2013年10月17日
魂
大好きな映画作品,リドリー・スコットの『キングダム・オブ・ヘブン』で,エルサレム国王は,イベリン卿バリアンに,こう語っていた。
(生まれる場所は選べない。王であったり下僕であったり,そこでは生き方は選びようがない。しかし)
魂は,おのれのものだ,
ということは,一切の言い訳は,神の前ではきかない,と。
あのときこうしたのは,これこれのためだ,とか,
やむを得ずとか,
そういう状況だったので,とか,
ああせざるを得なかったので,とか。
もちろん,手相も,占星術も,風水も,言い訳には使えない。
そういう言い訳のきかない事態で,どれだけおのれの魂を賭して,対処したか。
そうおのれの心が,問われて,大きくイエスと言い切る自信はない。
そういう時の自分の阿る表情や口調が,ふと頭をよぎる。逆らえず,下を向いたときの悔しさも蘇る。
Noと言うべきときに,Noと言えなかったことはないか。
Yesと言うべきときに,Yesと言えなかったことはないか。
黙っているのは,答えきれなかった証拠でしかない。
沈黙は,屈辱ではないのか。
かつて,ある食品メーカーの食肉センターで,売上げ不振に悩んだセンター長が,部下の管理職に,輸入肉をに国産肉のラベルを貼りかえる指示を出した。三人のうち,一人が,Noを言った。しかし,残り二人は黙っていた。
後日,新聞記者が,その二人に尋ねた。
なぜ黙っていたのか,と。
すると二人は,
サラリーマンだから,わかるでしょ,
と言った。さて,自分なら,その時どうするのか。言い訳はきかないのだとしたら。
そのセンター長の指示は,管理職に,
部下の人たちに―その人たちには,いい肉かどうかを目利きする腕を磨いてきた人も含まれる―,そんなことはいいからラベルを貼りかえろ,
というものだ。一体,どの面を下げて,そんなことが言えるのか。
魂がそのとき,何と答えるのか。
そもそも一体,何をするためにそこにいるのか,
それを役目というか,役割というか,天命というか,使命というか,そんなことはどちらでもいい。
自分は,何をするためにそこにいるのか,
という自分の存在理由を忘れて,人はまっとうに生きてはいけない。
それを,ぼくは自分の旗と呼ぶ。旗については,
http://blogs.dion.ne.jp/ppnet/archives/11129007.html
http://blogs.dion.ne.jp/ppnet/archives/2012-1030.html
等々,何度か触れた。
魂とは,おのれの心の声であると同時に,おのれの生きている理由でもある。そこに生きている意味をなくすような振る舞い,決断,意思決定は,自分がそこに生きている意味そのものを失わせかねない。
仮に,神の前に立って,きちんと言えるかどうか。
曾子曰く,吾,日に三度吾が身を省みる。人の為に謀りて忠ならざるか,朋友と交わりて信ならざるか,習わざりしを伝えしか,
あるいは,五省に言う。
1.至誠に悖る勿かりしか
1.言行に恥づる勿かりしか
1.気力に缺くる勿かりしか
1.努力に憾み勿かりしか
1.不精に亘る勿かりしか
しかしこれらは,単なる振る舞いを指す。ここで言うのは,存在そのものの意味,自分という存在のあり方として,恥じるところはないか,ということを言う。
そこで生きている,意味そのものが,問われる事態,そのときに,自分は,
自分の魂に賭けて,
偽りのない決断をしたのか,と。
もしおのれの全存在を賭して決断したのなら,その是非も,可否も,関係ない,
おのれの存在と等価なのだから。
それが言い訳のきかないという意味だ。
今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm
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この記事へのコメント
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Posted by bootstopsalejp at 2013年10月29日 04:03
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