2014年04月03日

地球外生命


長沼毅・井田茂『地球外生命』を読む。

銀河系の恒星の数はおおよそ数千億個,だとすると一千億個以上の地球型惑星が存在し,生命を宿しうる「ハビタブル惑星」も100億個以上ある,と考えられている。ただ,系外惑星系は,太陽系とは似ても似つかぬ惑星系が多く,…中心星の近傍の灼熱領域(太陽系での最内縁の水星の軌道のはるか内側)に,スーパー・アースと呼ばれる大型地球型惑星をもっていて,何個ものスーパー・アースがひしめき合っている…,

にもかかわらず,氷を主成分としたスーパー・アースが複数見つかっている,という。

地球外生命の発見もそんなに遠くないと思われる中で,本書は,地球の生命を掘り下げ,

地球生命にとって良かった条件を洗い出し,…どの程度普遍化できるか,

を探っている。なぜなら,

わたしたちは,地球に住んでいる,共通の祖先から枝分かれした単一の生物しか知りません。この生物を手がかりにして,宇宙の環境にどのような生命が存在しうるかを考えるしかありません。手始めに,地球の生物が生きていける限界を押さえておきます。

地球上の生物を生き方で分けると,

動物(多細胞) 陸上と海に数十億トン
植物(多細胞) 陸上と海に1兆~2兆トン
微生物(多細胞,単細胞) 陸上と海に2000億トン~3000億トン,地下に400億トン

動物の中の3.6億トンが人である。しかし,普通,生物は,

バクテリア(細菌)
アーキア(古細菌)
真核生物

と分けられる。

真核生物の細胞膜はバクテリアに似ており,遺伝子のはたらきなどはアーキアに似ていることから,バクテリアがアーキアを食べて,食べられたアーキアが核になって,真核生物になったとされるが,地球上のすべての生物は,単一の系統,共通の祖先から発している。

ではそもそも生命はどう誕生したのか。

ひとつの説が,アレクサンドル・オパーリンの原始スープ説。

まず無機質から有機物が生成され,その有機物が海の中で結合して,アミノ酸,塩基,リン酸などができ,それらが長くつながってタンパク質やDNA,RNAなどの核酸ができ,生命に至った…。

いまひとつは,ギュンター・ヴェヒタースホイザーのバイライト仮説。

パイライト(黄鉄鉱)ができるときにはエネルギーが生じ,このエネルギーで二酸化炭素を取り込んで糖質などの有機物が作れる。

いまひとつは,外来説。そのひとつがか,ジョセフ・カーシュビングの火星起源説。

生命誕生は40億年前,当時地球には陸地がなく,陸地がないと,生命活動に重要なミネラルが海に供給されない。しかし40億年前の火星には陸も海もあり,生命誕生に都合がよい環境だった。また火星からの隕石の飛来は,13000年前に南極に落下した例があり,隕石の中に入っていると,摩擦を受ける大気圏通過は,10秒くらいで,中心部は40℃までしか上がらない,とされている。

では知的生命体への進化は,どのように行われたのか。

実は地球上では,大酸化事件が数回起きている。生命誕生期には,酸素はほとんどなく,当時の生物は嫌気型であった。しかしシアノバクテリアという海中の光剛性バクテリアが,30億年前から,酸素を発生させ,20~24億年前,酸素の蓄積量がティッピングポイントを超え,地球表面が一変する。

酸素呼吸は無酸素呼吸に比べエネルギーの発生量が10倍以上大きく,酸素呼吸の第一世代微生物が地球生態系で1人勝ちしていく。

その酸素呼吸のトップランナーが,私たちの祖先細胞に食べられたか,あるいは侵入したかして,そのまま細胞内に居座ったオルガネラがミトコンドリア,

というわけである。著者は言う,

もし私たちの祖先の細胞にミトコンドリアの前身のバクテリアが侵入せず,細胞内小器官になってくれなかったら,多細胞化,ひいては大型生物の出現はなかったでしょう。ミトコンドリアとなったバクテリアが現れたのは,シアノバクテリアが光合成の廃棄物として酸素を吐き出すという,地球規模の環境汚染をしてくれたおかげです。地球に限らず,いったん酸素が大気や海洋に放出されたら,やがて酸素を消費する生物が出現するでしょう。それは宇宙においても普遍的なシナリオだと思います。
この生物は,酸素呼吸により大量のエネルギーを得る半面,酸素呼吸で生じたラジカルが遺伝子を傷つけるので,遺伝子を安全に収納する細胞を特殊化させるでしょう。つまり,卵子と精子による有性生殖もまた普遍的と思われます。多細胞化して生物種が増え,生態系が複雑になると,…センサーとその情報処理系,すなわち感覚器官と脳が発達するでしょう。
つまり,生命が誕生し,酸素がある環境なら,多細胞で神経系を持ち,有性生殖を行う生物が生まれるチャンスは十分にあると思われます。

ワクワクするのか,ぞくぞくするのか。探査計画は目白押しである。

参考文献;
長沼毅・井田茂『地球外生命』(岩波新書)



今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm


posted by Toshi at 06:13| Comment(0) | 書評 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください