2013年08月28日
○印をつける
先だって参加した先日参加した「ブリーフセラピー研究会」の「MRI系ブリーフセラピーのエッセンス 」(講師:狐塚貴博氏)で,学んだMRIについては,
http://blogs.dion.ne.jp/ppnet/archives/11290607.html
で触れたが,そこで,書き漏らした,スリー・ステップ・モデル(Three Steps Model)について,書き加えておきたい。
○印をつけるについては,
http://blogs.dion.ne.jp/ppnet/archives/10967952.html
で触れたが,再度ステップ全体を再整理し直してみたい。
いわゆるスリー・ステップ・モデル(Three Steps Model)は,
1.1st. Step
まずは○印を付ける。
2.2nd . Step
自然な変化の語り(Do more)。
3.3rd. Step
リフレームとパラドックス
であるが,ここでは,東北大学東日本大震災PTG支援機構相談員としての経験から,惨事ストレスを例に,このステップの意味を整理いただいた。それを再確認する形になる。
第一ステップの,○印をつける,
というのは,多く,
自分が弱いからではないか,
自分はだめな人間なのではないか,
努力が足りないのではないか,
等々と思い込みがちである。それに対して,
あなたの抱えている症状や反応は,「そんな状況を体験されれば,当然のことですよ」と,一般化(ノーマライズ)する意味である。もちろん共感に基づいてであるが,誰もがそうなるので,あなた個人のせいではないと,自分に向けている矢印,自責の思いを薄くする狙いである。
しかし,「当然ですよ」と言われても,多くの人は,すんなりとは納得しない。
でも,
そうは言われても,
という反応がある。ここで,論理階型(メタ化)によって,
「『そんな状況を体験されれば,当然のことですよ』と言われても,そうは思えませんよね」
と,メタ化した心の二重構造を,あらかじめ含めてしまって○印を付けてしまう。C・R・ロジャーズは,
私が私自身をあるがままに受け入れると私は変わることができる,
といっている。セラピストの提案に,納得しない自分も含めて,自分を表現され,その矛盾した自分をまるごと○を付けられることで,初めて,自分を受け入れられる。
ここでは,セラピストは,クライアントの心を受容し,それを当然とノーマライズされても,納得できないクライアントの心の構造全体をメタ化する視点がいる。
つまり,ただ,
クライアントの悲惨な体験に落ち込んでいる心理と同じレベルにいるのでも,
それに対して,それは当然ですよと,一般化するセラピストの視点でもなく,
その両者のやり取りの先にくるであろう,クライアントの「でも」をも見通して,
両者のいまと,その先をメタ化する視点に立っている,ということである。これは,CTIで言う,
レベル1(内的傾聴)
レベル2(集中的傾聴)
レベル3(全方位的傾聴)
ではなく,それ自体をもメタ化する視点がいる,ということである。論理階型(メタのメタのメタ…)とは言い得て妙である。ある意味で,最終視点からは,入れ子になっている,と考えていい。
第二ステップの,自然な変化の語りは,
惨事ストレスは,多く50~90%は,6ヵ月後には回復が見込める。しかし少しずつ回復していく自分に戸惑い,仮に徐々に回復していたとしても,そのことに気づきにくい。そこで,問題が発生してから現在までの間で,
・その問題の程度に少しでも違いがないかを確認し,
・それまでに主体的にやってきた対処や行動を支持する,
という形で,コンプリメントする(ねぎらう)。そこでするのは,
・できていないことではなく,できていること,やれたことを,個人の能力に帰属させ,Do more うまくいっていることは,もっと続けてもらうためである。
ハーマン曰く,
精神療法は悪魔祓いではない,その前提は,真実を語ることによる自然治癒力である。
それを促すのである。さらには,スケーリング・クエスチョンによって,10の5か6か,そのできている方に着目する。
こんな大変な中で,どうしてそんなことができたんですか,
これも承認というか,質問を使ったコンプリメントである。
第三ステップは,リフレーム&パラドックス,
大体は第一,第二ステップを適用でき,ここまで進まなくてもよいことが多い。
ここでは,避けようとするほど思い出すことが多くなる(侵入)。生々しく不意にフラッシュバックしてくる。それならば,向こうが来るのを待つのではなく,自分から思い出すように援助する。そしてその意味づけをすること(リフレーム)が大事になる。
たとえば,津波の直前タクシーに乗り,タクシーごと津波に巻き込まれたのに,自分だけが助けられたことに,ずっと心に重荷を背負っていた女性に,
タクシードライバーの最期の様子を記憶しているただ一人の人,
とその記憶をリフレームすることで,女性が,
タクシー会社へ手紙を出す,
ということを思いつく。このことによって,
そのときのことを思い出すこと自体の意味が変わり,
より詳細に思い出せば出すほど,(相手への)いい情報になり,
そうやって思い出すことが重要になっていく,
というように,リフレーミングされ,意味づけが変わっていくことになる。と同時に,これは,
パラドックスにもなっている。
いやなはずのことを思い出せば出すほど,タクシー会社への手紙の,ドライバーの方の最期の記憶ということの意味がますます高まっていく,というように。
講師曰く,
このスリー・ステップ・モデルを持っていることで,どうしていいかわからない時も,自分のメンタルヘルスにいい,
と。凹まないですむ,という。
ここでも,MRIの解決像が生きてくる。
問題の解決ではなく,その問題を持ちながら,それを自分の力で何とかしつつ生きていける,
ことが,セラピーの終了だ,と。
今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm
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この記事へのコメント
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Posted by アグムートンブーツ at 2013年10月18日 11:12
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