2013年10月22日

リソース


先日,第65回ブリーフ・セラピー研究会「システムズアプローチの基本 ~治療システムと介入の下地作り~ 」(講師:龍谷大学文学部教授 吉川 悟)に参加してきた。2日間にわたるハードなプログラムで,正直疲れた…!

何回かにわけて,まとめておきたい。

まずは,全体からの学びを整理しておきたいが,2日目の最後のところで,エリクソンの言葉(そのままではないが)として,

異常なときに,異常なことをするのは正常,
異常なときに,正常なことをするのは異常,

を聞いて,ひとつ腑に落ちることがあった。これは,一種のノーマライゼーションなのだが,たとえば,

腹痛で苦しんでいるのに,何とか学校へ行かなくちゃとがんばるのは異常,

腹痛で苦しんでいるのなら,学校へ行けないのは当たり前,

腹痛が治ったら,元へ戻せばいい,

と言い切れるこちら側の目線というか,準拠枠が問われている。どんなアプローチをとろうとも,その目線がなければ,痛みを共有できない以上,共感は嘘っぽくなる。

そこには,社会側の常識=本人の常識が,

例えば,学校へ行かなければならないのに,いけない。行かなくちゃ,でもいけない…!

の悪循環となり,本人を苦しめている。セラピスト(コーチでも同じ)側の目線が,常識と同じなら,行くことがゴールになってしまう。しかし,その常識を外すなら,痛みの除去がゴールになる。解決方法が全く変わる。

さて,吉川先生のセミナーは何回か参加させていただいたが,改めて,

治療システムの構築

を柱に,

情報収集→仮説設定→働きかけ→情報収集→

(この循環は,何か喋る(働きかけ)→クライアントの反応(情報収集)→再整理し戦略を決める(仮説設定)→という一回ごとの会話,あるいはしゃべっている最中も起きる)

というクライアントとの関係性づくり(つまりクライアントとの信頼関係づくり)の中で,

クライエントや家族が話しやすいようにする,

話の展開に負荷をかけないようにする,

を意識しつつ,ジョイニングをして,どう介入していくか,の基本と実践をさせていただいた。そのとき,

介入のためには、下地作りが必要で,働きかけようとしていることが現在の治療システムにとって負荷が大きなものにならないか,当然のこととして変化を了解してくれる可能性があるのか,もっと単純にいうならば,できることをお願いしようとしているのかという単純なレベルの日常確認でさえ,介入の下地といえます。

ということが必要なのだが,言葉を換えると,クライアントがすでに言っていること,できていること,をベースにすることで,変化が起こしやすくなる,それをどう敏感に見つけていくか,と言うことになる。

当然ながら,メタポジションが必要で,

実際にクライアントに接している自分,
それに反応するクライアント,
それを見るもうひとりの自分,

の視点(CTIで言う,レベル1,レベル2,レベル3に当たる)。そのがもてなくてはならない。瞬時の反応次第で,せっかく質問したことの意図自体を無にする振る舞いを自分がするかもしれない,緊張が絶えずついて回る。

そこで,面接の基本姿勢として,

面接の目的は,クライアントが構成している「現実・未来・可能性」を作りかえること。

しかし,あらたな変化を作り上げるのではなく,「既に起こっている変化」を強調すること。

これは,ブリーフセラピー(あるいはソリューション・フォーカスト・アプローチも)の

変化は常に起こっており,必然である,

変化は多様な理由・方向から生まれる,

クライアントは自ら問題を解決するためのリソースを持っている,

に基づいている。

そのリソースを探すためには,出来事をどう正確につかむかにかかっている。「なぜ」という原因探しではなく,

どういう状況で,

何が起きているか,

を具体的に聞き出し,意味ではなく,出来事を詳細につないでいく中で,

関係者自体の問題対応,

関係者の行動パターン,

相互作用の微妙な変化,

をつかむことで,

状況を変えるリソース(できていること,すでに解決しかけていること,すでに言っていること等々)をその中に見つけられるかもしれないし,

変えるべき要素(パターンに誰を,何を加えると変わるのか等々)が見えてくるかもしれない。

特に,システムズアプローチは,相互作用のパターを変えようとするので,

どのタイミングで,何が起き,

誰(と誰が)がそれに関わっているか

を徹底的に具体化する。これが相互作用のパターンになる。

ミラクルクエスチョンでは,そのことが(あるいは問題解決が)実現してしまったとして,その日気づくことを詳細に聞いていく中で,それと対比しながら,既にできていることを引き出していくが,それが可能になるのは,出来事自体を,意味や価値と切り離して,行動として,かかわりとして,関係として,具体的に現出させているからだ。

アクションを聞く時も,障害を聞く時も,問題を聞く時も,これはいつもあてはまる。事実を解釈や意味づけのレベルで丸めて聞くと,細部は見えない。

細部に真実が宿る,

ではないが,

細部にこそ,リソースが宿る。

これは,聴き手側の目線の問題だ。


今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm





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posted by Toshi at 05:25| Comment(0) | ブリーフセラピー | 更新情報をチェックする
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