風神雷神
田部光子展「風神雷神様のレイゲンアラタカ,アブストラクト」
http://www.mizoe-gallery.com/user_data/event.php
に伺ってきた。案内ハガキをいただいた人に引かれての,何たらである。
案内はがきにあった,風神雷神図(The Thunder God)に引かれた。
風神雷神図は,風神と雷神を描いた,俵屋宗達筆の屏風画が有名。まあ,それをまねて,描くとは,大胆不敵,という感じで,いささか興味本位で,伺った。光琳の模写も有名で,琳派の絵師をはじめとして、多くの画家によって作られた模作や模写が多数ある。
会場は,なかなかいい。こんな展覧会場はない。
閑静な住宅街に立つ和風家屋,
といううたい文句だが,田園調布の高級住宅街の一角に,個人の邸宅とおぼしいものをそのまま使っている,という感じの会場である。
風塵雷神図といえば,
「宗達の名を知らずとも風神・雷神と言えばまずこの絵がイメージされる事も多い。」
とされる絵である。その向こうを張ったのである。
宗達の「風塵雷神図」は,
「画面の両端ぎりぎりに配された風神・雷神が特徴であり、これが画面全体の緊張感をもたらしているが、その扇形の構図は扇絵を元にしていると言われる。」
というその構図に特徴がある。田部さんの絵も,
https://pbs.twimg.com/media/CCSKz7zUEAI5KL9.jpg:large
同じ構図をなぞっている。
難しいことはわからないが,同じ構図をなぞらなくてはならないほど,宗達の絵が,空白をうまく使った,ぎりぎりの対比を,構図化していて,それを崩すのは,難しかった,ということなのか,やはり,どう思案しても,その構図以外,両神を,対峙させる位置取りは,難しかったのか,いずれにしても,宗達の描いた世界,というか,
切り開いた世界,
を出ることはできなかった,という気がする。しかし,構図は同じでも,別の世界にはなっている。後は,好みの問題だろう。
田部光子さんのことは,詳しくは知らないが,
http://www.gallery-58.com/08tabe.html
によると,キャリアは長い。だからこそ,チャレンジ出来た,というか,チャレンジしても,位負けしない,ということなのか,風塵雷神図にチャレンジするには勇気がいる。田部さんについては,
「田部は1990年代から安土桃山をテーマに制作し、アメリカ、フランスで個展を2005年まで続けた。田部のテーマは、日本の中世美術と現代美術との調和である。今回の二曲一双屏風仕立てはその集大成と言えるだろう。」
との評があった。しかし,今回は,甚だ僭越ながら,調和,というよりは,やはり,
宗達の手のひら,
からは出られないなあ,という印象がした(ごめんなさい)。
今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm
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