2015年03月06日

お蔭様


お蔭様については,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/388163470.html

で書いたことがあるが,ここでは,「お陰様」という言葉そのもののニュアンスが気になる。意味は,感謝だが,

感謝については,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/414403975.html

で,「ありがとう」については,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/388163565.html

で触れた。

お蔭(陰)様は,辞書的には,

(多く「おかげさまで」の形で)他人から受けた助力や親切に対して感謝の意をこめていう語。
上記をさらに敬っていう語。「すべて神様のお蔭と感謝する」 

ということで,日本語の語感では,

よいことがあったとき,そういう結果をもたらしたものに感謝の気持ちを述べる言葉,

となる。「様」を取った,お蔭(陰)は,しかし,微妙に違う。

神仏からのお助け,加護,人から受けた恩恵,力添え
(善悪にかかわらず)ある人や物事がもたらす結果,影響,

となり,そのときに手を貸してもらった助力や加護への,

恩や恩義,

そのものを指している。語源的には,「お蔭」は,

「御+かげ(陰,蔭)」

で,他人から受ける恵み,擁護のことをいう。本来は,神さまの加護である。ある意味,

恩や支援をメタファーでオブラートに包む,

特有の言い方になる。でも,

お蔭様で,

とは言うが,神さま以外に,

ご加護をもちまして,
とか,
ご恩をもちまして,

と言う(ことは少ないが,言うとする)と,少し重すぎるし,直截すぎる。

ご厚情をもちまして,
とか
ご厚恩によりまして,

という言い方と比べると,「蔭」のイメージが大きい。庇護,加護のイメージを与える。が,

お蔭様で,

と言うのと,

ありがとう,

と言うのとも(最近ありがとうございますの意味が軽くなっているとは言え),少し違う気がする。

ありがとう,は,

有り難い,

から来ている。有り勝ち,ではなく,めったにない,ありそうもない,からこそ,ありがたい。しかし,

お蔭様

と言うとき,その助力,庇護,加護,が影(あるいは「庇護」の庇)のように,助けてくれたというニュアンスがあると同時に,しかし,「恩」の中身は,ぼかしている。その意味では,「ありがとう」よりは,相手の力を借りた,と言う言外のニュアンスが強い。

だからと言って,本当に助力した人に対する言い方としては,曖昧で,こちらのプライドを残した言い方になる。そのニュアンスが気になる。

類語としては,

恩や恩義

を意識しているのだが,

お力添えいただきありがとうございました,

という具体的な言い方には,遥かに及ばない,こちら側の曖昧化している言い回しが,本当に力をその人から借りたのだとしたら,透けて見えるに違いない。

お蔭参りという言い方が,お蔭のもつ意味を端的に示している。お蔭参りは,「御蔭をもちまして」と,伊勢神宮へ参詣することだが,多く江戸時代,それは身分社会の軛を脱する口実に使われたようだ。それについては,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/388163467.html

で触れた。ま,お蔭様,と言うのは,その程度の,曖昧で,儀礼的な挨拶のニュアンスがある,ということなのかもしれない。






今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm
posted by Toshi at 05:25| Comment(0) | 挨拶 | 更新情報をチェックする
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