野暮天


粋ではないので,僕は

野暮

を矜持としている。いきがるやつよりよほどいい。

剛毅朴訥仁に近し

である。野暮は,語源的にいくつか説がある。

「野夫」の転。藪者の略。世情に通じない者を言う。

「谷保天神」の略。付会のようだ。

雅楽の笙の17の管のうち「也亡」の二管は吹いても音が出ない。その「也亡」が語源。融通のきかない人間を指す。

やぼてんを「野暮天」とするのは,当て字。

きわめて野暮なこと,

つまり,野暮のきわめつき。天は,

高いところ

を指し,脳天,天井と使うのと同じ。

野暮の類語というと,

無粋
とか
無骨(武骨)
とか
朴訥
とか
愚直
とか

になるのか。では,

朴念仁

はどうか。語源は,

朴(かざらぬ)+念(こころ)+仁(人)

で,かざらぬ,無口で無愛想。人情に通じない人

となる。

へそ曲がり
とか
唐変木
とか
頓痴気
とか
ぼんくら
とか
木偶

とかと重なるのか,というと,微妙に違う気がする。

あるいは,

野卑
野蛮
粗野



愚鈍
間抜け
鈍感

とも違う。どうも

朴念仁

と言ったとき,相手への悪意がない気がする。あえていうと,

可愛げ

というか,

稚気

がありはしないか。少なくとも,多少の好意は感じられる。いい歳をして,可愛げがあると(言われると)いうのは,いかがかと思うが,しかし,

愛嬌

と言い換えると,人としての,ぬくもりのようなものがある気がする。

野暮天

にもそんな口吻がある気がする。憎まれ口に近い。

野暮だな

という口ぶりには,悪意はないが,ちょっと呆れるにほひがある。

いかがであろうか。




今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm

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