2014年08月25日
けり
けりがつく
けりをつける
の「けり」は,
助動詞けり
であり,けりがつくは,
助動詞けり+が+つく
の意味だ。助動詞「けり」は,
過去の助動詞キ+アリ
という説,
動詞キ(来)+アリ
とする説などがあるらしいが,いずれにしても,
ある事実を基に過去を回想する意を表し,後世には,助動詞タの意味を詠嘆的に用いることが多いという。
助動詞「た」は,
ある時点で,それがあったと確認した意味を表す,
という。つまり,文末にそれを使うことで,
基準となる時点が今となって,それがすでに起こったことを示す
という意味だから,
過去のことを示す
あるいは
動作の完了を表す
あるいは
動作の実現を促す(たとえば,「どいた,どいた」というように,動作を完了させることを促すという意味になる)
という使い方をするようだ。最後の例は別にして,
「けり」を付ける
ことで,語っていることが,語っているいまの時点から見て,それが,
終ったこと
過去のこと
を示している,ということになる。
その意味では,けりをつける,けりがつくは,
それを過去のこととして終わらせる,
というニュアンスがあり,
終止符を打つ
や
ピリオドを打つ
と似ているが,具体的に,デッドラインを引くというのとは,ちょっとニュアンスが違うような気がする。
「けりがついた」ことにしておく
「けりをつけた」ことにしておく,
あるいは,
「けりがついた」つもり
「けりをつけた」つもり
という色があって,
本当に終わったのなら,終った,とか,片づいた,と言えば済む。そうではないから,
けりがついた(はず)
というしかないような気がする。そう考えると,
帳尻を合わせる
平仄が合わない
辻褄が合う
始末をつける
落とし前をつける
というのと,どこかで重なりそうな気がしている。つまり,むりやり,決着をつけたという色合いが,どこかにある。そうしてみてみると,「けり」の用法に,
ある事実が過去にあったことを回想する
人から聞いたりして知っていたことを思い出す
過去にあったことをいま話題にのせる
いまあることが,前からのことであったと思う
時を超えてある事実が存在することを述べる
「いま」の時点を,ピンポイントと考えると,それ以前のこととなる。しかし,その「いま」が少しずつずれれば,そのまま(語っている)「今」の直前まで,それは引きずられる。
「いま」
が曲者だ。そういう意味で,
時を超えて
という用例はよくわかる。つまりは,
けりはついていない
ことになるのだろうか。
参考文献;
藤堂明保他編『漢字源』(学習研究社)
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください