2014年11月20日

出会い


先日,夜の予定までの余った時間を持て余していたが,先だってのトークライブで,アート・プロデューサーの竹山貴さんが,推奨されていたのを思い出して,ブリヂストン美術館のウィレム・デ・クーニング展,

http://www.bridgestone-museum.gr.jp/exhibitions/

に回り道して,観てきた。

正直言って,絵画には,ほとんど知識がなく,特に,デ・クーニングの名前すら知らなかった位だから,大したことは言えないが,一見した印象は,

暴力

というか

荒々しさ

というか

淫らさ

である。うまく言えないが,それは,デ・クーニング自身の中にある,女性像なのか,自分の女性への愛憎の葛藤なのかはわからないが,「女性」性の猛々しさを表しているように見えた。

その色遣いにしろ,激しい筆遣いにしろ,女性というものに対する,愛憎相半ばしつつ,しかし,強く執着する心を感じた。僕には,ちょっと異和感があって,心がついていけないところがあった。こちらが,その猛々しさについていくだけの気力がないせいかも知れない。

http://www.cinra.net/uploads/img/news/2014/20140929-willemdekooning2_v.jpg

あるいは,激しい恋情というよりは,欲情と言った方がいいのかもしれない。その華やかな色どりからするとあけすけの感じである。ひょっとすると,憎しみよりも愛着の方が強いのだろうか。

でも,そこに,寂しさがなくもない。むしろ鮮やかな色遣いにもかかわらず,寂しさというより,哀しみのようなものがなくもない。それは,描き手のそれなのか,女性のそれを表しているなのかはわからない。

しかし,それは,そう見る僕自身の愛憎を投影しているだけのことかもしれない。こちらは,老いているので,そんな激しい感情表現は,ついぞできなくなっている。激情の奔出には,体力がいる。若さがいる。

ひとつだけ,制作のプロセスを分解したようで,面白いと思った作品がある。

『マリリン・モンローの習作』

というタイトルの,上半身,腹部,下半身を,別の紙に描いたものを,つなぎ合わせているのである。三つの視角からの絵を,一枚にしようと試みた,のかもしれないが,ここにモチーフの一端が出ていて,立ち止まった。

ところで,日本語では,

絵(繪)
あるいは

あるいは
絵画

という。「繪」の,「會」は,

「△印(あわせる)+曾(=増,ふやす)」

で,寄せあわせること,

という意味になる。糸を加えた「繪」は,

色糸を合わせて刺繍の模様をつくること,転じて彩色を施した絵のこと

という。「画」(畫)は,前にも触れたことがあるが,

「聿(ふでを手に持つさま)+田の周りを線で区切って囲んださま」

で,ある面積を区切って筆で区切って区画を記すこと

である。

なぜこんなことを改めて確認したかというと,英語で絵画は,

Painting

であることに改めて気づいたのだ。Paintingは,辞書的な意味だけで言うが,

(絵の具で)絵をかくこと; 画法.
(1 枚の)絵,油絵,水彩画.
ペンキ塗装.
彩色.
(陶磁器の)絵付け.

となり,その言葉自体は,塗装も,絵付けも,絵画も,落書きも区別はなく,

色を塗る

ということで,Paintなのだということをつくづく思い知らされた。デ・クーニングの絵に,その塗りたくる筆遣いの,手の,腕の,あるいは,全身の激しさを感じたのだ。

ところで,その展覧会の流れで,別室の収蔵品を観ていくうちに,

堂本尚郎の『作品』

http://www.bridgestone-museum.gr.jp/collection/artist45/

ザオ・ウーキー
http://www.bridgestone-museum.gr.jp/collection/artist47/

白髪一雄『白い扇』『昏杜』『観音普陀落浄土』

の作品に惹かれた。とくに,ザオ・ウーキーは,展示されていた六作品すべてが僕には素晴らしく,その静かな崩壊,というか崩壊の刹那を捉えたというような静寂に,「エントロピー」とつぶやいていた。これを観るためだけに,また行きたいと思ったほどだ。

ふと,ずいぶん昔,牛に引かれて訪れた直島の,李禹煥美術館でみた,リ・ウーハン作品を前にした時の,感嘆を思い出していた。いいものに出会えた。

参考文献;
藤堂明保他編『漢字源』(学習研究社)





今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm

posted by Toshi at 05:46| Comment(0) | 美術館 | 更新情報をチェックする
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