フラッシュバックについて,話題にしていたら,
http://ppnetwork.seesaa.net/article/391125143.html?1394482487
ではどういうコーチングをしたいのか,どういうコーチでいたい(ありたい)のか,とコーチに問われた。
で,ラタンダムに,コーチとして,自分のしたいこと,ありたいことを,できているいないに関わらず,挙げてみた。コーチングは,基本的には,クライアントの自己対話の中に入り込み,そこに異なる視点を持ち込むことだと,僕は思っているが,挙げてみて思うのは,通底するのが,
●相手について仮定しない。
●緩やかな変化
●相手の枠組みであること
●みずからの考えを変える力があることを,相手自身が気づけるような状況をつくりだす
●そのために使えるリソースとなるものを相手の中に見つけだし利用する
という,エリクソンの原則だと,改めて,思った。そこで,
①まずは,自分を脇に置いて,クライアントの側にいる
コーチ自身の仮説や異見がわいてくることはある。しかし,それは,コーチの生き方であり,考え方であって,コーチの人生においては有効で,意味があっても,クライアントに意味があるとは限らない。その意見を言うときがあるかもしれないが,Iメッセージとして,伝える必要があるときまで,とっておけばいい。
コーチングは,ヴィトゲンシュタインの言語ゲームになぞらえれば,コーチングゲームである。両者が合意し,共有する土俵(あるいは電車ごっこの紐のようなものの中)に乗っていることで成り立つ。そこを外せば,成り立たない。
②鏡であること
徹頭徹尾,クライアントの,
言葉,体,心,思い,感情,気持ち,感覚,表情,しぐさ,振る舞い,息遣い,
等々を澄んだ反照で,写し返すこと。まあ,もちろん,コーチに様々な違和感,思いが巡るが,それをどれだけ脇に置いて,ただ,写せるかが,大事だ,と思っている。もちろん,
http://ppnetwork.seesaa.net/archives/20140302-1.html
で書いたように,そこにコーチの生き方が反映し,それに応じて鏡の立て方が,歪むかもしれないにしても。
ここには,コーチの関心で聴かないとか,仮説を貼りつけないとか,ということが含まれる。その人生のボスは,その人自身である。その人にとってのあるべき姿が大事なのであって,コーチのあるべき姿など,何の意味も役にも立たない。
③聴く
当たり前たが,耳を傾ける。ただ,クライアントに,語るクライアントに注意を傾ける。ひたすら,聴く。それは,その聴くという姿勢そのものが,受容であり,共感である。だから,関心と興味をもって,耳を傾ける。
そこにいるクライアントその人
に,ただひたすら焦点をあてて,聴き続ける。
④いいところにのみ焦点を当てる
相手がどんな人生を送っていようと,その人生のボスはクライアント自身でしかない。その人生を代わることはできない。であれば,相手自身が何を望むのか,どうなりたいのかを引き出すことはあっても,そんな人生は「間違っている」という言い方(そういう言い方をする人はいないが)をしないまでも,こちらに,あるべき姿をもっていて,それに対比しつつ,相手にラベルを貼るというやり方はしない。相手の隠された望みを引き出すために,
出来ていないところではなく,
出来ていることに目を向ける。ソリューション・フォーカスト・アプローチではないが,スケールクエスチョンで,10のうち2だとしたら,8に焦点を当てない。2に,できているところに,焦点を当てる。そこにしか,リソースはないからだ。
⑤一緒に解決しようとする気持ちを手放す
解決主体はクライアントである。そのために問題に焦点を当てるのではなく,解決状態(どうなったら解決したことになるか)に焦点を当てる。そこは当たり前だが,つい一緒に解決策を考えがちだが,解決するのはクライアントでしかない。コーチにできることは,クライアントが解決できるように,その手立て,方法を,クライアントから引き出し続ける。そのために,できないことに焦点を当てても仕方がない。出来ることに焦点を当てる。
⑥心地いいことを拾い上げる
心地よい状態でなくては,心に余裕はなく,発想は豊かにならない。発想力とは選択肢が一杯あること,そのためには,ゆとりがいる。それに効くのは,笑い,だと思っている。クライアントに笑いや笑顔が出たら,まずは正解。そういう雰囲気を一緒に醸成していく。
クライアントの痛いことを聴かないというのではない。別にそんなことをわざわざ引き出さなくても,そこに焦点が当たるように流れていく。そういうものだ。
⑦できることを信じる
というより,できるということを前提にして,コーチングする。クライアントができるとわかっているから,できることを拾い上げる。出来ていることに焦点を当てる。それは,信ずるというより,
出来るのが当たり前,
と考えている,というのが正しい。
⑧否定はない
発想というのに否定はない。ダメ,無理,はない。それと同じことだ。だから,できないところではなく,できるところにしか,できているところにしか,焦点を当てない。承認とはそういうものだ。
⑨リソースの発見
クライアント自身の気づいていないリソースを見つける。あるいは,クライアントにとって当たり前のことが,世の中的には,決して当たり前ではないと,きちんと拾い上げて,フィードバックしていくことが必要だ。
クライアント自身にとっては,特別でないことが,特別なことだと認知することが,リソースの自覚につながる。
⑩承認がベース
当たり前のことだが,そのためには,承認がベースだ。クライアントが,
そのままの自分でいい,
その人のままでいい,
ときちんとフィードバックしなくてはならない。コーチ自身に,生き方やあり方のついての理想像や,あるべき姿があって,それと対比して,そうなっていないクライアントを追い詰めてはならない。それは,二つの点で間違っている。
第一に,そのあるべき姿はコーチのそれでしかないこと,
第二に,問題にしか焦点を当てていないこと,
必要なのは,クライアントのあるべき姿であり,クライアントがどうなりたいと思っているかでしかない。仮に,クライアントがいまのままでいいと思っているなら,それをとやこういう資格は,コーチにはない。それを手放さなければ,それ望まないクライアントを追い詰めているだけだ。
⑪その人以上に見る
その人が思っている以上にその人は大きい,
その人のいま以上にその人は大きい,
そういう視点で,その人を見る。それは,単に,
できるその人,
なりたいその人,
ではなく,その人の中にある,その人の持つ大きさに着目することだ。本人以上のスケールと大きさで,本人を見ること。
⑫何でも話せる場をつくる
以上のことが,設えられて初めて,安心・安全な場になる。安心・安全な場,という言い方を,誰もがする。しかし,それができているためには,クライアントに,自分が何でも話せるのは,誰それだが,それ以外に,ここにもできた,と思ってもらわなくてはならない。そのためには,上記のコーチの姿勢がなければ無理というものだ。
僕は,コーチングにおいては,コーチのモードに切り替える。その瞬間,コーチという帽子をかぶる。そこで,いつも自然体でいたいと思う。その瞬間,コーチングという紐に入る。そのとき,僕は,フランクで,泰然として,クライアントの側にいたい。
今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm
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