2015年07月06日

独演会


先週,東京での第一回『鶴二独演会』に伺ってきた。

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東京と大阪で,年二回ずつやっておられる,柳家さん生師匠・笑福亭鶴二師匠,お二人の『二人会』の,東京での会には何回か参加させていただいたことがある。それについては,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/408105648.html

等々で触れたことがある。

その印象のつもりで会場の新宿角座に伺ったが,開演前から,何となく雰囲気が違う,お知り合いらしい方々が,三々五々挨拶をかわしておられる様子を伺うと,どうやら関西からこのために大挙上京された,という感じなのである(うわさに聞く鶴二師匠のファンの方々のようである)。

勝手な推測だが,その方々が,120位の席の過半以上を占めている気配であった。しかも,会の進め方は,上方風らしく,前座の方ではなく,お茶子と呼ばれる女性の方が,めくりをめくったり,座布団を裏返したりをしている(上方落語には,前座,二つ目,真打というような昇級(?)の仕組みはない,と伺ったことがあるが,そのせいかもしれない)。さらに,師匠方が高座に出られる直前もなんだか賑やかで,出囃子も聞き漏らしてしまった。

雰囲気は,したがって,上方の寄席(行ったことはないが)の会場の雰囲気なのだ。鶴二師匠のまくらでもあったが,関西の方は,ぼんやりした会話はない。ジョークで突っ込み,ジョークで返さないといけない。関西の知人が,東京へ引っ越して,ほっとしたと述懐されていたが,そういうのが苦手な人もある。

僕も経験したことがあるが,ある会場で,昼飯を終えて,戻ってきたら,いきなり,手でピストルの形をつくって,撃つ真似をされた,僕はとっさにぼっとしてしまったが,続いて入ってきた人は,撃たれて倒れる仕草をした。関西系は,撃つ真似をすると必ず撃たれをふりをして返す(返さない人はいない),という。それが,出身を見分ける手だという。

日常的にそれである。だから,まくらは,その連続である。ボケと突っ込み,というか,ジョークにジョークを返すというか,それがこれでもか,と続く感じである。この辺りは,まあ気質というか好みの問題だが,僕は賑やかすぎて,ちょっと気後れがした。

会場は,だから,笑いの準備状態が,高座の噺家の方がプルをするまでもなく,プッシュ気味で,開演前から,笑いの臨界点にあるような雰囲気であった。当然,前座のクスグリで,あっという間にどよめいて,わずかなことでも笑いがはじけた。会場全体がどよめき続けた(これを,上方落語の,というと問題があるのかもしれない。単に個々の芸風かもしれないし,たまたまこの会は,ということなのかもしれないので)。

鶴二師匠が,上方のお客さんは,「笑わしてみぃ」という構えでいる,と言われたり,「東京のお客さんはやさしい」というふうにも言われているので,(昔は知らないが)東京の(いまどきの)客は,高座の噺家に鷹揚なのかもしれない。しかし,この会場は,そもそも(憶測だが),

笑福亭鶴二,

という噺家をまったく知らない人は,(たぶん)ほとんどいなくて,過半は,

鶴二師匠の親衛隊というか追っかけ,

のような方々と,それに加えて,さん生師匠を通して(僕のように二人会等々で),鶴二師匠の独演会を知った方がほとんどなのではないか。だから,前もって,笑いの栓を全開にして会場に出かけている。ちょっとしたきっかけさえあれば,はじける,という感じであった。

後は,好みの問題になる。演目は,

笑福亭べ瓶『いらち俥』を前座に,途中,柳家紫文『三味線漫談』を挟んで,鶴二『高津の富』『寝床』『青い目をした会長さん』,さん生『岸柳島』,

と続く。

正直言うと(紫文師匠を除くと),上方系(といっていいか)が続くなかで,僕には,『岸柳島』が,これが江戸落語だと,ほっとした,というか,しみじみ味わえる雰囲気があって,僕の気質にはなじんだ(鶴二師匠ごめんなさい!)。笑いのテンションが上がっていると,(噺の終りに近づくと)話の全てが,落ちに聞こえるのか,船頭の台詞(確か,「泳げたらすぐ追っかけてくる」だったか?)を落ちと間違えて,拍手まで起き,それにつられて全体がどっと来てしまったたのも,まあある意味ご愛敬だが,演っておられる側は,少しやりにくかったのではあるまいか。ちょっと声を高めて,最後の落ちまで,話し切られたが,この辺りは,会場のもたらす雰囲気の(同調)圧力のなせるわざかもしれない。

それに似たことは,

http://ppnetwork.seesaa.net/article/417758970.html

でも触れたが,笑いが,つられて,どっと会場全体をどよもす,というのは,その中に呑まれて,たゆたうかぎり,確かに,悪い気はしない。

特に,ジョークというか,クスグリというか,火吹き竹,つまり竹筒で火を吹き起こすような,満を持している(笑いの)種火を刺激つづける,という笑いの煽動のにぎやかさは,悪くはないし,腹がよじれるほどおかしかったが,敢えて言うと,

おもしろうてやがてかなしき鵜舟かな,

ではないが,わっと盛り上がった後の余韻のような噺も悪くない。企んだものか,どうかはわからないが,

『岸柳島』

は,そんな雰囲気を変える,噺になっていたし,そういう雰囲気を醸すものになっていた気がする。この噺がなかったら,帰路笑い疲れで,困憊していたに違いない。やはり,当たり前だが,会の全体構成,というのは,寄席もそうだが,独演会の場合も,印象を左右する気がしてならない。まあ,素人の,個人的好みの問題にすぎないが。








今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm
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posted by Toshi at 04:47| Comment(0) | 落語会 | 更新情報をチェックする
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