2014年10月25日
性根
性根が腐っている
とか,
性根が曲がっている,
という言い方をする。
性根とは何か。
語源的には,
しょう(本性)+ね(根)
人間の根源的な性質
を言うらしい。
で,性根の意味には,
①その人の根本の心構え。心の持ち方。根性。
②確かな心。正気。
③物事のかなめとなるところ。本質。
④情人。また,情事。
とあるが,どうやら,①の使われ方が,多いようだ。では,「性」という字は,というと,
「しょう」
とも
「せい」
とも
「さが」
とも
訓むが,
「性」は,
うまれつきもっている心の働きの特徴
さが,ひととなり,ひとやモノに備わる性質,傾向,たち
性別
外形のもとになる,中にひそむもの
の意で,
生
は,芽が地上に生え出る様であり,性は,うまれつきの澄みきった心のこと,
と言う。
「性」で意味が通じるのに,
性根
だの
根性
だの
本性
だの
性骨
だの
土性骨
だのという,根や本や骨をつけるのは,強調するためなのだろうか。では,
根
は,というと,語源は,
本源,元
の意味。植物の根,基底に広がるものということで,大和島根,富士の高根等々で言う,ネであり,あの人は,ネはいい人,というネであるらしい。
漢字の
根
は,木+艮(コン,木のモトの意)で,本と同じ,と言う。
艮
は,眼(目の玉の入る穴)の原字で,
一定のところにとまってとれない,
という意で,根は,
止まって抜けない木のネ
という意味と言う。つまりは,動かない,という含意がある。
その意味で,根性が,
①その人の本来的に持っている性質。しょうね。また,あるものに特有の性質。
②物事をあくまでやりとおす,たくましい精神。気力。
心根が,
心の奥底。本当の心。真情。本性。
というのもよくわかる。因みに,性骨は,
技芸などにおける個性的なうまさ,うまれつき会得している器用さ
である。
しかし,つくづく疑問に思うのは,こういう性質やら心根が,
カタチあるもの
実体
のように言われていることだ。結局,その人の人生は,シーケンシャルで,決して可逆的ではない。その軌跡を,印象としてとどめているから,相手のことをそう思い込むのだし,自分についても,強い印象的なことが図になって,他の面を地として沈めているだけだ。
もとより,自分というものも,自分のタチも,自分のショウネも,形はない。どこかに,そういうコアのようなものがあるのではない。
印象の蓄積に過ぎない。
しかしいったん与えたイメージを覆すことは容易ではない。
参考文献;
藤堂明保他編『漢字源』(学習研究社)
今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm
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