終焉
服部茂幸『アベノミクスの終焉』を読む。
素人としての感想に過ぎないが,アベノミクスの印象は,じゃぶじゃぶの公共投資,でもって土建屋が活況で,人手不足。その余波で,いろんなところ(特に3K職場)が人手が足りない。一見好況のようだが,大企業が好調の割に,賃金は下がりっぱなし,非正規雇用のみ増え,円の価値は下がり,といって輸出が増えているわけではなく,貿易収支の赤字が続く,で,何番目の矢か知らないが,結局武器輸出頼みとカジノ誘致って,そんなのに日本の将来はあるのか,というものだ。
この数年のうちに,精神と文化も含めて,大事な日本の岩盤が壊されていくような不安がある。こちらは,どうせ老い先短いが,若い人の無関心が気になる……というところだ。
ほんとうはどうなのか。筆者は,
「アベノミクスが始まる前からその批判者であった。」
という。その意味で,経済学者の論拠を知りたいと思って,読み始めた。ただ,あとがきで,
「2013年10月,第三・四半期のGDP速報がでた。そこでは経済成長率が1%程度だったことが告げられた。14年四月には消費増税があり,第二・四半期には経済が落ち込むことはほぼ確実である。」
とあるように,それ以前に書かれていることを念頭に置かなくてはならない。
まえがきで,
「アベノミクスは異次元緩和という第一の矢,公共事業拡大による国土強靭化という第二の矢,成長戦略という第三の矢からなるとされる。(中略)アベノミクスの主役は第一の矢,脇役が第二の矢であり,第三の矢はまだ登場していない…。」
主役の矢については,
「安倍が無制限の金融緩和を訴えてから,株価上昇と円安が急速に進行した。(中略)しかし,黒田東彦が日銀総裁,岩田規久男が日銀副総裁に就任するのは13年三月であり,異次元緩和が始まるのは四月である。三月までの出来事はいわば『前史』である。
株価上昇も円安も異次元緩和が始まってしばらくするとストップした…。13年の上半期には高かった経済成長率も,下半期には低迷している。」
金融緩和の目的の一つは,円安による輸出拡大であった。しかし,
「12年末に円安が始まると,輸出は再び増加し始めた。円安効果を発揮していたようにみえた。ただし,増加したといっても,…12年のピークにも達しなかった。さらに円安が止まった時から少し遅れて,輸出も減少に転じた。円安が輸出を拡大させたとすれば,円安が止まれば,輸出増大が止まるのも当然であろう。他方,円安にもかかわらず,輸入の伸びは著しい。」
しかも,14年第一・四半期の経常収支は1兆4000億円の赤字である。
「日本の長期停滞の原因はデフレであり,そのデフレの原因は日銀が金融を緩和しないためだ」とする,いわゆるリフレ派の黒田,岩田両氏が日銀の総裁,副総裁に就任して始まった異次元緩和は,しかし,輸出拡大による経済復活に失敗し,
「輸出の拡大が,貿易収支,経常収支を悪化させるとともに,日本の経済回復を妨げている。」
つまり安倍とリフレ派の主張とは真反対のことが生じている。しかも,目論見に反して,
「賃金と可処分所得は名目においても低下が続いている。その結果,実質賃金と実質可処分所得は急減することとなった。」
実は,このいわゆる,失われた20年と言われている金融危機以降,日本の実質賃金も,実質可処分所得も低落傾向にあったが,
「11年以降では,実質賃金はせいぜい微減である。家計実質可処分所得は増加している時期さえみられた。ところが,異次元緩和導入以降,両者は大きく低下した。」
のである。その結果,消費が落ち込むことになる。実は,
「2013年第一・四半期の経済成長率は年率で5%近い。第二・四半期の経済成長率も高かった。このように,アベノミクスが始まってからの半年間の経済成長率はきわめて高かった。しかし,安倍政権が誕生したのは12年12月であり,異次元緩和が始まるのは,13年4月である。13年前半の高成長は異次元緩和の成果ではあり得ない。」
のである。そう,安倍政権に政権が代わって以降,
「皮肉にも,異次元緩和が始まると,経済成長率は低迷する」
のである。
「第三・四半期の経済成長率は年率で1%,第四・四半期にはほとんどゼロである。14年第一・四半期の成長率は6%と極めて高いが,消費増税前の駆け込み需要によるところが大きい。」
リフレ派の目標はデフレ脱却のはずである。現在日銀は,消費者物価上昇率を年率で2%へと引き上げ,それを安定化させることを目標としている。それはどうか。
「13年6月,消費者物価上昇率が前年同月比でプラスとなり,11月には1.6%にまで引き上げられた。13年10月以降,内閣府が調査した1年後の物価見通しの指標も3%を超えている。」
当然現在のインフレは,コストプッシュ型,つまり円安が原因である。
「12年には国内企業物価の低下は消費者物価よりも大きかった。それが13年後半には,国内企業物価の上昇率は2%を超え,消費者物価の上昇率を大きく超えるようになった。」
しかし輸入物価の上昇が止まれば,輸入インフレは止まる。
「13年5月から円安は止まっている。13年末から,輸入物価の上昇も止まった。それと期を同じくして,消費者物価も国内企業物価も上昇が止まっている。」
当然消費増税の影響は別とすると,
「これまでの消費者物価の上昇が輸入インフレの結果でないことが明らかになるまでは,本当にデフレから脱却できたかどうかの判断を行うことはできないはず…」
