2014年11月27日
騙されない
「刑事力」という言葉につられて,「騙されないためのウソや人間心理の見抜き方講座」に伺ってみた。
https://www.facebook.com/events/373134679512203/?ref_dashboard_filter=upcoming
サブタイトルに,「元刑事と微表情の専門家のコラボセミナー」とあり,「微表情」については,何年か前読んだ,ポール・エクマンの『顔は口ほどに嘘をつく』を思い出して,それも気になって,思い切って出かけてみた。
森透匡さんは,警察の元警部。主に知能・経済犯担当の刑事を約20年経験。
刑事課長,県警本部課長補佐,警察庁課長補佐などを歴任。国政選挙などの選挙違反事件,首長が主犯の贈収賄事件,数十億円被害の大型詐欺事件や業務上横領事件など数々の事件捜査で取り調べ・事情聴取を担当し,ウソ(人間心理)を見抜くスキルを体得。
清水建二さんは,学際情報学修士。 日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Cording System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。微表情読解に関する各種資格も保持している。
森さんの主旨は,
無意識の部分に注目すると,人間の本質が見える,
というところにある。コーチングでもカウンセリングでも,どうノンバーバルの部分に着目するかは,散々聞かされてきたことだ。
例のメラビアンの,好意・反感などの態度や感情のコミュニケーションにおいて,他人への影響は,
話の内容などの言語情報が7%,口調や話の早さなどの聴覚情報が38%,見た目などの視覚情報が55%で,
「7-38-55のルール」とも,「言語情報=Verbal」「聴覚情報=Vocal」「視覚情報=Visual」の頭文字を取って「3Vの法則」ともいわれるのとも符合する。もちろん,これは見かけやしゃべり方が左右するという汎用化ではなく,この実験は「好意・反感などの態度や感情のコミュニケーション」において「メッセージの送り手がどちらとも取れるメッセージを送った」場合,「メッセージの受け手が声の調子や身体言語といったものを重視する」という事を言っているに過ぎないのだが,ここに,少なくとも,曖昧な言語表現では見えない心の内が,身振りや口調に現れる,という意味で,相手の心の内をうかがい知る手掛かりがあることは間違いない。
森さんは,その仕草例をいくつか挙げられたが,たとえば,
「口や鼻に手をやる」のは,不快感を感じていたり,自己防衛の心理の現れ。他に頭の後ろに手をやるというのも。
「腕組み」は,自己を保護,守る,巣籠り等々。強気のことを言いつつ自分を守る,というのも。
「足先の方向」。上半身相手に向いているのに,足は,違う方向を向いている等々は,逃げの心理。
等々。これだけで,総てが目抜けるわけではないが,
人間の動作で信用できる順番
というのがあり,
自律神経信号(発汗,顔色の変化)→下肢信号→体幹(姿勢)→見分けられない手振り(微妙な動き)→見分けられる手の動き(意図的仕草)→表情→言葉
となっている。だから,眼が上を見ているのは,考えていることだが,考えなくても応えられるのに手間取り,身振り手振りが消え,姿勢が変わり,口や顔をしきりに触って,汗をかいていたり(自律神経信号)すれば,「噓」ということになる。
見て,訊いて,証拠の提示,
というのが,鉄則らしいが,質問というのも,効き目がある。たとえば,
(相手の)予期せぬときに質問する,
なぜ,なぜ,なぜ,を(一つのことに絞って)深掘りで訊いていく,
というのは,相手に余裕であしらう暇を与えない,ということでは,こちらの「ペース」で,ということになる。相手ペースにはまらないということの裏返しと言っていい。コーチングや日常会話で,同じ土俵に乗る,というが,この場合,相手の土俵ではなく,自分の土俵とペースを崩さない,というのに意味があるらしい。
詐欺師とできる営業マンは紙一重
らしいので,相手のペースに乗らず,斜に構えて,足先を違う方向に向ける,すれ違いを意図することが必要のようだ。
噓は,汗のように滲み出るものかもしれない。
その変化を,事前に,顔の表情の僅かな差異から読み取る,というのが,
「微表情読解」
というものらしい。微表情とは,
抑制された感情が「無意識」の内にフラッシュのように現れれては消える,微妙な顔の動き,
を指し,0.2秒以下で消えるという。その「万国共通の七つの表情」というのが,
幸福
軽蔑
恐怖
嫌悪
怒り
悲しみ
驚き
中立
で,口元の変化や口角の上下,繭の変化,華の周りの皺,下まぶたのこわばり等々,本の一瞬,早ければ,0.05秒以下というもので,実際動画を見つつ,検知テストをしたが,3問くらいしか正解しなかった。これが,トレーニングで60~80%にまでなるという。それでも,10のうち,2~4は外れるということだ。
たとえば,
眼をそらす,
という動作は,NLPでは,眼の動きについてはやったように,何かを考える,記憶をたどることをしている。これが,考えないとできないことに対する反応ならいいか,そうないことについてだとすると,ちょっと疑わしい。
では真偽を質すためには何をするといいか,
逆質問をする(時系列については,あらかじめ準備しているから,すらすらす答えられるが,逆にたどるとすると,時間がかかる,この両者の時間差が大きいかどうか)
視線を逸らさない(視線をそらすと認知能力が上がる,それを使わせない)
そこの見取り図を描かせる,
というのが,刑事の尋問の手法のようだが,御両所が,一致して言っておられたのは,
微表情が読めなければ,身振り仕草が見破りやすい,
ということと,
直感
だという。本能的な,五感的な
違和感,
を大切にする,というか,その感覚を信ずるということだ。人は,視覚や前頭葉だけで判断しているのではなく,そのものの全体的な印象,雰囲気を感じ取っている。
これは,僕は常に思う。現場にある年数いると,仕事の流れの平常感覚というのがある。その感覚に,あれっ,という異和感を感じたとすると,それは信じていい。何か目に見えないが,異変の兆しがあるのを感じたのだ。それが仕事のベテランとしての勘というものである。
あるいは,同じように,部下に何かを指示して,部下の様子にちょっとした異和感を感じたとしたら,部下の反応の中に,不安か理解不足か心配かはわからないが,異和感を感じたのだ。その異和感は信じていい。言葉だけではなく,相手の反応全体の醸し出す雰囲気から何かを感じ取ったのだから。
それにしても,話の意味や事柄に振り回されず,相手の表情や仕草,といったノンバーバルに着目する,まあ,相手自身を見る,というのは,やはり,コーチングカウンセリングでいう「聴く」としての核心に通じるものであるらしい。「聴く」は「利く」にも「効く」にも,「訊く」にも通じる。
今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください