2014年07月26日
笑
「笑」の古語は,「咲」だという。
『古事記』の天の岩屋戸神話で,
八百万神共に咲ひき,
と,八百万神がアメノウズメの命の踊りに,共に笑ったという表現で使われているのは,
笑う
ではなく,
咲う
である,という。「咲」は,「笑」の古語という。
まずは,「笑う」の語源は,
ワラ(割・破る)+ふ(継続)
である。
顔の表情が割れ,それの継続・反復する状態を言う,
とある。つまり,顔の表情が割れ続ける,を指す。
では,漢字の「笑」は,と言うと,
口をすぼめて,ほほとわらう,から転じて,口を広げてわらう
とある。「笑」は,
竹+夭
と分解できるが,「夭」は,
細くしなやかな人
の意で,「笑」は,「竹+夭(ほそい)」で,もともと細い竹のこと。正字は,
口+笑
とも言う。だから,
口をすぼめてほほとわらうこと,
だったらしい。それを誤って,
咲
と書いた,と言う。では,「咲」はと言うと,
口をすぼめてわらう
という意で,「笑」から転用されたが,日本では,
鳥鳴き花咲ふ
という慣用句から,
花がさく
意に,転用されるに至ったという。
「笑」以外には,
嗤 歯をむき出してあざわらう
哂 息を漏らして失笑する
噱 大笑い
に対して,「笑」は,
喜んで顔を解き,歯を啓く,の意となる。
しかし,
笑
より,
咲
の方が,笑いによってその場が変ずる様子がよく出ているように思う。さすがに,象形文字である。
表情が一変する,
というのもまた,
咲ふ
のほうがよく表現できる。文字の向こうに景色が見える。
参考文献;
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm
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