目利き
目利きとは,スキルの
メタ・ポジション
なのだと思う。
スキルについては
http://ppnetwork.seesaa.net/article/408346660.html
で触れた。カッツの管理技能の三つの基本的技能に,
テクニカル・スキル(techical Skill),
ヒューマン・スキル(human Skill),
コンセプチュアル・スキル(Concrptual Skill)
がある(前に書いたことと重なる)が,カッツは,
テクニカル・スキルはとは各職能分野における仕事の方法,手続等に関する知識・技能である。
ヒューマン・スキルとは,集団メンバーと上手に相互作用し,チーム・ワークを盛り立てていく技能である。上役,同僚とうまく接し,部下を上手に使い,組織の能率をたかめる,いわゆるヒューマン・リレーションの技能のようなものである。
コンセプチュアル・スキルとは,ものごとの全体的な関係を洞察し,論理的な思考を働かせ,創造性を発揮していく。
とそれぞれを説明するが,
https://img.jinjibu.jp/updir/kiji/YWK12-1023-management_skill0101.gif
と図示されるように,上位に行けばいくほど,テクニカル・スキルは,ウエイトが小さくなる。自分で操作したり,実施するというよりは,管理に回るからだ。その場合,とりわけ必要なのは,
目利き,
ではなかろうか。丸投げや放任でない限り,本当にできているかどうかを,見抜けなくてはならない。だから,
コンセプチュアル・スキル
のウエイトが高まる。佐野勝男氏等の定義では,コンセプチュアル・スキルは,
「ものごとの全体的な関係を洞察し,論理的な思考を働かせ,創造性を発揮」
なのであって,これも前に書いたが,
「ものごとの全体的な関係を洞察」
が鍵になる,と思う。これを,
目利き力
とか
俯瞰力
と呼ぶべきものだ。その視野によって,そのことの,その出来事の,そのものの,
意味づけができる,
ことでなくてはならない。これこそが,と上位者に求められる。
目利きとは,
目+きき(試して調べる,意のキクの連用形)
で,良否を見分けることを言う。キクは,
「耳にもっとも強く響く音(キン・キ)+く」の耳に強く作用する意,
と,
「キ(生きる力)+ク」で,キを活用して現象を強く認識する意,
の二説がある。本来は,
刀剣,書画,器物などの真偽,好悪を見分けること,またはその人,
という意味になる(『大言海』)。
「聞き」は,
感覚で音弥声を感じ取る,
が元の意味で,
味を試す,
の聞き酒の聞くや,
効果がある,
の利くは,後の転用。要は,
鑑識眼
審美眼
具眼の士
見巧者
ということになる。ここからは,まったくの想像だが,対象をきちんと聞き分けるとき,
見立て
や
準える,
のと似た思考方法を取っているのではないか。何かになぞらえるとき,全体の類似性もあるが,AとBを比較し,それぞれの下にツリー状にぶら下がる下位概念,まあ特徴を対比している。真贋でも真偽でも,対比する時,AとB,それぞれの下にツリー状にぶら下がる特徴というか,あるべき印というか,具わるべき要因,を比較しているはずである。その意味では,自分の中にある,
対比するものの引き出し
と同時に,
つりーの下にぶら下がる特徴(要因)の,更に下(の下の下の…)にぶら下げられる微細に渡る特徴,
が多いほど,比較対象の細部を見ていくことになる。その意味では,ものを見るポジションが,
大まかな全体像から,
微細な細部にわたるまで,
遠近自在にできることが,
メタ・ポジション
と一言で言いながら,目利きの力の奥行なのだろう。それは,知識ではなく,
Knowing how
の
Knowing that
を幅広く,奥行深く持っていなくてはならない。そういう目利きは,市井に密かにいる。
今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm
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