「ちゃらい」は,
「チャラい」
とも表記する。
俗に,服装が安っぽく派手なさま。ちゃらちゃらしているさま。
また,
軽薄で浮ついて見えるさま。言動が軽薄で浮ついていること,
という意味である。
http://zokugo-dict.com/17ti/charai.htm
によると,
「チャラいとは言動が軽い様を表す俗語『チャラチャラ』を略し、形容詞化する接尾語『い』をつけたもので、言動が軽く浮ついている様や服装が派手で安っぽい様を表す。チャラいは1980年代に使われ始めた言葉で、徐々に使用度が減っていたが、近年、同様の意味で再び若者に使われるようになっている。」
とある。「ちゃらちゃら」というのは,
「小さな薄い金属片などが互いに触れあったり,他の堅い物に当たったりしてたてる音。またそのさまを表す語。」
「よどみなくしゃべるさま,多弁なさま。べらべら。」
「浮ついた態度や軽薄なそぶりで気取るさま。また、服装が安っぽく派手なさま。」
「雪駄の裏の金属を響かせて急ぎ往く足音。」
「女がしなをつくりながら歩くさま。派手で安っぽいさま。落ち着きなく,軽薄なさま。」
といった意味がある。そもそも「ちゃら」というのが,
口からでまかせに,出鱈目をいうこと,また,それを言う人,
偽物,
差し引きゼロにすること,
という意味で,「ちゃらちゃら」自体に,その「ちゃら」を強調する気味がなくもない。そのせいか,
ちゃらかす(出鱈目を言う,冗談を言う)
ちゃらくら(口から出まかせを言う)
ちゃらける(チャラを言う,出鱈目を言う)
ちゃらつかす(出鱈目を言ってごまかす,ちゃらちゃら音を立ててある意思を示す)
ちゃらっぽこ(でたらめ,うそ。またでまかせを言う人)
ちゃらほら(「ほら」は接尾語。口から出まかせを言う)
「ちゃら」に関わる語は,あまりいい意味はない。で,少し語源を調べたが,たとえば,
「ちゃらかす」は,「チャラ(ふざける)+カス(接尾語動詞化)」
とある。「か」は,接尾語で,
カアヲ,カボソシなど,接頭語のカと同根(接頭語「カ」をみると,アキラカ,サヤカ,ニコヤカなど接尾語カと同根,とある),
で,
物の状態・性質を表す擬態語の下につき,それが目に見える状態であることを示す(「のどか」「ゆたか」「なだらか」「あざやか」など。後に母音変化を起こして。「け」となり,「あきらけし」「さやけし」などのケとして用いられ,「さむげ」などのゲに転じる),
とある。「ちゃら」な状態が目に見えるということを示し,動詞化した,ということになる。
因みに,「ちゃらんぽらん」は,
「ちゃらん(鉦の音)+ポラン(鼓や木魚などの音)」
まさにふざけて,いいかげんな出まかせの音,転じて無責任な態度の意。「ちゃらほら」「ちゃらちゃら」も同源としている。だが,上にも書いたが,「ちゃら」の意味に,擬音を当てはめた,という気がしないでもない。
「ちゃら」は,上記の「でまかせ」という意味だが,『古語辞典』には,「ちゃり」として,
ふざける,
という意味が出ていて,その名詞は,
茶利,
と当て,
滑稽な文句または動作,ふざけた言動,おどけ,
(人形浄瑠璃や歌舞伎で)滑稽な段や場面,または滑稽な語り方や演技,
という意味がある。「ちゃり」の動詞化の「ちゃら」という連想も捨てがたい。その連想で,「ちゃめ」というのが浮かぶ。「茶目」と当てるが,
子どもっぽい,滑稽じみたいたずらをすること,またその人,
という意味である。「茶色の目」がいたずらとはつながらないので,「ちゃ(ら)」からきているのではないか,と思いたくなる。。
そういう意味で,「ちゃら」に関わる語を拾うと,
おべんちゃら(口先はかりで実意のない世辞を言うこと,またその言葉,その人)
べんちゃら(口先だけで上手いことを言ってへつらうこと)
へいっちゃら(ものともしないさま,平気)
へっちゃら(ものともしないさま,平気)
と,まあ,口先三寸,でまかせ,無責任,という意味が,一貫している。
どうも,「ちゃら(い)」は,類語で言うと,
うすっぺら,
ぺらぺらな,
浅はかな,
軽い,
安っぽい,
というよりは,
嘘っぽい,
無責任,
というニュアンスが強い気がするのだが。
参考文献;
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
大野晋・佐竹 昭広・ 前田金五郎編『古語辞典 補訂版』(岩波書店)
今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm
【関連する記事】