2015年05月15日

朝はどこから


どういうわけか,ある朝,朝日を眺めていたら,

朝はどこから来るかしら,

というフレーズが頭をよぎり,で,はっきりと,

朝はどこから来るかしら
あの空越えて雲越えて
光の国から来るかしら
いえいえそうではありませぬ

までは,なぜだかきちんと,歌いだせたのである。その後は,

それは希望の家庭から
朝が来る来る朝が来る
「おはよう」「おはよう」

と一番は続く。まあ,この歌が歌えるのは,あるいは記憶に残っているのは,ある年代以上だと思うが,なぜこの歌を覚えたのかは,まったく記憶にない。調べると,

「朝はどこから」

というタイトルで,昭和21年に作られたものらしい(森まさる作詞・橋本国彦作曲)。

「朝日新聞社主催のホームソング懸賞公募の当選作品で、昭和21年(1946)5月にNHKラジオ歌謡として放送され、すぐにレコード化されました。」

とあるが,これだとその意図がいまいち分かりにくい,別に,

「朝日新聞社が行なった『世を明るくする歌』懸賞募集の1等となった歌です。安西愛子、岡本淳郎が歌っていました。」

とある。どうやら,四六時中ラジオから流れていたのだろう。どうやら,敗戦後まもなくから,こういうふうにして,頭に刷り込まれたのだろうと思う。続く歌詞の二番,三番が,

昼はどこから 来るかしら
あの山越えて 野を越えて
ねんねの里から 来るかしら
いえいえ そうではありませぬ
それは 働く家庭から
昼が来る来る 昼が来る
「今日は」「今日は」

夜はどこから 来るかしら
あの星越えて 月越えて
お伽(とぎ)の国から 来るかしら
いえいえ そうではありませぬ
それは 楽しい家庭から
夜が来る来る 夜が来る
「今晩は」「今晩は」

実に,啓蒙的というか,全国で健康な食事やら,ラジオ体操やら,一種国民運動のようにして,遂行された一貫なのかも知れない。しかし,マスコミをあげて(といっても新聞社とラジオだけのNHKだが),「世の中を明るくする」ムーブメントを創り出した,ということができる。それを僕が覚えているということは,それを覚える歳頃まで続けられ,記憶に刷り込むという効果を,見事に発揮したというわけだ。まあしかし,昨今の,国を挙げて(マスコミを引きずり込んで)の,一定方向への方向づけよりは,はるかに健康的に見える。しかし,根は,結局ちっとも変っていなくて,右向け右と言われれば,マスコミ,ジャーナリズムまでが,一斉に雪崩をうつ,という風潮は,ある意味気色悪い。その集団圧力は,日々強まっているように思えてならない。

それは,戦中の,

欲しがりません勝つまでは,
贅沢は敵だ!
日本人なら贅沢は出来ないはずだ!
足らぬ足らぬは工夫が足らぬ,
遂げよ聖戦 興せよ東亜,
石油の一滴、血の一滴,

等々というスローガンのもとに遂行された,

国民精神総動員,

を敗戦直後の時期も,そしていまも,続けている,というのに等しい。「国民精神総動員」とは,

「国家のために自己を犠牲にして尽くす国民の精神(滅私奉公)を推進した運動」

である。そのタイトルだけ変えれば,すんなりと,

世の中を明るくする運動,

と変っても,異和感を覚えず,それに異を唱えるものを,「非国民」と呼ぶか,「反日」「サヨク」と呼ぶかは別にして,集団圧力となって個々人に迫る,という意味では,まったく同じである(現に,オリンピック誘致よりは復興を,といったまっとうな意見にすら,「反日」のラベルを張った)。

「推進機関として、官側に国民精神総動員委員会、民側に国民精神総動員中央連盟が置かれ、官民二本立てで進められた。パンフレットや宣伝映画・ラジオなど、メディアを使った宣伝に努めた」

という構造は,いずれ,スローガンを変えて,この社会に,出現するだろう。もっと,ソフトに,少しだけ,お笑いをまぶして。

麻生太郎氏は,

「ナチス政権下のドイツでは、憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わってナチス憲法に変わっていたんですよ。誰も気づかないで変わった。あの手口、学んだらどうかね」

といった。しっかり学んでいるようである。既に閣議決定の解釈改憲で,憲法はないがしろにされ,戦争立法が控え,ヒトラーユーゲントまがいの,ヘイトスピーチ集団が,各地にある。帰還事業に異を唱えること,反核ということ自体が,すでに,「反日」のラベル対象になっている。現実の被曝被害,内部被曝を口にすること自体が,「風評」のラベルを張り付けられる。台湾の産地明示の要請にすら,異を唱える為政者である。

ああまだしも,

朝はどこから来るかしら,

のムーブメントの方が,はるかにましだ。







今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm
posted by Toshi at 05:01| Comment(0) | | 更新情報をチェックする
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