2015年07月30日

差異


先日,報美社主催の,brilliant wing20展に伺い,

http://gallery-st.net/

後藤花甫里
権守ひかる
楠本衣里佳
後藤吉晃

という若い画家の方々の作品を拝見する機会があった。

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それぞれの画家の型のへの思いを伺うと,当たり前だが,意識的に何かを描こうという模索の,というか格闘のプロセスも窺えて,なかなか興味深い場であった。

絵画について語るほどの薀蓄も造詣もないが,僕は,

ああ,そういうふうに見えるのか,

と,未知のというか,新しい視界を開いてもらいたくて,展覧会に出かける。

普通は,作家の中で,どういう内的プロセスを経てその絵に結実したかは,窺い知ることはできない。せいぜいタイトルにその端緒が窺えるくらいだろう。確かに,観る側にとっては,結果として描かれている世界が全て,といえば言える。そこで,

心が共鳴したり,
感情が共振れしたり,
おのれのみたいものを見せてもらったり,

というのもあるかもしれないが,僕は,あくまで,見たこともない視界を開いてほしくて出かける。

この会の中では,,

記憶の表層

と題された作品が僕には最も惹かれ,いろんな感慨がわいた。画家の方には,枯れた蓮を描いた,とおっしゃったが,それを伺っても,それでこのタイトルなのかと,タイトルと絵とのつながりが腑には落ちたが,それとは別のところで,このタイトルにつられて,絵から醸し出る抽象度の高い雰囲気,というか情緒といったものを,面白がっている自分がいた。個人的な嗜好に過ぎない。

記憶で書くので間違っているかもしれないが,ひとりひとり,たとえば,

ひとりは,自分の見てきた風景を,内的に咀嚼しながら,内的に見えてきた世界を描こうとし,結果として,風景に思いが仮託されている絵になっている。その風景がいくらか幻想的なのは,その思いのせいかもしれない。

またひとりは,自分と対象との距離の取り方を意識し,丸め方が低ければ具象になり,丸め方が高ければ,というかそういう対象に惹かれたせいでか,抽象度が高まる。僕は,対象と自分との間に,絵のポジショニングをしようとする問題意識に惹かれた。それは,思いの強さか,対象の魅力の強さか,と対立しそうで実は,思いと対象のフィットするポイントというのは,自分の思いを仮託するに足る対象に出会えるということを意味する。そのとき,思いの側か,対象の側かで,絵の立つ位置が振幅の幅がある。しかし,それが,対象との格闘ということなのではないか,思いつつ聴いていた。最後の絵柄や色柄に加味していくのが,対象だけでは足りない思いの丈なのではないか,という気がした。

またひとりは,見える次元をいくつも重ねようとしている,と聞いた。それは,一つの視界だけでは描ききれない,たかいの多重性,多層性,をどうひとつの資源の中に納めるのか,という手法の格闘に聞こえる。しかし,それを実現する腕が,まだその思いに届いていない,と見えた。そのもがきが,絵に出ている。次元の重ね合わせというよりは,そういう内的葛藤が,まだ痕跡を残しているやに見えた。

またひとりは,人に思いを描こうとしている。しかし,その思いが,自分の思いなのか,描いている対象の思いかは,判然としない。人の見たことのない表情は,自分の中にある,人と違う思いに見つけなくてはならない。顔は,まだデジャブ感があった気がする。

等々,いろいろ僕の内側に喚起する思いがあった。

情報とは差異である,

というベイトソンの言葉になぞらえるなら,差異は,

自分自身が(現実という)地に見出した図

である。あるいは,

境界線

である。それが自分だけの対象の認知である。しかし,差異は外にあるのではない。そこに差異,あるいは境目を見出すのは,実は,

おのれ自身のもつ差異,

を自分の中に感知するところからしか生まれない。あるいは,

その人自身のもつ差異そのもの,

であるかもしれない。それを才能とも個性とも呼んでもいい。

しかし差異は,ほんのわずかだ。ほんの些細な違いだ。微かなグラデーションに,他の人の気づかない微妙で些細な境目を見つけるようなものかもしれない。その差異に気付いたものだけが,新しい視界を手にする,という気がしている。それは,才能には,比例するかもしれないが,残念ながら,努力には比例しない。わずかな僥倖による,というと,お叱りを受けるか。しかし,ここまで生きてきてわかることは,人と違う,わずかな自分の感覚の差異に,徹頭徹尾こだわるしかない,ということだけは確かなことに思える。その隘路にしか,活路はない。そんなことを感じさせられた。







今日のアイデア;
http://www.d1.dion.ne.jp/~ppnet/idea00.htm
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posted by Toshi at 05:21| Comment(0) | 展覧会 | 更新情報をチェックする
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