2013年06月22日

分ける


JCAKの総会での記念講演,向後千春氏の『いちばんやさしい教える技術』を聴く機会があった。講演というより,ワークを織り交ぜてのワークショップそのもののような場であった。そこで学んだことを整理し直しておきたい。

教える側にとっては,教えていることの効果を期待したいところだが,例のセラピーの効果の調査データを援用して,

クライアントというか相手の学習能力40%
受容・共感・励ましという聴く効果30%
教わることの期待とかプラセボ効果15%
教える側の技術15%

という数値を紹介された。つまり,教える人がどんなに下手でも,上手でも,それに関係なく,85%の人は自分で学ぶ。ということは,逆に言うと,この15%をアップできれば,学ぶ力がアップするというか,ここからが教え方次第で差がつくということになる。

そのカギは,「分ける」ということにありそうだ。まずは,教えるゴールを3つの「技能」に分ける。

①運動領域(体=技能)→運動技能(スキル)
②認知領域(頭=知識)→認知技能(スキル)
③情意的領域(心=態度)→態度技能(スキル)

一応「技能」(スキル)とすることで,学ぶことが可能な技術とみなす,という前提があると言えそうだ。

僕はよく,人の能力を,

能力=知識(知っている)×技能(できる)×意欲(その気になる)×発想(何とかする)

と分解している。発想というのは,自分の今まで持っているリソースだけでは何ともならない状況に陥った時,それでも何とかそれをクリアするために「何とかする」経験を積まないと,能力は絶対に飛躍的に伸びないと考えている。その事態にどう対応するかを通して,一つは自分の伸び白が見えてくる(逆に言うと,知らない,できない,わからないところが見えてくる),いまひとつは,そういうときでもなんとかするにはどう頭と体と人を使えばいいかのコツが見つかる。

ただここで言っている 3つの「技能」は,僕のいう「技能」領域に含まれることのように見えた。

では,まず「技能」を何から学ぶかというと,運動技能である。このコツは,

①スモールステップ
②即時フィードバック

ここでは,「自転車に乗る」が出たが,「ハンドル操作」「ペダル操作」「ブレーキ操作」に分け,どう最小単位としてステップ化していくかが問われるが,たとえば,

①ハンドルを握り,サドルにまたがる
②両足を地面につけて,安定したまま立つ
③ブレーキレバーを握ったり,離したりする
④両足で地面を蹴り,少しだけ進んでブレーキをかけて止まり,脚を地面につける
⑤もう少し長い距離を進んでブレーキをかけて止まる
⑥何回か繰り返して,バランスが悪くなってもブレーキをかけて止まれるようにする
⑦片足をペダルに乗せ,踏み込んで,踏み込んで,少し進み,ブレーキをかけて止まる
⑧両足をペダルに乗せ,踏み込んで,踏み込んで,少し進み,ブレーキをかけて止まる

という例が出されているが,スモールステップについては,

http://blogs.dion.ne.jp/ppnet/archives/11173561.html

でも触れたように,単純に順序立ててステップ化すればいいというものではない。順序も無数にある。肝心なのは,前半は,最小単位で,たとえば,「両足で地面を歩きながら,ハンドル操作を学ぶ」が②にくるかもしれない。

大事なのは,即時フィードバック。60秒以内でなければ,そのフィードバック効果はない。

ワークで,トレーナーと動物役に分かれ,トレーナーの思い描く「動作」を,動物役の動作の中から,「よし」と切り取って,しつけていくことをやった。僕は動物役をしたが,自分のしている動作のどこを「よし」としているかが,中々イメージがわかず,そのうちに混乱してくるが,どうも「コア」らしい動作に「よし」を言われた瞬間に,ひとつらなりにイメージがわいた。動物の場合とは,そこが違うのかもしれないが,「よし」だけでなく,「だめ」があれば,もう少し早かったかもしれない。

次は,認知技能を教える。

①スキーマ(教え方の枠組み)の獲得
②熟達化(スキーマが自動的に起動する)

ワークとしては,「ハノイの塔」のパズルの解き方を,グループ内で共有化し,他グループと対戦するというものだったが,僕(だけかもしれないが)は,どうも自分でコツをつかみたいということに関心がいって,人が言うことをあまり聞いていない。人は,自分(のやり方)をメタ化することで,知識を得,ノウハウを磨いてきた。あるいは,自分というもの自身が,自己のメタ化そのものなので,どうしても,自分で習得したいという意志が強く,チーム内の共有化(したものを見につけることで手早くノウハウを摑む)には,意識が薄いということに気づいてしまった。

第三は,態度技能。「~しようと思う」,その選択があって初めて,運動技能や認知技能を学ぼうという行動につながる。その意味では,態度技能が肝になる。通常は,相手を変えようという視点から,議論したり,責めたり,説得したり,高飛車になったり,叱ったりする。しかし多くは,こちらの都合を押し付けている。相手を動機付けるのに有効なのが,「動機づけ面接法」である。その手順は,

①共感を表現する
②矛盾を拡大する
③抵抗に巻き込まれつつ進む(一緒にダンスする)
④自己効力感をサポートする(相手が変わる能力があると信じる)

これを,子ども役母親役に分かれてワークでやったが,

僕がやったのは,夏休みの宿題をめぐって,子どもとやり取りすることだった。

①遊びたいという子どもの話を聴く
②夏休みが終わった後,学校へ行ったとき叱られたくないという子どものゴールを確認して,
③遊びたいという思いを聴きつつ,どれだけ宿題があり,どのくらい時間がかかるのか,もし毎日遊びまくって,30分だけ杓台をやるとしたら,合計何時間なのか,もしそれをやったら,何日で終わるのか,という問いを出し,どうやら半分で終わってしまうという,
④それならできそうだ,出来るねという確認をし,そこで,前半で宿題が終わったら,後は遊びまくったらどうか,

等々という流れでいったが,たぶん本当の時は,②と③がかなり時間をかけないと,本当の意味の「やろう」にはならないし,「できる」感は生まれないのかもしれない。

これは,コミュニケーションについていった,エリクソンの原則,

ひとつ,相手について仮定しないこと
ひとつ,緩やかな変化
ひとつ,相手の枠組みであること
ひとつ,自らの考えを変える力があることを,相手自身が気づけるような状況つくること
ひとつ,そのために使える相手のリソースとなるもの相手の中に見つけて利用するエリクソンの,

を思い出させた。それは,別の言い方をすると,自分の土俵ではなく,相手の土俵の上で,相手自身に考えさせるようにしているかどうか,ともつながってくるような気がする。これこそは,ブリーフ・セラピーとコーチングの原則でもある。


参考文献;
向後千春『いちばんやさしい教える技術』(永岡書店)

今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm



#向後千春
#いちばんやさしい教える技術

posted by Toshi at 05:24| Comment(5) | 教え方 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
カッコいい!興味をそそりますね(^m^)
Posted by フェラガモ 通販 at 2013年07月26日 05:42
突然訪問します失礼しました。あなたのブログはとてもすばらしいです、本当に感心しました!
Posted by プラダ トート at 2013年07月26日 05:42
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