ということになる。この点でも,アベノミクスの成果は,まだ出ていない。
第二の矢については,
「耐久消費財と民間住宅投資は,経済の回復が始まった09年から急増している。この急増の一部分は,エコカー減税,エコ・ポイントなどの政策によるものであろう。アベノミクスが始まると,再び耐久消費財と民間住宅投資は急増する。この急増も14年4月の消費増税を無視しては考えられないであろう。政府支出の増加も大きい。」
という意味で,第二の矢の効果が上がっているといっていい。耐久消費財,民間住宅投資,政府支出でGDPの四割を占める。これが,アベノミクスの経済成長を支えた,と著者も認める。ただ,
「公共事業に代表される政府固定資本投資はGDPの5%を占めるにすぎない。建設業の就業者も全体の数%程度である。政府固定資本投資を現在のように年率二割で急増させても,それは日本のGDPを1%増加させるにすぎない。」
しかしそうして増加させることで,建設会社の設備能力と人手不足とで,需要には対応しきれない。震災復興事業も拡大している。民間の住宅,工場建設も増え,現実には,業界のキャパを超えており,自治体の公共事業への応札がない事態も起きている。バブルである。しかし,それは人手不足だけを波及させていくようにしか見えない。
さて,こうしたアベノミクスのバッボーンになっている,日本のリフレ派は,アメリカのバーナンキの,
「90年代以降の日本の長期停滞……の原因は日銀が金融を緩和させずに,デフレを放置していることにある」
という主張を受け継いでいる。その意味では,著者の,バーナンキ,グリーンスパンの
「アメリカの住宅バブルの最中に,家計はバブルの中で返済できない負債を蓄積させている」
という警告を知りながら,それに反論し,逆に,「低金利政策と金融の規制緩和によって,金融不安定性を拡大」させ,結果として,08年の危機を招来させた,経済学への手厳しい指摘は,翻って,それをまねて踏襲するアベノミクスへの批判と警告になっている。著者はこういう。
「08年の危機はバーナンキに代表される経済学が何重にも間違っていたことを示している…。」
と。それをクイギンにならって,ゾンビ経済学というが,しかし,「08年の危機はゾンビ経済学を死滅させたかにみえた」が,アベノミクスによってそれが復活した。その復活の理由を,四つ挙げる。
①危機が本当に明らかになるまで危機を否定した。
②経済現象は多面的であり,失敗の唯一の原因というものはおそらくないであろう。それを利用して,成果を自分の手柄とし,失敗の責任を他に押しつけた。
③多数派の力によつて,失敗を犯しても,自らの責任を免責している。
④政治的に有力な集団と結びつき,その利益を擁護した。
これは今,既に我々の目の前で起きつつある。
参考文献;
服部茂幸『アベノミクスの終焉』(岩波新書)
今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm
この記事へのコメント
通りがけ
新宿御苑を閉鎖したのはイスラエルモサドです。デング熱ウイルス媒介蚊をばら撒くだけの能力がありその蚊を東京でばら撒く機会を人知れず手にすることができる治外法権を持つもの、つまり犯行の動機と機会を両方兼ね備えるものが真犯人ですから、簡単にわかりますね。
このことからイスラエルモサドが新宿御苑を閉鎖した本当の狙いがわかります。先にイスラエル手羽先鬼畜総務省選管NHK共犯の不正選挙で当選した舛添創価(=イスラエルユダ金)偽都知事がロシアを訪れて盛んに追従外交しており、これは訪日予定を明言したプーチン露大統領を東京へおびき寄せるためです。プーチン氏はエデンの園の蛇「契約の悪魔」ユダヤフリーメーソンイスラエル悪魔王国が何が何でも地上から抹殺してしまいたい現在地球最強のエクソシスト悪魔祓い師です。ウクライナで飛行機を撃墜したが暗殺に失敗した。そうしたらウクライナでイスラエルが策謀した内戦がプーチンに停止させられました。もういま暗殺しなければイスラエル本国がいつ国連でBRICS諸国連合によって永久敵国指定されるかわからない。しかしプーチン氏が露国内に居る限り手も足も出せない。今度の訪日こそ千載一遇の暗殺チャンスであり、これに失敗すればプーチンの圧倒的実力からしてイスラエルに明日という日は二度と永久に訪れないだろうから、こんどこそ失敗は許されないのです。だからユダ金の馬鹿の一つ覚え核兵器をデング熱騒ぎで閉鎖した新宿御苑に穴を掘って仕込んでおいて、プーチンが来日して東京都内で新宿御苑周辺で公務を果たしているまさにそのときに核爆発を起こし日本国首都東京もろともプーチンをこの世から葬り去ってしまおうという計画です。
つまり戦争犯罪偏執狂ユダヤフリーメーソン「契約の悪魔」王国イスラエル国の手羽先白痴鬼畜安倍似非日本政府が鬼畜NHK電通を使って煽り立てる不自然極まりないこのデング熱騒ぎもサノフィワクチン詐欺騒ぎも、なにからなにまですべて悪魔王イスラエルモサドの「最強悪魔祓い師プーチン大統領暗殺計画」の一環なのです。
まあイスラエルが本当の黒幕であることがばれずに済んだら、プーチンの東京への誘い込みと暗殺に失敗しても新宿御苑に仕込んだ核兵器は秘密のまま隠しておいて、東京を滅亡させる別のショックドクトリンの機会が訪れるまで温存しておけますね。