2014年08月03日

まじめ


まじめ

は,

真面目

をあてるが,当て字で,語源的には,

マジ(擬態・まじまじ)+目

で,真剣な顔つき,誠実な態度,誠意があるなどの意味になる。

まじまじ

は,

たびたびまばたする,眠れないさま
恥じず平気なさま,しゃあしゃあ

とある。前者から,

緊張して,眼をしばたたかせるだけの真剣な顔つき

が連想され,そこから,

本気,

誠実,

に広がったと考えられる。ただ,江戸時代をみると,

阿鼻焦熱の苦しみをまじまじと見てゐられうか

という使い方で,

ただなすところなく見ているさま,じっとみつめるさま,

の意と,

さすがの喜多八,しょげ返りて顔を赤らめ,まじまじしてゐるを

という使い方で,

もじもじ

の意,とある。そこからは,

真面目

の意味は見当たらない。

ただ,手を束ねてこわばっている

か,

照れて気後れ(もじもじ)している,

の意の方が強い。

真面目

の字を当てたのがいつの頃かは分からないが,

しんめんもく(と読むと,真骨頂の意味になる)

の字を当てた瞬間,他の意味が,「地」に下がり,誠実さが「図」として浮き上がった,ということなのかもしれない。

だから,辞書的には,

うそやいいかげんなところがなく,真剣であること。本気であること。また,そのさま。
真心のあること。誠実であること。またそのさま。
真剣な顔つき,本気。

だけが残ることになる。

まじ

と略すと,いっそう一か所に焦点を当てたようで,しかしこう略した瞬間,

すこし真剣さが消えて,諧謔さがでてくる。一説では,

マジは江戸時代から芸人の楽屋言葉として使われた言葉,

らしいのだが,

まじに,
まじで,

から,

まじすか?

まじ~

と,使われると,意味は,「真面目」のニュアンスからかなりずれてくる。

本気

を「まじ」と訓ませるところまでいくと,

ちょっと皮肉が交じっているような気がする。

そう思うと,略された瞬間,軽くなり,軽くなった瞬間,そこに諧謔が生まれてくる気がする。最近では,

スマートフォンを,スマホ,

ガラパゴス携帯電話をガラケー

あるいは,

二子多摩川を,ニコタマ,

ああ,カタカナになると,一層そういうニュアンスが強まるような。

就職活動を,就活,さらにシューカツ

と書くと,そのニュアンスがわかる。

参考文献;
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)





今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm

posted by Toshi at 04:37| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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