2015年07月18日
々,ゝ,〱,ゞ
々,ゝ,〱,ゞ
は,漢字でも仮名でもなく,しいて言うと,記号で,
踊り字
というらしい。そのことは,
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B8%8A%E3%82%8A%E5%AD%97
http://ja.wiktionary.org/wiki/%E3%80%85
http://e-zatugaku.com/nihongo/odoriji.html
等々にくわしいが,「々」が気になったのは,
時々
とか,
堂々
という単に,重ね字というか,省略の使い方ではなく,
明白と言わず,
明々白々,
と言ったりする使い方,同じように,
奇々怪々,
颯々爽々,
呻々吟々,
黙々沈々,
明々快々,
と言い表すことで,強調する使い方に興味が惹かれた。これは,
興々味々,
強々調々,
と,まあ原型が推測できる限り,強調としての効果がある。そんなことを考えているうちに,本来,一字でもそういう意味なのに,
各を各々,
とか,
屡を屡々
と使ったりすることで,これも強調する効果があることに気づく。ただ,
点々
とか,
転々
とか,
方々(「かたがた」ではなく,「ほうぼう」)
とか,
一々
とか,
高々
とか,
様々,
とか
取々,
等々かは,一字での意味とは,少し違ってくる。強調というより,誇張のニュアンスが出てくる。漢字の意味をはみだしている。当て字のものもある。たとえば,
度々
は,「たび」が,旅の回数の意のタビらしく,「度」は漢字の「回数」を意識して当て字として使っている。
態々
も,「わざとわざと」の変化で,「態と」は,漢字の「態」の含意を意識した当て字になっている。なかなか含意が深い。
そうやって漢字の重ね字の使い方を見ていくうちに,和語の重ね使いにも目が向いた。たとえば,
さてさて,
とか
さてもさても,
とか
そもそも,
とか
つらつら,
等々は,それぞれ「さて」「さても」「そも(それも)」「つら(連ね)」には意味があるので,強調する意図で使っている。しかし,多くは,たとえば,
すらすら,
さらさら,
すくすく,
しずしず,
にやにや,
といった,擬態語という分野の言い回しが多い。あるいは,
擬音語
とか
擬声語
といった分野に当てはまるものもある。
http://pj.ninjal.ac.jp/archives/Onomatope/column/nihongo_1.html
によると,金田一春彦は,
「擬声語」:わんわん,こけこっこー,おぎゃー,げらげら,ぺちゃくちゃ等
「擬音語」:ざあざあ,がちゃん,ごろごろ,ばたーん,どんどん等
「擬態語」:きらきら,つるつる,さらっと,ぐちゃぐちゃ,どんより等
「擬容語」:うろうろ,ふらり,ぐんぐん,ばたばた,のろのろ,ぼうっと等
「擬情語」:いらいら,うっとり,どきり,ずきずき,しんみり,わくわく等
と,5つに分類しているようだが,理由はともかく,繰り返しが多い。この場合,様子や,状態,雰囲気,気分,心もちなどを感覚で言い表しているので,「わんわん」の「わん」や,「ざあざあ」の「ざあ」,「きらきら」の「きら」,「ゆらゆら」の「ゆら」ね「にやにや」の「にや」のように,ある程度意味が推測出来たり,感覚がわかったりするものも少なくないが,逆に,
ことこと,
さくさく,
くるくる,
ほくほく,
ずしずし,
とことこ,
よちよち,
わくわく,
くすくす,
などのように,「わく」だけとっても意味がないが,「わくわく」で,その高揚が感触として伝わる表現もある。また,一見,
いらいら
や
さばさば
や
ぐずぐず
のように,語源がはっきりしないものが多い。しかし,
「さばさば」が,「さっぱりさっぱり」
「いらいら」が「いら(棘)いら(棘)」
「ぐすぐず」が「くずるぐずる」
のように,語源から見るとそのいわれに根拠がある。
しかし,くりかえしは,根拠があってもなくても,何かを強調したり,際立てたりするのに,結構重宝で,
ラブラブ,
こてこて
等々,いまもわれわれは使っている。
参考文献;
増井金典『日本語源広辞典』(ミネルヴァ書房)
今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm
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