2015年04月23日

伝播


『「東のさん生西の鶴ニ」江戸公演』という2人会に参加させていただいた。

https://www.facebook.com/events/1571595739791551/

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もう10回を迎えるそうである。まだ数回しか参加させていただいていないのに,こう申上げるのは,聊か不遜かもしれませんが,今回が,最も盛り上がった印象を受けた。

演目は,(口火が,入船亭辰のこ)

柳家さん生「粗忽長屋」「お富与三郎」
笑福亭鶴二「猫の災難」「天狗裁き」

でしたが,終始,会場がどよめき,笑いが絶えませんでした。

打ち上げなどの話から想像すると,高座からご覧になると,前の方の席のご婦人が,笑いの,

先駆け,

を果たされたようです。でも,僕の隣の知人も,その他,会場中で,

反応のよい方々,

がちらほらと散在することで,笑いの伝播が起こりやすかったのかもしれない。

もらい泣き,

と同じように,あるいは,

あくびの伝染,

というのと似た感じだろうか。あくびについては,こんな記事があった。

「チンパンジーも、人間のようにあくびが“伝染”することが、京都大学霊長類研究所(愛知県犬山市)の松沢哲郎教授らの実験で確認された。人間以外の動物であくびの伝染が認められたのは初めて。『他者に共感する能力』の高さを裏付けているという。英国王立協会報の最新号で発表した。
松沢教授らは、同研究所のチンパンジーの雌6頭に、他のチンパンジーがあくびをしているビデオ映像を、6―10秒間の休みを入れながら繰り返し3分間続けて見せ、その後、あくびの回数を観察した。
その結果、あくびの回数は、口を開けただけのあくびではない映像を見せた場合の約2倍に達した。特に2頭では、『口開け映像』の2―9回に対し『あくび映像』では24―25回と差が著しく、あくびの伝染が確認された。
人間の場合は42―55%の人であくびの伝染がみられ、5歳以下の子どもには伝染しないという研究例がある。実験中にあくび画像を見ていた3歳の子どもチンパンジーには、人間と同様、伝染しなかった。
松沢教授は『人間にも、あくびがうつりやすい人とそうでない人がいるように、チンパンジーにも個体差がある。あくびの伝染は、他者に共感する能力と関連があるのではないか』」(読売新聞)

これだけだとなぜそうなるかが分かりにくいが,

あくびを生理学的でひもといていくと、別の説明が成り立つという。

「あくびがうつる状況というのは、複数の人々で同じ環境を共有しているケースが多いと思います。あくびは睡眠不足、疲労、満腹の際に、脳の奥にある視床下部という部位からの指令で起こるもの。たとえば職場の同僚であれば、だいたい似たような時間帯にランチを済ませ、満腹感を覚えるタイミングも近くなりますよね? つまり、同条件を共有しているから、同じタイミングであくびが出やすいのだと考えられます」
http://r25.yahoo.co.jp/fushigi/report/?id=20110411-00005899-r25&page=2

考えてみれば,会議であくびが伝染するように,落語会では,笑いたい,というか,笑おう笑おうと,心の準備ができているどころか,

気持ちは前のめり,

で,ほぼ臨界点にある。誰かが,ちょっときっかけを作ってくれれば,笑いが噴き出るに違いないのだ。

これは,一種の雰囲気のもつ同調圧力(?)だろうか。似たことは,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/413747300.html

でも書いた,今年の,上野鈴本の正月二之席,夜の部でも味わった。確かに,そのときも,コンマ何秒か,廻りより反応早く笑い立てる声があった。

釣られて笑うのは,もらい泣きと同様に,ミラーニューロンのせいだ,という説がある。

「ミラーニューロン(Mirror neuron)は,他の個体の行動を見て,まるで自身が同じ行動をとっているかのように"鏡"のような反応をすることから名付けられた。他人がしていることを見て,我がことのように感じる共感(エンパシー)能力を司っていると考えられている。ヒトにおいては、前運動野と下頭頂葉においてミラーニューロンと一致した脳の活動が観測されている。」

と言われ,「特定の脳領域 (特に島皮質前部と下前頭皮質) は自身の情動(快、不快、痛みなど)に反応し,かつ他者の情動を観察する際にも活動する」ので,共感とも関連づけられている。しかし,確かに,

「ニューロンは、他人の行動を理解したり、模倣によって新たな技能を修得する際に重要であるといえるかもしれない。この鏡のようなシステムによって観察した行動をシミュレートすることが、私たちの持つ心の理論の能力に寄与している」

かも知れないが,落語会の場で,人の素振りや振る舞いではなく,ただ笑い声に反応しているのである。ミラーニューロンということも無縁ではないと思うが,

同じ場にいる,
同じ心理状態にある,
同じ予感がある,

という,あくびの伝染と似た状態なのではあるまいか。さらに,落語会で泣きに来る人はほとんどいないので,何らかの,笑い神経,というか,笑い栓を緩めた状態に,その場にいる人が,共通してある,ということが大きいのではあるまいか。

皆が笑っていると,何だかわからないが,つい笑う,

という,つられ笑い,

https://www.youtube.com/watch?v=8ZmUZbwmxhw

というのは,共感もあるかもしれないが,何を笑っているのかもわからないのに,笑いが伝播していく,ということには,新生児微笑を例にすると分かりやすい。

「微笑は新生児においても観察され、覚醒時のみならず、睡眠中にも規則的な周期を伴って生起する。」

というが,赤ん坊が微笑んでいるのを見ると,ついこちらの顔もほころぶ。これは,共感ではない。笑いには,笑いに反応するらしいのである。

笑っているとき,生理的には,

「笑いによって交感神経と副交感神経のバランスの状態が代り、副交感神経が優位の状態になる。」

という。副交感神経は,安らぎ・安心を感じた状態のときに優位とされる。言ってみると,緊張させる,制約というか,制動が,一旦解除された状態と言っていい。笑いのブレーキが外されれば,

箸が転んでもおかしい,

状態に成るに違いない。

そういう思春期の状態に,心は先祖がえりしている状態だろうか。

ともかく,笑いの渦の中で一緒に笑うと,噺家もまた,笑いの渦に乗せられて,気分が乗っていく,それが科以上にこう反応を呼ぶ,終始,そんな好循環の会場であった。





今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm
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posted by Toshi at 04:19| Comment(0) | 落語会 | 更新情報をチェックする
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