2015年01月16日


躾については,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/406965108.html

で書いたことがある。躾は,犬猫の躾と同じで,立ち居振る舞いの規制であるが,それを社会的に広げれば,礼あるいは礼儀である。お行儀が悪い,といわれれば,それは,ある意味,躾と礼儀作法の両方を含んでいる感じである。

躾は,

礼儀作法を身につけること。
縫い目を正しく整えるために仮に縫い付けること。

行儀は,

立ち居振る舞いの作法のほか,修行・実践に関する規則,という仏教の儀式上の意味もある。

礼儀は,

社会生活の秩序を保つために人が守るべき行動様式,敬意を表す作法。

とある。敢えて言えば,ベン図ふうに図解するなら,躾の円の外側に,行儀の円,その外に,礼儀の円が同心円に重なっているとも見えるが,礼儀を身につけさせることを躾けと言う,という言い方もできる。

仮縫いの躾があるから,まともな縫い付け,つまり社会的なありよう,対人関係のあり方,振る舞いができるようになる,

ということもできる。躾について,

人間または家畜の子供または大人が,人間社会・集団の規範,規律や礼儀作法など慣習に合った立ち振る舞い(規範の内面化)ができるように,訓練すること。概念的には伝統的な子供への誉め方や罰し方も含む。

という説明もある。その意味では,社会的人間としてのありようを整えるという意味がある。他の,群れで暮らす動物にも,その躾はあるようだから。

交通ルールと同じで,社会的に関わる以上,相互に当たり前とする了解事項がある。それを前提にして動いているから,それを外されると,基本的なかかわりがぐちゃぐちゃになる。

躾は,前にも書いたが,

「シ(為・仕)+付けるの連用形」。

で,「仕付く」とは,

馴れている
身についている

という意味で,「仮に糸で縫い押さえておく」という「躾(仕付け)」の意味は,なかなか意味深である。つまり,躾けられただけでは,まだ仮免許なのである。あとは,おのれが日々身につけて,

おのれの立ち居振る舞い

として完成させていく。それが,躾,つまり,

身の美,

礼儀なのではないか。礼の人,孔子(因みに孟子は,義の人らしい)は,

命を知らざれば,以て君子と為すなすことなきなり。礼を知らざれば,以て立つことなきなり。言を知らざれば,以て人を知ることなきなり。

という。人として,「立つことなき」とはなかなか厳しい。これを逆さにすれば,

君子博く文を学びて,これを約するに礼を以てすれば,亦以て畔(そむ)かざるべし。

とも。躾は,「仕付け」に過ぎず,学ばなければ,おのれのものにならない。それは,意味を知る,ということなのではないか。意味とは,目的である。目的とは,志である。

志は気を師(率)いるものなり。気は体を充(統)ぶるものなり。夫れ志至れば,気はこれに次ぐ。故に曰く,其の志を持(守)りて,其の気を暴(害)うこと無れ。…志壱(専)らなれば気を動かし,気壱らなれば則ち志をおごかせばなり。

と,孟子は言う。孔子は,別の言い方をする。

名正しからざれば則ち言順(したが)わず,言順わざれば則ち事成らず,事成らざれば則ち礼楽興らず,礼楽興らざれば則ち刑罰中(あ)たらず,刑罰中らざれば則ち民手足を措く所なし。故に君子これに名づくれば必ず言うべきなり。これを言えば必ず行うべきなり。

名すなわち名目,あるいは名分といってもいい。目的である。個人にとっては,志である。行き当たりばったりの言に信用がないのは,今日の日本を見ればわかる。名目なく,言なく,礼なき国が,立つところがあるはずはない。

礼を為して敬せず,

とは,礼なきに等しい。いやいや,人ではない。

人にして仁ならずんば,礼を如何せん。

である。仁とは,

子曰く,人を愛す。

あるいは,孟子曰く,

惻隠の心

である。

ヒト皆人に忍びざるの心有り。

の心映えである。

惻隠の心無きは,人に非ざるなり。辞譲の心無きは,人に非ざるなり。是非の心無きは,人に非ざるなり。惻隠の心は仁の端(はじめ)なり。羞恥の心は,義の端なり。辞譲の心は,礼の端なり。是非の心は,智の端なり。

惻隠の情なき人は,人ではない。人でない為政者は,為政者の資格がない。それは,そもそも躾られていない人である。仕付けられていない人にかぎって,多く,他人には多くを求める。

匹夫も志を奪うべからざるなり,

等々は,仕付けられていない人の耳に届くことはない。ならば,

その身正しければ,令せずして行われ,その身正しからざれば,令すと雖も従わず

である。

参考文献;
小林勝人訳注『孟子』(岩波文庫)
貝塚茂樹訳注『論語』(中公文庫)






今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm

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posted by Toshi at 05:20| Comment(0) | | 更新情報をチェックする
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