2014年11月25日

見つける


このところ,たまたま,時間調整に,美術館に立ちよる機会があった。せんだっては,出光美術館に,

http://www.idemitsu.co.jp/museum/honkan/exhibition/present/index.html

伺った。まったく柄にもなく,乾山,仁清という,『お宝鑑定』という番組で,小耳にはさんだ程度で,何もわかりはしないが,ぐるりと一周し,結局,

いずれも,野々村仁清の,

白釉耳付水指

の二点が,目に留まった。一点は,

http://www.idemitsu.co.jp/museum/honkan/exhibition/present/highlight.html

もう一つは,写真がないが,もう少し濃い目の,うっすらと紅や青が滲んでいたと思う。いずれも,その淡い色合いに惹かれた。薄青や薄紅がほんのりと,グラデーションになって滲み出てくるのが,どこか控え目で心惹かれた。

素人ゆえに,白磁と白釉の区別がつかないが,

白磁は,白素地に無色の釉薬をかけた磁器,白釉は,白い釉薬であるが,中国陶磁では白の化粧土の上に透明釉をかけたものを白釉とよび,白磁と区別している,

という。しかし素人にはよくわからない。少なくとも,沈んだ,穏やかな表情に,仄かに滲んでくる,はにかみのような朱や雲に透ける蒼穹の色合いが,心を落ち着かせる気がしてならなかった。

案内には,

「色絵が大名家の注文品であったのに対して,白釉や銹絵は京都御所の公家屋敷跡から多く発見され,公家たちの好みを反映している,」

とあるが,「白磁や,無釉の土器のもつ清浄さ,簡素さへの希求」という公家好みを反映しているらしい,という。

僕はそんな上品な好みの持ち主ではないが,このところ,にぎにぎしい絵付けよりは,シンプルで,清潔な図柄を好むようである。

もうひとつ目にとめたのは,同じく仁清の,

色絵熨斗文茶碗

で,熨斗文を,赤,藍,緑でシンプルにちりばめた感じが,いかにもおしゃれであった。

http://blog-imgs-47-origin.fc2.com/a/r/t/artmeg/blog_import_4d05a2b9e336e.jpg

写真だとちょっとぼやけているが,印象では,輪郭がもう少し際立っていた感じがある。今風の洗練されたデザインの印象を受けた。

これは別の話だが,白釉が好きだと感じたのは,先だって,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/409228284.html

で書いた,白髪一雄の『白い扇』に惹かれたのも,ひょっとすると似た好みなのかもしれない。(表面的だが)静かな佇まいに,滲んでくるような,喜びとか,哀しみの淡い色合いが,あるいは,沈んだ静かな怒りを含んで抑えた静まりといった表情が,どうやら好きらしいのだ。

そこで触れた,堂本尚郎の,

http://www.bridgestone-museum.gr.jp/collection/works/68/

やザオ・ウーキーの,

http://www.bridgestone-museum.gr.jp/collection/works/75/

も,僕の中では,同じ一つのラインの中にある気がする。

さて,この後,時間調整した,本来の目的の,

https://www.facebook.com/events/808999055808927/?ref_dashboard_filter=upcoming

に伺わせていただき,31名の作家の方々の作品,

https://www.facebook.com/photo.php?fbid=736480323101926&set=a.488373337912627.1073741840.100002198940716&type=1&theater

大体一人三点くらいの展示だったと思う。15年の仕事の成果が一堂に,手がけた作家の作品として並べられる,というのは,何という誇らしさであろうか,と羨望を隠せなかった。

ところで,そこで僕の目にとまったのは,長濱恭子さんの作品だった。たしか,『潮』と題されたもので,日本画なのだろう,青のグラデーションに,銀箔が,波頭のように貼られている。

なぜか,この絵も,僕にはシンプルに見えた。どうやら,具象よりは,抽象の方が,いまの僕は絵と自分の心との距離を取りやすいらしく,そこに欲しい心境を見つけたがっているらしい。

多分そう穏やかな絵柄ではないはずだが,なんとなく,心のバランスが取れるらしく,三点の中では,#008が一番心地よく,しばし佇んでいた。

それにつられて,会場に置いてあった案内ハガキの個展に,後日脚をのばしてみた。

http://kyokonagahama.jimdo.com/%E5%B1%95%E7%A4%BA%E3%81%AE%E3%81%8A%E7%9F%A5%E3%82%89%E3%81%9B/

前出の三点のシリーズもの(『潮』)の続きが展示されていると同時に,『樹紋』と題されたシリーズもあり,

http://kyokonagahama.jimdo.com/%E4%BD%9C%E5%93%81%E7%B4%B9%E4%BB%8B/

これもなかなか面白かった。地衣を元にしているようだが,現物の地衣は,

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E8%A1%A3%E9%A1%9E#mediaviewer/File:Beech_Lichen.JPEG

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E8%A1%A3%E9%A1%9E#mediaviewer/File:Kajyoutii.jpg

こんな感じで,確かに,天然の織り成す模様で,心惹かれるものがあるのはわかる気がした。これ自体が,創り出されたデザインに見える。記憶に間違いなければ,確か南方熊楠が,この研究に生涯を懸けたはずだ。ちなみに,作家に教えていただいて,ちょっと調べてみると,地衣は,苔ではなく,

地衣類は,菌類(主に子嚢菌類)と藻類(シアノバクテリアあるいは緑藻)からなる共生生物である。地衣類の構造は菌糸からできている,

とある。樹皮に貼りつくように模様をなしているので,言われてみれば,「樹紋」に違いない。このシリーズも惹かれる。ただ,正直言うと,『潮』シリーズは,前述の三点を見つけたときほどの感動がなかったのは,同じシリーズがあれだけ並ぶと,「三点より濃い目にしている」と作家は言われたが,その微細な差異が目に留まらなくなってしまった。素人の哀しさである。むしろ,『樹紋』に心を強く引っ張られた。






今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm

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posted by Toshi at 05:13| Comment(0) | 展覧会 | 更新情報をチェックする
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