2014年06月20日

未完


いまひそかに僕が読んでいて,その続きを首を長くして楽しみにしているのは,

原泰久『キングダム』

である。きっかけは,NHKのアニメだったが,途中で放映が終わってしまい,気になってその続きを読み,さかのぼって,一巻からKindle版で読み直した。アニメ化では,いくつかが削られていて,それを削ったら,将登場人物の背景の持つ陰翳が削られて,まずいだろうというようなところも見つけたりしながら,Kindle版では待ちきれず,単行本で,いま34巻まできた。来月35巻が出るのを,待ちきれずに,もうアマゾンに予約したくらいに楽しみにしている。

まだ,嬴政が,丞相・呂不韋との権力争いで,秦国内の実権を握れていない。中華統一までは,まだまだ遥かに遠く,長い。僕が生きている間に終わらないだろうな…!

そういえば,白土三平の『カムイ伝』も,まだ終わっていないらしい。

かつて,漫画は毎号堂々と変えず,とびとびに密かに買って読んだ記憶がある。それでも,「冒険王」か「少年画報」…だったかを読んでいた記憶があるし…,好きだったのは,杉浦茂のギャグ漫画(の走り?)の『猿飛佐助』。因みに赤塚不二夫は,杉浦のファンで,レレレは,杉浦に由来するという。

僕はスポーツ音痴なので,スポ根系は,あまり好きにならない。

009は流れ星になり,鉄腕アトムは太陽に向かって飛んで行った,

という名文句を,石子順造という評論家が書いたのを読んだ記憶があるが,作品の終り方は難しい。

長ければ長いほど,その終り方は,難しくなる。無理に終わらせて,墓穴を掘った例は多いのではないか。しかしそれ以上に難しいのは,いったん終わったものを再開させる場合だ。『サイボーグ009』も再開したが,到底蛇足としかいいようがない。

だから,はじまりよりも,終らせ方が難しい,

とつくづく思う。コナン・ドイルは,ファンの声に押されて,

シャーロック・ホームズを帰還させて以降,駄作になった。

中里介山も,『大菩薩峠』中で長さを誇っていたが,ついに終わらせられなかった。未完のままのものというのは,結構多い。

ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』もそうだし,

プルーストの『失われた時を求めて』もそうだし,

ムージルの『特性のない男』もそうだし,

夏目漱石の『明暗』もそうだし,

そうだ,カフカの『城』もあったし,マニアックなところでは,

国枝史郎『神州纐纈城』もあったし,

埴谷雄高『死霊』も,途中で付き合うのをやめてしまった…,

と,数えあげていけば,結構ある。僕の好きな,ショーロホフの,

『静かなドン』

は,未完ではないが,新田たつおの漫画『静かなるドン』にタイトルを剽窃されて汚された気がしてならない。ショーロフの題名を意識したらしいが,腹を立てている。「ドン」の意味が全く違う。ウィキペディアによると,小林信彦の『唐獅子シリーズ』で最初に使われたギャグからきたものといわれている。真似の真似,ということだ。ギャグなら,福田善之『真田風雲録』くらいの見識と上質さがないと。

話が横へ逸れた。流れたついでに,漫画というなら,

つげ義春の『沼』

が好きだ。『ねじ式』もいいが,『もっきり屋の少女』系がいい。そう言えば永島慎二の『フーテン』や『漫画家残酷物語』もいい。

大友克洋の『童夢』

がいい。『AKIRA』も確かにいいが。

『機動戦士ガンダム』はアニメか(因みに,これも続編中,耐えられるのは,その後のアムロの出てくる『Zガンダム』くらいだ),

宮崎駿のアニメではなく,漫画の,

『風の谷のナウシカ』

もいい(アニメもいいが)。

何か大事なものを忘れているかもしれないが,挙げればきりがない。

でも,終り方が,やはり気になる。

未完は,作家の構想大きさに,ついに手と時間が足りなかったということだ。

手塚治虫は,まだ頭の中に構想が数本あったという。

広がった構想を,展開するだけでなく,それを収斂し,大団円に持っていくには,構想が大きければ大きいほど,難しいのだろう,と想像する(しかないが)。

そんな大構想は,僕には,リアルにもフィクションにもないが…。

参考文献;
原泰久『キングダム』(集英社)



今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm

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posted by Toshi at 05:24| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする
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