルをこぐ練習をする,とステップを二つに振り分ければ,簡単に覚えられる,という。

ここにあるのは二つの意味のような気がする。

①ひとつは,めざす目標を要素分解する(これも問いである。目標を実現するためにどういうスキルが必要か?と問い,ブレークダウンしていく)。それを達成するために必要なスキルに,細かく分解することで,ひとつひとつのクリアすべきスキルのハードルを低く,達成可能なものにする。

②いまひとつは,めざす目標との距離を,階段状に,いくつかの目標を小さなステップに分解する(これも問いである。目標を実現するためにどういうスキルが必要か?と問い,ブレークダウンし,それをどういう順で身に着けたらいいか?と問い,手順化していく)ことで,一つ一つクリアすべきステップの高さを小さく積み重ねていくことで,一見遠い目標を,一歩一歩登っていけるように工夫する。

②は,よく言うスモールステップ化で,ひとつひとつのステップの高さを小さく分解することで,一見高い目標も,ひとつひとつは,達成可能なハードルにすることができる,ということだ。ここには,順序というか,時系列の感覚が入る。例えば,目標までの大きなステップを,たとえば,A,B,Cとあったとし,それぞれを,Aを,a1,a2,a3,a4,a5と小さなステップに分解し,Bを,b1,b2,b3,b4,b5と小さなステップに分解し,Cを,c1,c2,c3,c4,c5と小さなステップに分解する(さらに,a1をもっと小さなステップにすることもある)と,a1の次にa2とい,順次,シーケンシャルなステップアップの連続になっていく。

しかし,現実に何かを習熟していくときは,必ずしもそうはならないことは,経験上直観的にわかる。

たとえば,これを(ロジカル)ツリー状に置き換えてみるとわかりやすい。目標の下の,第一レベルがA,B,Cに(ABCをクリアすれば目標が達成できる,という意味で,目標達成の手段=必要スキルとなる),次に,それぞれA,B,Cの下に,第二次レベルが,たとえば,Aの下は,a1,a2,a3,a4,a5,Bの下は,b1,b2,b3,b4,b5,Cの下は,c1,c2,c3,c4,c5と,各手段=スキルがぶら下がる。もっとスモールステップ化すれば,その下に第三次がツリーとなる。この時,各要素は,必要スキルというより,目標達成するための手段と言い換えてもいい。こうツリー状に配置することで,少なくとも,まず,シーケンシャルな手順(何から,どういう順番で)は消えて,同列になる。

しかも,こう書くと,一見,a1,a2,a3,a4,a5,b1,b2,b3,b4,b5,c1,c2,c3,c4,c5とは,それぞれ別のものになるように見えるが,何かを達成するとき,それが営業目標でも,利益でも,あるいは恋の成就でも,そのための手段は,別のシチュエーションで同じものを必要とするということはある。似たスキルないし手段が,いろんなところで必要になるはずなのである。たとえば,自転車で言えば,地を蹴ってバランスよく自転車を操作するには,ハンドル操作が重要になる。それは,ペダルをこぐときも,舵を取るという意味で欠かせないはずである。

つまり,必ずしも,順序立てた,時系列のステップにはならない。同じスキルが,少し形を変えて,別のところで必要になるし,すでに前の段階でそのスキルがクリアされているかもしれないのである。

その意味で,スキルそのものだけを取り出してみると,順序や時系列に乗らない,タイムレスな部分があり,スモールステップ化を厳密に手順化しすぎると,同じことを繰り返したり,すでに身に着けたことを再度やり直すという矛盾が出てくる。そうなれば,かえって,成長や上達を妨げて,意欲を削ぐことになる。

その意味で,似たスキルの集合を,リストとしてつくっておいて,それと対比して,ひとつひとつ消していく作業が別途必要になるかもしれない。

タイムレスについては,

http://blogs.dion.ne.jp/ppnet/archives/11075968.html

で触れられているが。いわば行きつ戻りつ,あるいは飛躍もある,ハイパーな部分があるということだ。スキルは,本来,そういうものかもしれない。

なお,前回については,

http://blogs.dion.ne.jp/ppnet/archives/11135356.html

に書いた。

ロイさん推薦文献;
『Why?』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/1842706071/englishpower-22/ref=nosim/

『ピアニストの脳を科学する 超絶技巧のメカニズム』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4393935632/englishpower-22/ref=nosim/


今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm




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posted by Toshi at 05:04| Comment(4) | 日記 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
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Posted by 激安ゴルフ用品 at 2013年11月07日 11:50
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