2014年03月19日
奇跡
前回に続いて,先日,日本産業カウンセラー協会・神奈川支部の「ブリーフセラピー・ステップアップコース」(講師;森俊夫先生)の
http://ppnetwork.seesaa.net/article/388984031.html
第二回目。今回は,「ミラクル・クエスチョン(MQ)」を中心に,その実践バージョン。
ソリューション・フォーカスト・アプローチにおける,ミラクル・クエスチョンは,たとえば,こんなふうに始まる。
「それではちょっと変わった,たぶん耳慣れない質問をしたいと思います。少し想像力を働かせていただけますか」
「ちょっと想像してみてください」
「ここで面接を終えた後,あなたは家へ帰って夜,テレビを見たり,いつもどおりのことをしたりして,そしてその後ベッドに入っておやすみになられますよね」
「そして,あなたがおやすみになっている間に,奇跡が起こります…」
「そして今日ここで,あなたが相談にこられたことが解決するのです。アッと言う間にね…」
「しかしこの奇跡は,あなたがおやすみになっている間におきたので,あなたは奇跡が起きたということはわかりません」
「朝,あなたが目覚めたときに,
a;あなたに奇跡が起きたことを,どんな風にあなたは気づくのでしょうか?
b;あなたの一番の友達(あるいは家族)は,あなたに奇跡が起きたのをどのように知るのでしょうか?」
aは,自己視点,bは,他者視点で,相手に応じてどちらかの問いをして,変化を記述してもらうことになる。そして,ここからは,「ビデオトーク」というか,詳細に細部を,具体的に聞いていく。ここが,MQの肝なのである。
ところが,である。
実はお恥ずかしいが,今回初めて気づいたことがある。このMQは,いままでも試みたことがあるが,間違っていたのは,問いをしていくうちに,
起きている奇跡そのものを聞き出そうとしていた,
らしいのである。しかし,今回,改めて再確認したのは,ここで必要なのは,奇跡の,
何が(起きている)か
ではなく,それはクライアント自身にわかっていればいいことで,
既に手に入れた状態,
をこそ,詳細に聞いていくことなのだ。すでに,なりたい,ありたい,
解決状態にある,
そこでどういうふうに生活しているのか,こそが大事な,
手に入れた状態,
なのである。そこで,
何をしているのか(→何ができているのか)
何を感じているのか(→何が感じられているのか)
何を考えているのか(→何が考えられるようになったのか)
何を思っているのか(→何が思えるようになったのか)
という,具体的な状態,それこそが,クライアントが求めてきたことなのではないか。その,
起きてしまった奇跡の中でどう生活しているのか,
こそが,詳らかに,それこそ,微に入り細に渡って,具体化し,具象化しなくてはならない。それこそが,クライアントの手に入れたかったものだからだ。そして,そこで,いますでに,
起きている奇跡,
つまり,「例外」を探していくことになる。それは,すでに,いま,気づかないうちに,
できていること,
手に入れていること,
なっていること,
なのである。これが解決の手掛かりになる。
だから,ミラクル・クエスチョンが,
解決像の構築,
となる所以なのだ。もちろん,ミラクル・クエスチョンのバリエーションは一杯ある。よくあるのは,
自信がない,
というのに,
もし自信がついていたらどうなっている(解決状態)んですか
と問うやり方がシンプルかもしれない。コーチングでもよくやる。あるいは,
理想と言い替えて,
理想が実現したら,
というのもある。未来からの電話や,未来へのタイムマシンや,もう一人の自分への変身や,どこでもドアや,工夫次第で,いまのステージから,一気に手に入れた状態へ誘う,手段の取り方次第,ということになる。
だから,ミラクル・クエスチョンの要素としては,
●起こりえない変化が起きた,という表現であれば,奇跡でも,未来でも,構わない。
●すべての問題が解決されている,というところが鍵。そこで言われていることも,言われていないことも,すべて実現した状態,ということだ。
●それが,いますぐ,即時に,日常生活の中で起きている。
●それにクライアントは気づかず,起きてしまっている。なぜ起きたかは,どうでもいい。
その状態の中で,何ができるか,を詳細にたどることが,クライアントの求めている解決状態の確認になる。
それが求めていた解決状態
なのだから。
参考文献;
テリー・ピショー&イボンヌ・M・ドラン『解決志向アプローチ再入門』(金剛出版)
今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm
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