2014年05月17日
捌く
てきぱきと手際よく物事を捌く,というのは,傍から見ていて気持ちがいい。手際とは,要するに,
もの事を処理する腕前,
ということになる。手際とは,
手+キワ(処理を極める)
だから,手並み,腕前となる。
捌くは,
サ+分く
で,入り組んだ物事をきちんと処理する意味である。だから,捌くの意味は,
①入り乱れたりからんだりしているものを解きほぐす
②鳥・魚などを切り分ける。解体する
③扱いにくいものをうまく扱う。また,道具などを使いこなす
④錯綜した物事を手際よく処理する
⑤物事を解き明かす
⑥商品を売りこなす
⑦目立つように振る舞う
⑧ふるまう,おこなう
⑨理非を裁断する
と多様に,ものごとを処理する意味がある。
確かに,捌くには,前捌き,売り捌く,荷捌き,手捌き,太刀捌き,といった腕前に絡むことがおおい。では,
こなす(熟す),
のとどう違うのか。
こなすは,
コ(小・細)+なす(為す)
で,細かく砕くが本義。それから,消化のこなれるにもつながる。意味的には,
①食べた物を消化する
②かたまっているものを細かく砕く
③技術などを習って、それを思うままに使う。また、身につけた技術でうまく扱う
④与えられた仕事などをうまく処理する
⑤売りさばく
⑥見下げる。けなす
⑦動詞の連用形に付いて、自分の思いのままにする意を表す。うまく…する。完全に…する
等々。使いこなす,乗りこなす,読みこなす等々。こなすだと分かりにくいが,
こなれる,
だと,状態を示して,
細かくなる,砕けて粉になる,
熟して味がよくなる
物事に馴れる。世情につうじて角が取れる,
巧みになる
等々とよりはっきりしてくる。捌くは,動作面で見ており,こなすは,主体側で見る,つまり,捌くは,仕事や物事側,こなすは,スキル側とみれば,なんとなく,区別がつく。なんとなく,こなすには,小手先という感じがしてしまう。気のせいか。
しかし,こなすには,どこか,
やってのける
やり終える
まっとうする
やり遂げる
まっとうする
というニュアンスが付きまとう。やっとこさっとこ,必死でやり繰りしたというような。因みに,やり繰りは,
遣り+繰り
で,不十分なものを,あれこれ算段する工夫をさす。そんなニュアンスがある。
しかし,捌くには,
つかいこなす
というか,どこか軽やかな,
手綱捌き
太刀捌き
鑓捌き
前捌き
腕捌き
手捌き
足捌き
等々と,颯爽感がある気がするのは,思い過ごしだろうか。
身のこなし
と
身の捌き
と比較すると,こなしの方が軽く,捌きが重厚な気がする。しかし,
捌けた(人),
と
こなれた(人),
と,状態で表現すると,結局あまり差が無くなってしまうように見える。けれども,ニュアンス差はいくらか残り,
こなれた
というと,やっぱりスキルチックな軽さがある気がするのは,ぼくだけか。
こなれた人,
と言われるよりは,
捌けた人,
と呼ばれた方が,人としては,上に感じてしまう。錯覚かもしれないが,捌きに長けたものの方が,こなしに長けたものよりも,人としての重みが違うような…。
今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm
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