2013年08月22日


かつては,I型とかT型といった,専門性の軸の取り方を言ったものだが,昨今はどういうのか知らない。そんな高尚な話ではない。昔,独立したてのころ,先輩か知人にいわれたのか,電車の中での仲間内の会話だったのか,よく覚えていないが,

専門は,

ひとつではだめ,

ふたつなくては,

食べていけない。というニュアンスのことばが耳に残っている。それは,たとえば,講師としていくなら,二つ以上の得意分野を持て,と言ったニュアンスだと思う。

ただ自分のわずかな経験は,それは逆で,

まず絶対得意分野をつくれ,

それは誰かの真似ではなく,また誰かの代弁でもライセンスでも,誰かの受け売りでも,免許皆伝でもなく,オリジナルなものを創りだすこと。それがコアになって,次々と関連する分野が,隣接して広がっていく。

自分でしかできない代替の聞かない軸に,それが溶けて滲んでいくように広がっていく,イメージだ。

その境界を立てるのは自分なので,すこしでも違う隣接分野は,一本の軸として立てていく。そうすることで,軸がいくつか立つ。本来,軸はあるものではなく,軸として創っていくものだ。

そうしていくつもの軸というか,得意分野というか,専門分野というかは知らないが,近接領域にか細い軸がびっしり立ち並ぶ。その場合,同じIでも,一本はか細くても,五本も六本も束ねると,野太い柱になっている。しかも,近接しているので,相互が絡みついてリンクしあっていく,というか絡み合わざるを得ない。

それが僕の軸のイメージだ。

それで思い出したが,前野隆司氏は,∇(ナブラ)型になれという。

T型人間とは,Tの縦の棒のように,何かひとつ専門について狭く深く知るとともに,横の棒のように世の中一般の常識を広く浅く身に附けよ,という意味だ。(中略)T型人間の問題点は…縦棒と横棒を,か弱い「点」でしかつながっていない二つの要素と捉えることだ。T字型の部品があったとしたら,継ぎ目のところが最も折れやすいことが知られている。

では,∇型人間とは何か。ナブラとは,ヘブライ語の竪琴に由来する。

要するに,専門性と一般性が,Tとは違って,強固にぎっしりとつながっている,という意味だ。

つまり,専門性が,世の中のさまざまな考え方とリンクがつながっていて,Tの横棒と縦棒のさまざまなか所が,相互につながり合っている,

Tの縦の上の任意の点と横の棒の任意の点を直線でつなぐ,という操作を繰り返した場合,次第にTは,塗りつぶされた∇に近づいて行くはずだ。

∇型人間とは,専門と世界のつながりを多様な意味で理解し実践する人間のことだ。

という。専門性という縦軸に,横軸の一般性にコイルが絡みつくように幾重にもまきつくイメージだ。

あるいは,別の言い方をすると,専門性が,脳の機能的固着に陥らないために,さまざまな視点で,それを俯瞰したり,異質なものとリンクさせたり,組み合わせたり,ということが自在にできるということではないか。

川喜多二郎氏が,創造性とは,

本来ばらばらで異質なものを意味あるように結びつけ,秩序づけることだ,

と定義したところと考え合わせると,専門性という固定した視点を相対化して,相互に関連づける視点を持てることといっていい。それには,∇もTもない。自由にメタ化し,俯瞰する視点が不可欠だ。

そのとき,軸は,仮に拠って立つ基点でしかない。つまり,いつでもそれを離れて,自在に別の基点から測れなくてはならない。

それが自由な発想という意味だ。



参考文献;
前野隆司『思考脳力のつくり方』(角川書店)

今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm




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posted by Toshi at 06:21| Comment(3) | | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
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