2015年06月12日

とんちんかん


「とんちんかん」は,自分の代名詞みたいなもので,

頓馬,

ということだと思い込んでいたが,必ずしも,的を射ていない。辞書(『広辞苑』)によると,

鍛冶屋の相鎚は相互に打ち,音が揃わないところから,「頓珍漢」とあてる,

と,注記した上で,

物事の行き違い,前後すること,辻褄のあわないこと,
とんまなこと,

とある。あるいは,

見当違いであること,

という意味も加える辞書がある。語源も,

鍛冶屋の相鎚を打つ音が交互に揃わないこと,

で,言行がちぐはぐなこと,という意味とある。もう少し詳しく,

「鍛冶などで師が鉄を打つ間に弟子が槌を入れるため、ずれて響く音の『 トンチンカン』を模した擬音語であった。 音が揃わないことから、ちぐはぐなことを意味 するようになり、さらに間抜けを意味するようになった。 漢字で『頓珍漢』と書くのは 当て字」

と,説くものもある。ちなみに,

とんま,

は,

「ノロマの当て字『鈍間』を読み誤ったものの変化」

とあるから,まさに,

とんちんかん,

というか,

間抜け

の見本のような話だ。もっとも,異説に,

「トント(とんと)+マ(のろま)」

という語源説もあるようだが。

とんちんかんは,類語をみると,

まぬけ,
とか,
とんま,
とか,
鈍い,
とか
あほ,

とかがあるが,それとはかなりニュアンスが違うのではないか。まあ,結果として,見当違いのことを言っているのだから,そう言われるだけのことだ。

目茶目茶,
ちぐはぐ,
荒唐,

というのとも,まあ,そういうことも結果としてはあるにしても,少しニュアンスが違う。

あることを話していて,それとはつながらない話を継いだり,
あることの例に,見当違いのことをだしてみたり,
ある人のことを話しているのに,別の人のことを持ち出したり,

等々,一つは,その人の話の流れが,前後脈絡が,

ちぐはぐになる,

とか,

その場の雰囲気,文脈と違うことを言い出すという,場違いさ,

とか,

何か話をしていたのに,例を話しているうちに,枝葉末節に流れ,明後日の話になっていく,

等々,必ずしも,その人自身のことを指している,というより,その人の話の仕方,その人の話し出し方,といった,話の中身や会話への関わり方,を指しているように見える。まあ,それ自体が,

まぬけ,

には違いないが,

的外れ,
とか
場違い,
とか
見当違い,
とか
辻褄の合わない,
とか
符合しない,
とか
不適切,

という言い回しが,的を射ている感じがする。空気を読まない,という言い方は,集団圧力で嫌だが,

その場の雰囲気を弁えない,

というような,例えば,通夜の晩にお化けの話をするとか,エロ話をするとか,という類は,

頓珍漢,

というより,

道理を弁えない,

というべきか。葬儀の席で居眠りするなどは,

べらぼう(篦棒・箆棒)

で,

論外,

としか言いようはない。「とんちんかん」は,まあ単なるご愛敬ですむが,それを意識して,ずらし,そらし,とぼけ,嘘,方便,嘯きは,笑いごとでは済まない。

参考文献;
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
大野晋・浜西正人『類語新辞典』(角川書店)







今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm
posted by Toshi at 05:16| Comment(0) | 言葉 | 更新情報をチェックする
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