2015年04月01日

ABE IS SLEEPING


シンガポールのリー・クアンユー氏の葬儀に出席した日本国の首相が,インドのモディ首相の横で居眠りする姿が報道され,世界へ駆け巡った。いい笑いものである。

真偽は知らない。知らないが,

ABE IS SLEEPING

と報ぜられるだけの振る舞いがあった。それを後から言い訳するのは,

瓜田に履を納れず,
李下に冠を正さず,

に尽きる。

それにしても,そもそも,何をしに行ったのか。一国の元首相の葬儀に,何の緊張感もなく,花見気分で出かけたのだろうか。

そもそもどれほど,リー・クアンユーという人が,わかっていたのか。そして,自らの思想信条(があるとしてだが)といかほど離れた思想信条の持ち主であるかを,いやもっとはっきり言って,昨今の日本政府の言動,「八紘一宇」「侵略戦争の定義はない」「集団的自衛権」等々を,どういう目で見ていた人物であるかを,どれだけ意識していたのだろうか。

『リー・クアンユー回顧録』には,

「日本人は我々に対しても征服者として君臨し、英国よりも残忍で常軌を逸し、悪意に満ちていることを示した。日本の占領の三年半、私は日本兵が人々を苦しめたり殴ったりするたびに、シンガポールが英国の保護下にあればよかったと思ったものである。
同じアジア人として我々は日本人に幻滅した。日本人は、日本人より文明が低く民族的に劣ると見なしているアジア人と一緒に思われることを嫌っていたのである。日本人は天照大神の子孫で、選ばれた民族であり遅れた中国人やインド人、マレー人と自分は違うと考えていたのである。」

という記述がある,という。これが「八紘一宇」の実態である。

シンガポールでは,五万人の華人が日本に殺された。その詳細は,

http://on.fb.me/1xNQJPL

に詳しいが,それによると,当時の,河村警備司令官声明には,こうある,という。

「昭南港ノ華僑ハ、今ニ至ル迄重慶政権ノ宣伝ニ誤ラレ、英国ト協力シ重慶政権ニ対シ政治経済上ノ援助ヲ続ケ来レリ。即チ或ハ義勇軍ヲ編成シテ英軍ニ参加シ……此等反逆ノ華僑ヲ掃蕩シ治安ヲ確立シ、以テ民衆ノ安泰ヲ図ルハ、現下最モ喫緊ノコトナリ……」(昭南日報2月22日付・昭南警備司令官声明)

華人掃討の目的は,重慶政権への援助を阻止することであり,当然ながら,シンガポール解放などではない。長期化・泥沼化している中国戦線を何とかするために,シンガポール占領を機に「援蒋禁絶」「抗戦力の減殺」の方針によって,計画的に行った占領政策であった。ジョホール・バル―シンガポール陥落後には,マレーシアでも華人の大虐殺が行われた。

そのときの被害者を祀る意味で,

日本占領時期死難人民記念碑(英語: The Memorial to the Civilian Victims of the Japanese Occupation, the Civilian War Memorial, 中国語: 日本占领时期死难人民纪念碑, マレー語: Tugu Peringatan Bagi Mangsa Awam Pemerintahan Jepun)

が,シンガポールの戦争記念公園にある(このことすら認識していなかったのかもしれない)。市民戦死者記念碑、血債の塔などとも呼ばれる。そこには,4本の塔が立っている。それぞれ中国人,マレー人,インド人,ユーラシア人(欧亜混血者)の意味がある。

日本国の首相は,どの程度の認識で,この葬儀に出席したのだろうか。ひょっとすると,日本の集団主義と勤労倫理を学べという,

ルックイースト政策(Look East)

という,マレーシアのマハティールと勘違いしている,ということはないだろうか(まさか,と思うが)。しかし,間違いなく,

『リー・クアンユー回顧録』

すら読んでいないのだろう。読んでいたら,ホイホイ出かけるとは思えない。

リー・クアンユーは,日本軍の行動について,

「植民地解放のための戦争」

などと評価する立場とは真逆の評価だし,シンガポールの歴史教科書は日本軍の戦いに対し否定的な立場で書かれている,という。

一体,何をしに行ったのだろう。その振る舞いで,すべてを,語っている。

シンガポール(マレー半島全体)で,日本が何をしたかなど,ほとんど一顧だにせず,

という緊張感のない姿勢の中に,全世界に向かって,おのれの本音を,残酷なまでにさらけだしてしまった。しかし,これは,ひとりアベシンゾー氏の恥にはとどまらない。こういう人物を首相として選び出すべく,過半数の多数を自民党に入れ,国会の牛耳を握らしめるに至った,日本国民全体の,

無恥

無知

をさらしたのだと言っていい。

リー・クアンユーは,上述の本で,

「日本は経済大国として先進国首脳会議の正式メンバーとなり、世界の主要国として果たすべき役割を模索し続けてきた。とりわけ深刻なのは指導者たちの過去の戦争に対する残虐行為に対する姿勢だった。西ドイツの政治指導者は明確に戦争犯罪を認めて謝罪し、犠牲者に賠償を支払い、若い世代に戦争犯罪の歴史を教えて再発を防ぐ努力を行ったが、日本の指導者はどうだろう?多くはいまだ曖昧な態度で言を左右にしている。天皇への配慮に加えて、国民を困惑させたくない気持ちや先祖を侮辱したくない思いがあるのだろう。理由のいかんを問わず、歴代の自民党政権は日本の過去と向き合うことはなかった。」

と手厳しい,という。これを承知で出かけたのであれば,真摯な姿勢を貫くほかはない。居眠りなど(はおろか,そう疑われる振る舞い)は,もってのほかである。

ふざけるな,

どころではなく,ひょっとすれば,リー・クアンユーが求めた,

血の負債,

すなわち戦時中の日本軍によるシンガポール人虐殺に対する償いの要求が,シンガポール独立後の66年,円借款と無償供与が半々の五千万ドルの補償金という返答でしかなかった,ということへの大いなる不満として,寝た子を起こさないとも限らない。

しかし,これ以上は,天に唾することになるであろう。

ABE IS SLEEPING

しかも,

日本人も,眠っている。







今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm

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posted by Toshi at 05:20| Comment(0) | カテゴリ無し | 更新情報をチェックする
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